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プロローグ
「帰宅部かぁ。
あーあ、なんで玲央が怪我しなきゃならなかったんだろ。」
玲央の背中を見ながらアタシはボソッと呟いた。
今はもう、アタシと玲央が一緒に立てたプロ野球選手という夢は片方しか叶わないんだろうか。
「子供なんて助けなきゃよかったのに」
あの子供が飛び出さなければ玲央の人生は壊れなかった。
アタシは今も伸う伸うとと生きてる飛び出した子供が憎い。
会ったら殴ってしまいそうなほどに。
「左投げに転向して無双するとかないかな。
アタシらまだ高一だし」
今は高一の秋。
まだ時間はたっぷりある。
玲央の才能なら可能じゃないかと思うから不思議だ。
「歌恋ちゃん、元気そうだね」
「いやー、めちゃくちゃ絶不調っすね。」
校門をくぐると先輩が待ち構えていた。
アタシは苦笑いを向ける。
「来て」
「うぃーす」
いくらエースでも先輩命令を無視することは出来ない。
アタシは仕方なく着いて行く。
ーーだりぃ