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死線という名の鏡  作者: 宮雲八尋
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エピローグ

気が付くと、自分のベッドに仰向けになっていた。夢からさめたようだ。時間を確認しようと、横に置いていたスマホを手に取る。電源を付けると、画面が明るくなる。先ほどまで寝ていた目に、その光はあまりにも眩しかった。目をこすりながら時刻を見る。午前四時。まだ夜明け前だったが、今日は本当の放送委員の集合日。寝坊するわけにはいかないので、スマホを横に戻し、体を起こした。何のけなしにカーテンを開け、外の景色を見る。外はまだ暗く、地平線の隅に淡く光源の気配を感じられるほどであった。しかしその微小の光によって、夜の景色を霧のように光が舞う景色が、今の僕にはものすごく心地よかった。そんな中、夢の中でのことを考える。あれは一体何だったのか?『浮いている』、『深い虚空』、『オモイノヨ』、『オモイダケ』、『YとT』。一体何だったのか?そして、あの放送室での過去の自分との邂逅、いや、会うべくして会ったのか。あの時は気づかなかったが、あの状況はとても、『鏡という名の綻び』の設定に酷似していた。何か関係があったのだろうか?それともあれらは僕が見た、ただの夢に過ぎないのだろうか?終わった今にしては、もう考える必要はない。ただ記憶に残るのは、放送室での彼との会話。彼のようにならなかったのは、一体なぜなのか。どこで道は分かたれたのか。俺が彼のようにならなかったのは、明らかに委員長の存在であった。そこから、どうして委員長と話すようになったのかを振り返る。すると、何となく自分の中で合点がいった。もしかしたら分岐点は、あの時かもしれない。夏休みの暑さを引きずったまま催された、文化祭の、あの蒸し暑く、青い匂いを含んだ空気を体に纏いながら、委員長と歩いた渡り廊下。そんな中の何気ない会話で、勇気を振り絞ったあの瞬間。あの時の彼女の笑顔で、彼と僕は分かたれたのかもしれない。

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