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7話 減少した体液を補充せよ


「お~コボルトじゃねぇか! 懐かしいなぁ!」


「こちらは昔宮廷医師を務めていたノーム・二ダヴェリール先生だ」


案の定 髭を生やした プラスどこか胡散臭い

そんでもってインチキとボッタクリのオーラが漂うわ漂うわ


「大丈夫なんですか?」


「腕は確かだよ」


「わっはっはっはっは!!」



ーーうーん信じない ……だけど



今はどうしようもない

むしろコニャックを背負うので疲れたツバメは 幼女を診療台に寝させた


「ふーむ…… はて? コニャック様はこんなに小さかったかの~」


「それが今回の原因です 陽に当たり過ぎてしまって貧血を引き起こしました」


朝の朝礼で倒れた生徒の話をしているような会話を

隅っこで聞いているツバメは必死に笑いを堪えていた


「ジェルドワーフはわしら他種族に比べて最も熱に弱い

太陽は天敵だからな…… これは思ったより重症じゃぜ?!」


「そんなに深刻なんですか?」


「当ったり前だのクラッカー

お前さんが刃物で斬られまくって出血多量の致命傷を負ってるもんじゃ」


「怖い例えやめてくれない!!」


取り敢えず点滴で命を繋いでいる間に 三人は別室で会議を行う


「これより〝コニャック様を死の淵から救い出しましょう計画〟を開催します」


「ここに来れば治るんじゃないんですね」


ノームが自室から持ってきた本には既に答えは書かれている


「これを見つけて来て欲しいのじゃ

一つ目は〝イキリ草〟 栄養不足を改善させる強壮剤じゃ

二つ目は〝ガンバレルーヤルゼリー〟 とにかくものごっつ元気になるコニャック様の好物だ

あとは〝鏡龍の肝臓ジャバウォッグのフォアグラ〟 国中で大流行りの世界三大珍味の一つだ」


「はい! 私はイキリ草を探して来ます!!」


「わかった! イキリ草は表の商店街に出れば安く売っているから 二束くらい買ってきておくれ」


速攻で手を上げるツバメとは反対に思い詰めるコボルト

しかしその間は彼にとって無駄だと悟らせる


「ノーム先生 行ってきます!!」


「無理をしなくてもいいんだぞ! 本当に行くのか コボルトよ」


「主の為に…… それにツバメ様にもぜひ食べて頂きたいので」


診療所に備えられていた剣と盾と銃を携えて コボルトは勇猛に国を後にした


「そのドラゴンはどこにいるの?」


「ここから100㎞先の不可侵領域である鏡の世界の入り口に入って存在する巣にいるな」


「ちなみにそのドラゴンの肝臓は必要不可欠なんですよね?」


「うんにゃ! ただただ極上の味なもんだからコニャック様に元気なってもらえればと

しかし冗談交じりに言ってみたんじゃが…… コボルトも逞しくなったな」


ーー……マジか


今の話は聞かなかったことにしたツバメは

さっそくこの世界のお金を貰って人が賑わう場所へと出た


ーーコボルトさん完全に無駄死にじゃん


薬草屋でイキリ草を無事購入するツバメは ただただ納得しない罪悪感を感じながら帰る


「おい!」


診療所へと向かう途中で王国の兵士と思われる人物に話しかけられた


「アスラ・ド・シュラバーと名乗っていた者だな?

明日には王子選抜選挙戦が始まる コニャック王女にふさわしい伴侶が選ばれる大事な時期に

よくもまぁ呑気に城下を歩いてられるな」


「えっと…… 何のことですか?」


「しらばっくれるな〝候補者〟の一人だろ? さぁこちらに乗って下さい」


強引に腕を引っ張られて馬車に乗せられるツバメは


「ちょっと! どういうことこれ?! 離してよ!!」


為す術がなかった

馬車が向かうのは言うまでもない 王国で一番目に付く王宮へと走っているのだから



ーーどうしよう…… コンニャク娘が苦しんでるのに



裏町の診療所

苦しんでるコニャックは何かを感じ取ったのか ベッドから起き上がり


「どうされましたコニャック様?」


ガンバレルーヤルゼリーを作っている途中のノームが異変に気付いた


「……い ……行かなきゃでゲル ツバメに何かあった」


「え?」


それでも不調なコニャックの身体はその場に倒れる

再びベッドに寝かすノームも不穏な空気を感じ取っていた



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