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35話 学園祭でゲルァ!!


こんな日の朝は何故か肌寒い

それは簡単なこと いつもより早く起きるからだ

緊張 高揚 圧力 使命 裏腹

いつもより朝食が早い時間で行われるリビングは 新鮮な空気に包まれての

一生に何回あるか分からない 特に今は変わらずも貴重な経験だろう


ドタンバ・ツバメ

コニャック・ゾル・シリカゲル・ナマタマゴ102世

モウリ・コン

チワワ(アチワ・サタコ=ケモ神サンダーライガー)

ハーフル・エスパドリーユ

ウホマンド・バルトノヴァ

ドリアード・ドリュアス・アルヴィース


それぞれがそれぞれの役割を持ち 誰一人として欠けてはならない状態だ


「特に持っていく物は無いよね?」


「そうですね 各自スケジュール表さえ携帯してくれれば問題ありません」


玄関前で最終確認するコンとドリアード

一方リビングにてツバメとウホマンドはソファーから動かない二名を励ましている


「今日が本番…… 今日が本番…… 今日が本番……」


「大丈夫だハーフル!! 今まで練習してきた通りにやればいいんだから

もしもの時はコン殿から授かった秘技〝観客全員煮っころがし〟を発動すればいい」


ウホマンドに背中を押されながら 産まれたての子鹿の様に歩いてくハーフル


「学校行きたくないでゲル 学校行きたくないでゲル 学校行きたくないでゲル」


「ほら行くぞコンニャク娘!!」


こちらも強引に担がれて なんとか全員馬車に乗ることが完了した


「マミーさんは学祭に来られないんですか?」


「寮での仕事が終わり次第 覗きに行きますよ」


「ハーフルちゃんの出番は昼過ぎなので是非来て下さいね」


「わかりました 皆さん楽しんで来て下さいね」


馬車を見送り

いつものように寮内の清掃に移るマミー

それは一段落ついて お暇の時間を過ごしていた時に


「…………?」


包帯をすり抜けて漂う悪寒に 並々ならぬ不安を覚えた


「何でしょう…… 北の方からかしら?」




ツバメ達の馬車が学園内に到着する頃には 既に出店の開店準備に取り掛かる生徒達が

飲食店なら具材の下準備を 曲芸ステージならリハーサルを

お化け屋敷をやるクラスから指名されて入らされたカップル コニャックとツバメの絶叫が響いたりと

既に盛り上がりを見せていた


室内競技場を覗けば 校内生徒の過半数の人間が既に作業に取り掛かっており

接客の発声練習 照明のチェック 舞台であるステージの飾り付けの補足など

プロも顔負けの切迫した空間をコン達に見せてくれた


「いやぁ…… 貴族の坊ちゃん嬢ちゃん達が汗水垂らして労働してるって新鮮だね!」


「コンさんのカリスマ性の賜物ですよ」


ドリアードに褒められるコンは露骨に照れていると

改めて会場を見渡していたツバメはあることに触れる


「うちのクラスってこんなに人数いたっけ?」


「言ってなかったっけ? 他にBカップ組とCカップ組が手伝ってくれてるんだよ?」


「なんで?」


「2つの組は平凡な貴族層と成績優秀な庶民との混合クラスだったから

私達と同じで中々出し物が決まらなかったみたい

だから一緒にやろうって言ったの こっちは人手不足だったしね

人材と人員の付加価値によってより完成度の高いライブハウス会場が出来ました!!」


「付加価値?」


「そう!!

ちなみに出店している処からライブハウスの入場無料チケットをおまけで配布してるし」


「え? それって赤字になるんじゃ……」


「人件費なんてものはもちろん心配しなくいいし 店内の改装は学園内にあるものだし

食材費はコニャックの旦那の顔を利用して仕入れ先からも安く具材を売って貰ったし

赤字はまず無いよね?」


「……そうだね」


「文化祭は三度しかない儲けのチャンスだしね~~

生徒一人一人に報酬金を考えなくてもいいしさ

私からしたら やってることは仕事なのに何故お小遣いすら出ないのか……

中学ん時の文化祭では腹が立ったね」


「でも大体打ち上げの時は先生がお菓子やジュースを出しくれるじゃん!!」


「そういうの分かりきってるから本気を出したくないんだよ!

こんくらいの大舞台を作ってもリターンがお菓子とジュースだったらぶっ倒れるじゃん」


「今回のライブハウスで成果をもたらした際のリターンは?」


「……特になし!! でもそれで良い!! ドリアードさんの顔を立てますよ」



「え?!! 私ですか!!?」



ドリアードは思わず顔を赤く染めた

そんな彼女の顔を見つめるコンもまた笑顔で返す


「今回は利益うんぬんより〝楽しむ〟を優先するって決めてたから

……これ言うと母ちゃんからはぶっ飛ばされるけど

最終的にどのお客も平等に無料でこの会場に足を運んで来る

それは この共生の国という名を諭すコンセプトにも繋がるからね」


「……ちょ ちょちょちょっとおトイレに い…… 行かさせてもらいます!!」


顔を覆いながらその場を離れるドリアード

意味が分かっていないコンはツバメに背中を突かれる


「どうしたんだろうドリアードは?」


「コンちゃんって自分の感情には正直だけど 他人の反応には鈍感なのね」


「ん?」


「まぁいわゆる? キマシて奴よ」


「えぇ~~ レズの気なんて無いよ」


「あ…… そういうのはわかってるんだ……」


学祭が始まる前には必ずホームルームがある

担任のトールキンはいつも以上にクールに決めた態度だ

何故かと聞かれれば 祭に浮かれる生徒が出てくるのは当然

ある一定の基準を決めて イキ過ぎた生徒を注意することを怠らない構えでいる


「それではもうすぐ来客の方々がお見えになるでしょう

我がクラスは他とは違う時間で決められた行動をするハードなイベントに挑戦しますが

チームワークを意識して事に当たり 今年度の学祭で一番華のある

そして学園の歴史にて毎度の如く このAカップ組の偉業を後世に刻みましょう!」


本音を探るならば この学園祭にてコボルトとデートしたいという気持ちを一心に抑えて



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