表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/41

2話 私はコニャックでゲル!!


初めて部屋から異世界に片足を突っ込み

幼少の頃に遊んだおままごとセットに似た アンティーク仕様の廊下を歩くは

美少女と得体の知れない幼女


「何見てるでゲル? オナゴよ」


「うるさいイナゴ……」


「それが反撃の悪口かぁ?! 愉快でゲル! 愉快でゲルル~~!」


幼女は立ち止まり リビングへと方向を変え


「ソファーに座るでゲル」


「…………」


対面に座ると もう一人の使用人らしき格好の男がティーセットを運んできた


ーーイケメンだ ヨッシャー……


「あちらの世界でも飲まれる紅茶を厳選してみました」


出された時は香りですぐに悟る


ーー絶対美味しい そしてイケメンだ


喉が渇いてたので倍増の満足感 その美味なる紅茶が喉を通り過ぎていき

そんなご満悦の自分の顔を 生意気に頷いて安堵する幼女はさっそく話しかけてきた


「では質問を聞こうでないかでゲル 色々あるゾルルン??」


ーー語尾ムカつく


「まずは自己紹介お願いします!!」


「ゲル!! 私はこの差別のない【ライブトゥギャザー王国】の王女

〝コニャック・ゾル・シリカゲル・ナマタマゴ102世〟ゲルよ!!」


「長い!! なんで生卵なの?! なんで生卵世襲が102代も続いてるのよ!!」


「ゲルゥ…… ツッコミが調べて覚えたオオサカ人という種族並に鋭いでゲル」


ーー大阪を知ってるんだ……


「恐縮ですが

オオサカの民は笑いやノリに最も厳しく そこに矜持を持ち合わせている者達だと聞いています

この者と一緒にされてはさぞ御不満でしょう」


「そうか? ……それもそうでゲルな」


ーームカつくこの付き人!! でもイケメンだから許す!!


「お主の名は何ゲル?」


「私? 私は〝土反場乙ドタンバ・ツバメ〟 よろしく」


「フム…… では今日から〝アスラ〟と名乗るが良いでゲル」 


「何でよ!?」


体温が上がり 今にも倒れそうなツバメとは別に 常に冷静でドヤ顔のコニャック

そんな状況で既にイライラが止まらないのに


「もう本題に行くわ!

何で私の部屋とこの異世界は繋がってるの? あなたの仕業なの?!

それにこの容姿!! なんで耳が尖ってて髪がピンクに染まっているのよ!!

自分が置かれている立場は分からないけどねぇ~ 今すぐ全部元に戻してくれませんか?!!」


「ん~~ 無理でゲル!!」


「無理なんかい!!」


優雅に紅茶を楽しむコニャックは ティーカップをそっと受け皿に置くと


「今〝ドワッフル王家〟でな

次期国王の座を巡って各国より王子を募らせておるのでゲル」


「それで?」


「家出したゲル」


「あら可愛い…… んで?!」


「ここ〝美人局保留寮ワイフガーデン〟を 横におるコボルトに頼んで設営してもらったんでゲルよ

そしてとうとうこの日 私が心に決めた伴侶を選ぶ為の愛の巣が完成したのでゲルー!!」


机を叩く音と共にツバメは立ち上がる


「冗談じゃないわよ!

見た目も王女ってワードからも まず私達女同士じゃない!!」


「愛することに条件など無いのでゲル!!

最も私ら〝ジェルドワーフ〟には性別はない

子を産む術も無ければ そういう行為もしないのでゲル」


「子を産まないって…… じゃぁどうやって繁殖してきたの?」


「大地から授かるのでゲルよ

そちらの世界ではコウノドリが運んできたり キャベツから産まれる話に近いでゲルな」


「あれは迷信というか 幼い子供にとりあえず説明する為のこじつけみたいなもんよ」


ツバメが呆れていると

急にコニャックはソファに寝転がり 服の上から胸元をチラリと見せた


「まぁ…… ツバメがどうしてもそちらの世界の手順を踏みたいのであれば……

そ… その…… 私は受け入れても良いのでゲルよ! 良いのでゲルよ!!?」


「帰ります」


一人興奮し悶えるコニャックを余所に ツバメは颯爽と部屋へ帰ってしまった


「待つでゲル!!」


「待ちません!!」


必死にスウェットを掴むコニャックを お構いなしに引きずるツバメは自室の前へと着く


「部屋に戻ってもどうしようもないぞ?!」


「だったら部屋から出ません!! こっちは今進路が決まる大事な時期なんです!!」


ドアが開かれ コニャックを払い飛ばした


「では!! 貴重な休憩時間を有意義に過ごせました ありがとね! コンニャク娘!!」


大きな音は渡り廊下の静けさを思い出させ

コニャックはただ一人 呆然と扉を見つめていた


すると


「……」


少しだけ扉が開かれて その隙間からツバメが覗いている


「分かっていたでゲルよ…… ツバメは心優しい私のお妃だと」


バタンと閉められた


「あぁ……」


部屋にある小型の冷蔵庫からポッキーを取り出し

そのまま勉強中だった机の上の時間を進めるツバメであった


ーー勉強のし過ぎ? ……絶対疲れてる 


ツバメは引き出しから日記を取り出しては欠かさず 綴る次のページに記録した



7月6日

異世界に転生 最悪!!!!



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] コニャックの喋り方、すごいですね…。可愛らしさ、というより、言葉は悪いですが、なんとなく芋っぽさを感じるのがまた…。でもすごく印象的で、多分忘れないな、と思いました…!
2023/12/30 10:17 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ