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23話 幼女補完計画


話は昨日へと戻る


「とりあえずバラバラでありきたりな空間テンプレクラスは私達に任せておいて」


「何か秘策があるのコンちゃん?」


「ママの仕事場で堂々と口出しして

こっぴどく怒られかつ20億の損害を叩き出した私に任せない!!」


「ま…… まぁコンちゃんを信じるよ」


「それでツバメにお願いがあるんだけど……」


コンはツバメを隅に呼び出して ヒソヒソと耳元に囁いた


「え~~……」


「頼むよツバメ! 発言力の無駄遣いを矯正してやって!」


「ん~~……」



「確かにそれは王に必要なことだよね!!」



獣の耳をピコピコさせて盗み聞きしていたビャーゴは 二人の肩を掴んで鋭い目を向けていた


「お前嫌い!! さっさと帰れ!!」


「コンちゃん…… 語彙力……」


「クソォ…… 私の獣人ケモケモハーレムプランの夢がお前のせいで台無しだぁ!!」


「コンちゃん……」



「俺のこの愛らしい肉体に興味があるならいつでも歓迎だぜぇ 子猫ちゃん♡」



キザに出て行く彼のドアに 椅子をぶん投げるコンは絶望と虚無に陥っていた


「私の椅子……」


投げた木椅子はドリアードのだった

生気を取り戻したコンはさっそくコニャックに提案を持ちかける


「コニャックの旦那にはさ~~」


「ゲル?! わ…… 私は何か演説みたいなことはしたくないでゲルよ?!」


「……ほら ツバメ」



「うぅ~~~~」



ツバメは咳払いを一回 そして表情をニコやかに


「ねぇコンニャク娘!! 私とこれからデートしに行かない?!」


「グルンゲるぅぁ!!!!!?」


夕暮れの校門に出迎えに来てたコボルトに一言入れて

ツバメとベタベタにくっついているコニャックは城下へと向かう

寮生活の対象外となる 近所に住む生徒達が下校する家路を歩く日常風景

ツバメは気にする筈もなかったがコニャックは違った


「こういうの初めてでゲルな!」


「いっつも馬車の中だからね たまには自分の足で家に帰るのも良いんじゃない?」


「王宮にってことでゲルか…… あんな窮屈なところゴメンでゲルよ」


「アハハ…… 一軒家住みの私ら庶民に怒られろ」


「ツバメは後にあの王宮の妃になるのでゲルから安心するでゲル」


王家・貴族の層と市民の層を繋ぐ階段を降りると 門を潜ってツバメが見覚えのある場所へ


「ここって…… イキリ草を買った場所だ」


ウィアレス地区の中央商店街

夕方の売り手達は異世界でも変わらず活発的だ

ガタイの良いオヤジやオバさん達は 店の前で声の張り合いを止めない


「こういうの実際に見たことなかったなぁ……」


「ツバメの世界の商店街はどんな感じなのでゲル?」


「これと比べたら元気のない殺風景な場所…… でもそれが当たり前

毎日毎日大声出しても客が来なかったら虚しいだけだって誰でも考えちゃうし

お祭りの時くらい盛り上がれば良しって感覚なのかな……」


「おぉ…… なんか初めてそちらの世界に勝った気分でゲル」


「いや昔は近所でもこういう景色があったんだろうけどさ……

時代のせいかな…… 地元では最近見ないな~~」


二人は取り敢えず数ある商店の中から 手始めにイキリ草を買った薬草屋に赴く


「はぁいどうも!! おやま……!! コニャック王女ではありませんか!!!?

こんな地味な店にお出でなさって下さって~~ 何をお買い求めに?」


「ほらコニャック! 助けて貰ったんだから!!」


「へぃ?」


首を傾げる店主にコニャックはモジモジしながらも


「先日お主の店から頂いた…… 薬草が私の病気を治してくれた ……感謝するでゲル」


「それは…… 本当ですか……」


店主は持っている草束を地に落として泣き崩れた


「「 ど…… どうしたんでゲル?! 」」


「良かった…… 病気が治ってホントに良かったですぅ!!」


すると通りがかりの人々から注目の的に


「コニャック様がご病気だったって?」


「最近お顔を拝見できていなかったのはご病気のせいであられたのか……」


「だがしかし元気になられておられる…… 何はともあれご無事だぞ!!」


市民の声は市民に広がり

店のオヤジ達のセリフが分かりやすいと言わんばかりに変化していく


「今日はうちの店の商品は全部半額だぁ!!」


「こっちは四分の一の価格だぁ!! もってけ泥棒!!」


「「「「「 コニャック様ご快復 バンザーイ!! 」」」」」



「ゲル……」



戸惑うコニャックに また別の理由で感謝の言葉を贈る市民が


「うちの子が経営の事に口出してきたんですよ

店を継ぐ気の無かった倅が学校行った途端……

毎日立派になって帰って来るんです……」


「育つ我が子が誇らしくて来月の学園祭がもう楽しみで楽しみで」



「ゲル……」



国の王女が何も言い返せなかった それでも市民の気持ちが変わることはない

一方的な感謝を伝えてるだけなのだから

しかしツバメは今のコニャックの心情を察することが出来たのか


「さ! 次に行こうよコンニャク娘」


「……」


ツバメは皆に会釈しながらコニャックを連れて裏通りへと入っていく


「せっかくだしノーム先生にも挨拶しておこうよ

……にしても本当にアンタは国に愛されてるわね~~」


「そ…… そうでゲルよ!! なんたって私はこの国の……」


コニャックは急に立ち止まり 握っていたツバメの手を不本意に放してしまった


「私が王女ではなく一般人になってしまったら……」


「……」


「ただの可愛い幼女になるでゲル!!」


「……ハァ そうだね ノーム先生のとこに行こ」


ツバメは離れた手を握り直し 裏町の診療所へと向かった

そこから遠くのビルの陰 日も当たりにくい暗闇に

潜む怪しげな連中が二人を睨み付けている事など気付かずに



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