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21話 3年Aカップ組は何します?


ーー私にはクソ兄貴がいます

高校に進学して真っ先に引きこもりを決めた親不孝者です

情報はこれくらいです いつも部屋で何してるか想像もしたくありません


「そんな兄貴とコボルトさんを一緒にするなんて正気ですかコンさん!!」


「似てると思うんだけどな~~ 皆に優しい正義の味方みたいなところとかさ」


「コンちゃんなのに理由付けが漠然としてる…… もしや」


「うん!! 恋してたよ?」


「えぇ?!!」


18年生きてきて これでもかという驚愕の真実

ついつい椅子からコケ落ちる 離れ技なギャグを見せてくれたツバメは立ち上がれなかった


「でも告白出来なかったな~~ やっぱりもしもの時は怖じ気づいちゃんだよね~~

……なんかカザド先生の気持ちも分かってきたかも」


「そんなことよりって言いたくなるくらい驚いたんですけど……

あんなニートのどこかが良いんだか……」


平穏無事に終えた昼食の時間は日常を取り戻し

今日は何事もなく放課後を迎えることが出来た


「ちょっといいですかね君達?」


帰ろうとしていたツバメ達に凜としたお声が掛かる


「確かクラス委員長のドリアードさんだっけ?」


「さんはいらない…… ちょっとだけ相談事があるんだ」


次々と生徒が帰っていく中

ドリアードとツバメ達含めた六人が 彼女の机を囲って会議を開いた


「それで相談と言うのは?」


「学園祭で行う出し物だ…… 不甲斐ない話でまだ決まっていない」


ドリアードの屈服でもしたかのような表情にコンは悟った


「なるほど…… 予想通りまとまりのないクラスだったか」


「どういうこと?」


「ここにいるのは王族貴族のプライド高い奴等ばっかり

国内に留まるならまだしも 経緯を遡ればここの王族であるコニャックの旦那は不在だった

旦那が適当にでも案を挙げてれば 貴族の生徒達は満場一致しただろうが

現状他国の王族留学生とのまさに国交状況下のクラスなんだから

そらバラバラになるわ」



「ご明察……

意見を出し合うも 誰かが誰かのマウントを取るかのように意見が散漫になり

国外の文化をも提示されたら 何が優れているかの優位性決定戦になる始末

虎が虎を木の周りで追いかけ回し合ってバターになってしまう深刻な状況なのです」



机に額を落とすドリアードにかける言葉あらず

隣に座るコンはただただ背中をさすって上げている


「あなたの脳みそもドロドロに溶けるわな……」


「私の身体も基本ドロドロでゲル」


「コニャックの旦那は愉快だね~~ まとめるのは本来王女の仕事だよ~?」


「私は王位を継ぐ気ないので関係ないでゲル」


やれやれと思わんばかりに首を横振りするコンは 机のノートを手に取り


「一応皆の意見は整理したんだね どれどれ…」


何ページにも渡る公論合戦が行われたであろう映像が浮かぶ

記録された濃い資料をコンは脳内で処理した


「要約するとだね~~

まず他の生徒達はメイド喫茶・お化け屋敷・異種ファッションショー・ライブショー

などなど学生らしいイベント案を各々出し合っていた」


「順調そうに見えるけどね……」


「だけど王族留学生 王子候補の四カ国の王子達は後出しで……


・北の小国【ノズラル】の王子 ラミア〝ゲンブラー〟


『あなた方はトップクラスという自覚はないのですか?

この国の将来を担う者達であるならば もう少し利益を専有する利権者ということを自覚なさい

庶民と同格の出し物で済ます気であるならば 私達のクラスは降りた方が賢明だと思いますよ』


・東の小国【イストラル】の王子 ドラゴン〝セイザン〟


『俺の国じゃぁ年に一度〝竜兵祭りゅうひょうさい〟って祭が行われる

代表者何名かを選抜して魔獣討伐に行くんだ

戦果はその晩のメインとなり 国の英雄として名を残せる

戦力至上主義の我が国は 強けりゃとりあえず食いっぱくれない』


・南の小国【サウスラル】の王子 イカロス〝スザク〟


『本国の文化はあまり理解していないのですが外野から失礼します

我がイカロス族からすると

まず催し物や出し物など 俗情から生まれた言葉を現在まで語り継がれてきたというのは如何な物かと思っております

儀式という名で伝わる仕来りは全世界共通かと思ってましたが……

品を重んじる我等を代表とする共生の国に紡がれるのは先人達に恥じぬ

美しいマナーだということを尊重してもらいたいものですな』


・西の小国【ウェストラル】の王子 セリアンス〝ビャーゴ〟


『どの項目でも別に良いんだけどさ~~ 

やっぱり女の子は布を少なくして頑張って頂きたいね

ギリギリのサービスってテーマで後日会議を開きたい 娼婦まではイキ過ぎないよ?

え? 俺が参加したい前提で言ってるって? 別に楽しんだって良いじゃん?

そういう他が出来ないことに踏み込んでみてさ~~

何なら個人別でオプションを選べるなんてシステムの導入も考えてるんだよね~~』


……うん~~」


コンはノートごと机を窓際まで運び出し

発狂の一声を添えて窓の外へと机をぶん投げた


「クソリプじゃねぇぇぇかぁぁぁぁぁあああああああ!!!!」


「コンさん…… それ私の机……」


「ハァ…… ハァ……

マジレス・自分語り・イチャモン……

最後のビャーゴに関してはマジキチ以前にキモい!!」


コンは身体の全てを使って生理的な拒否反応を見せる

一方ドリアードは窓の下に散らばる机の残骸を涙目で追悼していた


「性癖の露呈が清々しいですね ビャーゴさん」


「そんなことないさ! 生きとし生けるもの皆…… 正直が一番だと僕は思いますがね」


ツバメが座っている椅子の背後の席では 何故かビャーゴも居残っていた


「コンニャク娘といい あなたといい…… この世界の王子達は曲者過ぎるでしょ」


「私は至って健全でゲルよ!! ツバメを愛し ツバメの気持ちを受け止め

ツバメの性癖に従順で ツバメの欲求不満に対して素直に奉仕する

これほど精力絶倫な……」


「私…… 寮を出てまともな家庭にホームステイでもしようかな…… 土下座して回ってでも」



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