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18話 JKナメんなよ


学園一階の食堂と購買部が連結する広い空間にて

ツバメ達と不良生徒ショージ達が衝突していた


「どうするショージ……」


「所詮女だ この大勢に勝てやしねぇよ

しかも異世界からやって来て 左の小娘はコニャックの嫁と名乗ってるって噂だ

バリバリ王族の暮らしを欲しがるビッチじゃねぇか」


「自発的に言った覚えはありません!!」


ツバメの必死の弁解も意味を成さず ショージは周りの荒くれ者共に合図を下す


「半殺しで勘弁してやる

……これから下等生物のお前らは俺達に挨拶を忘れないようにな」


ショージはその場を去ろうとすると同時に 彼がいた視界は仲間達で覆われた

やる気満々のゴロツキ達が圧倒的な優勢の空気を臭わす だが


「どうするツバメ様!?」


「〝様〟って付けないでコンちゃん!! えとじゃぁショージを押さえられる?」


「周りのゴミは?」


「大丈夫 一応だけど 私チートスキル携帯してるから」


人差し指と中指を交差させて両手に二つの輪っかを作るツバメは 立ち膝になって念じ始めた


「輪っか作るのは意味があるの?」


「この力は自然の真理を操作することが出来るから

その過程で循環させる感覚を覚える為に編み出した…… ただの癖だよ」


「何か凄そうなの見れそう」


「実際凄いよこの能力 私自身が自然を支配する摂理そのものになっちゃったんだから」


イキイキと語るツバメを見てコンは安堵していた

既に能力はツバメの心象風景を現実にしている


「んぁ?」


モブの一人が肩を叩かれた


「……テーブル?」


食堂に並べられているダイニングテーブルと椅子達が 集団の周りを取り囲む


「一家に一台二足歩行の家具はいかがですかぁ? 拘束!!」


気付いた時には食器棚も食器込みで歩いてくる

アンティークシリーズの攻め具合は 周りにメルヘンと恐怖を与えた


「なんだこれ? ショージ助けてくれ!!」


次々と捕まる中 あっという間に残りはショージだけに


「何なんだてめぇら……」


「コニャックの旦那と傷つけられる種族を守る女子高生だよ!

でも安心して…… ツバメみたいに特殊な力は持ってないからさ」


「能力は人には見せねぇもんだからな この人数が多い空間で口に出さないのは正解だ

だが女が生身で俺に勝てると思うなよ!?」


「まぁグチグチ言わずに あんたは地ベタに倒れときな!!」


「……ひん剥いてその威勢を潰してやる」


襲いかかってくるショージに構えるコン

しかしその構えは武道を歩む者が体得する 普通の人には真似出来ないものだった


飛びかかる拳に対して半身を取るコンは 相手の関節を知り尽くしているであろう滑らかに捌き

体重移動を駆使してショージと密接になり そのまま誰もいない壁へと投げ飛ばした


「ヤバッ…… 床に押さえつけるつもりが投げっちゃった」


「今の合気道?」


「やはりモノホンに襲って来られたら手加減とか出来なくなるんだね~~」


乱れた服装を直すコンが見た光景は

机や椅子に抱きしめられている生徒達とその中心にいるツバメ


「完封勝利だね!!」


「コンちゃんってあとちょっとで人間やめれると思うよ」


「まぁ私はツバメを守る為にやって来たもんだし これくらいチートじゃないとね!!」


「チートスキル二つになっちゃったよ」


「……でもいつも助けられていたのは私の方なんだけどね」


ツバメに聞こえないように呟くコンは手の平を翳す


「ほらツバメ!! いつもの!!」


「何だっけ……? でもまぁやることは察せる」


勝利のハイタッチ

そこへウホマンドとハーフルが駆けつけた


「すごいな君等……」


「あの…… ありがとうございます!」



「「 いいっていいって!! それより昼休みが無くなる!! 」」



息が揃った二人は ウホマンドとハーフルを引っ張って屋上へと向かった


「あと30分…… もう授業中にでも食べようかな……」


「大丈夫だと思うよ 私も早弁してたし」


二人が屋上の柵に両腕を置きながらダベっている傍では ハーフルが蹲って泣いていた


「大丈夫かハーフル? さっきのは気にすることじゃない」


「だって…… 私の所為で皆に迷惑かけて…… フゥェ~~ン!!」


泣いてるハーフルにコンは興奮気味に近寄って


「ロリの旦那よりもロリの需要全開だなコンニャロー

全然気にしなくていいんだよ~~ ハァ可愛い~~」


「そういえばコニャック様はどこへ?」


ギュッと抱きしめるコンはウホマンドと一緒に辺りを見回していると

物陰でイジけているコニャックを発見した


「何してるのコンニャク娘?」


「私なんかいなくていいでゲル…… 私なんかいなくていいでゲル……」


「なに自己否定を復唱してるのよ!! ほらすぐこっち来る!!」


ズルズルと引きずられてきたコニャックのふて腐れ顔は見てて笑える


「何で食堂で私を置いていったでゲルよ~~!!」


「仕方ないでしょ 今はハーフルちゃんとウホさんが傷ついているんだから

ほらコンニャク娘も差別で傷つけられた種族に慰めの言葉は無いの?!」


コニャックはハーフルの方を見るなり


「ロリガタキ……」


「恋敵みたいに言うな!!」


ふわふわのコッペパンモドキでツッコミを入れるツバメ

モチッと叩かれたコニャックは 何も言わずに教室へと帰っていった


「ヤキモチだねありゃぁ…… ツバメは愛されてるね~~」


「まったく……」


絶望的にも進んだ時間はチャイムの音色を奏でる


「とりあえず授業始まっちゃうから行こうか」


「ハーフルちゃんも行こう 友達なんだから助けるのは当たり前だよ ね?」


「はい…… アリガドゴザイバズ~~」


雲行きが怪しくなり 屋内に入ろうとするツバメの頭に一滴の雨水が落ちてきた


「ハーフルは嵐なんて呼べない 雨乞い程度の能力しか持ってないよ」


「へぇ…… どこまでも可愛いこと」



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