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ひきこもり勇者の英雄談  作者: 御影友矢
9/61

1回目08


 あれから十年が経過した。


 俺の生活は相変わらずだが、周りはかなり変化していた。


 一つ目は、俺以外の常駐勇者がこの村に出来た事。


 五年前の話だ。


 名は伊集院光。どこぞのお坊ちゃまきらきらネームだが、名は体を示すというか、高身長、超絶のイケメン、周りに優しく、カリスマ性もある。


 俺にも嫌悪感もなく気軽に話しかけてくる。


 この村のみんなが彼を大事にした。


 彼を慕って、異世界人を始めたくさんの人物がきて、この村は発展した。


 というより超進化的な。


 彼が遠征から帰ってきたら必ず人数が増えていた。一人以上は必ず女だ。美人だったり可愛い系だったり、様々だったが、皆が皆彼に惚れているのがわかった。


 べっべつに羨ましくなんてないんだからね。


 きもすぎる、豚がなに思ってんだが、といった感じだ。


 ハーレム集団や彼の仲間は俺を嫌悪していた。


 罵倒やリンチではなく無関心。居ないものとして扱われている。


 今や話してくれるのは光と受付の二人。


 コルナは三年前に結婚してこの村を出て、サヤちゃんはすごく綺麗になって、俺もどきどきしながら、もしかしたらと思っていたが、玉の輿でどこぞの貴族の目にとまり二年前に出て行った。


 引き留めればいいと思っただろう。無理だ無理。


 好感度が足りないのだよ好感度が。


 旅立つ前の夜、サヤと話す機会があったが、ものすごく良い笑顔だった。


 二つ目は見た目だ。


 みよこの進化した体を。オークだった体がふた周りほどでかくなってジャイアントオークに進化した。顔や体中ニキビだらけでガマ蛙状態、髭は仙人の様に伸び放題。


 うん、化け物だな。子供には見られただけでぎゃん泣きされ、新種のモンスター扱いだ。幸い光のはたらきかけで追い出されることはない。光様々だ。年下だが、神様仏様光様の如く崇拝している。


 今じゃ体が思うように動かず、英雄ギルドに行くのも命懸けだ。


 こんなはずじゃなかったちくしょー。


 サヤがいなくなり、急激に太った気がする。遊ぶ相手がいなくなり、サヤに搾取されていたお金で暴飲暴食したのがしたのが原因か。


 ふっ、七つの大罪か。悪役だな。


 そして最後ステータス。


 種族:人間?


 レベル:1


 職業:なまけもの


 称号:人間辞めました


 ステータス


 筋力:1


 敏捷:-3


 体力:-5


 知力:1


 魅力:-1億



 生存人数:1/20


 貢献度:-500(一位)



 これが現在のステータスだ。色々と突っ込み所満載だが、とりあえずなまけものは動物だ。それに人間辞めてねーよ。ぎりぎり人間だしん。もぉ~プンプン。


 うん、とりあえずそこは置いといて、なんだよなんだよ一億って、天元突破しすぎだし。光ですら千万なのに。


 えっそんなこと聞きたくない。おじさん話相手がいなくてさびしーんだよぉ。死にいく間際ぐらい語らせてクレヨン。寒いか、そうか。


 俺なりに明るくしたつもりだったんだがな。


 生存人数1の意味。


 詳細は知らないが一週間前、最終決戦があったらしい。誰と何と戦ったのか俺にはさっぱり分からない。ぼっちで悪かったな。光や受付に聞こうにも忙しそうで聞けなかった。光達異世界人の多くがこれに参加し敗北した。


 光を初め多くの人が亡くなったらしい。


 始まる前は同期の生存人数が十人いたが今は一人だけ。


 村人も悲壮で、俺も知らせを聞いたときは悲しかったが、葬儀には参加させてもらえなかった。嫌われてんな俺。


 そして、この町に発展した村に攻めてくると言う事で俺以外を除いて全員王都に向かって旅立った。


 何で知ってるかって、英雄ギルドの受付の人間がここに来て、義務的に教えてもらったんだぜ。凄いだろう。はぁ~。受付の人間は、重大なことがあった場合、そこに所属する英雄ギルドのギルド員が危険だった場合には伝える義務があるらしい。俺が質問する間もなく事実だけを伝えて帰って行ったさ。所詮そんな関係だったよ畜生。コルナの方がよかった。怒られ叱咤され、顔はいつも不機嫌そうだったが、まだあったかみがあった。


 公認の受付は駄目だ。俺に対して人形の様に無表情で機械的な声。光や外のものに対しては笑顔を見せるのに。今現在で話せる唯一の人物だから泣けてくる。


 そして、今現在俺は死の間際にいた。


 襲われた。もう少し後のはずなので違う。


 餓死か。お情けで一ヶ月分の食料は置いてあった。


 なら何故か。答えは太りすぎて、血管がつまり、心臓が止まりそうだった。


 俗に言う心筋梗塞。


 もう意識が。さらば、主人公なのに主人公してなくてごめんな。




 こうして、





 俺の









 一回目の人生は









 幕を閉じた。


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