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ひきこもり勇者の英雄談  作者: 御影友矢
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8回目27


 事態は深刻だ。あれから史香と真理が帰ってきて、みんなで集まって話し合っているが、勝てるビジョンが全く思いつかない。


 真理は翼を案内しているときに色々と聞いたが、メイドと秘書がいる自室で書類仕事をしているときに巻き込まれたらしい。


 そんなピンポイント聞いたことがない。しかし、巻き込まれた人数は三人なので辻褄はあっている。

 歳は23で東京大学経済学部に在籍し、司法試験にも現役合格、複数の大企業にもコンサルト業をしており、自分の会社も複数持っている。


 まさに人生の勝ち組。


 そして自慢たらしくなく、驕らず、時折ユーモアを交え、爽やかに話してくれたらしい。


「かなり厄介、真理がいなければ呑まれていた」


 史香はそう言い、体を掻き抱く。


「あれはおそらく、天然のたらしと人身掌握術に長けているんだろうね。心理学や催眠術も習っていそうだ。ふむ、実に興味深いよ、どうやったらあんな声色だせるんだろうか。知ってるかい、人が心地良いと思う周波数は個人差がある。でも翼は話す人によって微妙に声色を変えている。まるで誘惑するかのように。英雄色を好むとは良く言ったものだ」


「関心している場合じゃないと思うんだな。さっき言おうとしたことは何なんだな」


「ああ、それはだね」


 真理は眉間に皺を寄せ険しくなる。


「参ったね先手を打たれたようだ。そのことを考えると頭に靄がかかって思い出せない。思考も低下するようだ。不幸中の幸いは、今すぐ攻撃してこない点かな」


 真理は周りを見渡している。何かを確認するように。


「もう五人も取り込まれたか、思った以上に早い」


 えっ、なにも変わってないような。


 指さした五人は京夜、あずさ、史香達のクランメンバーの三人。


 動きは迅速だった。


 やばい。


 突然襲いかかってきて、俺は縮こまり防御態勢をしたが、周りの人達が五人を気絶させて、事なきことを得た。


 一体何が。


「トリガー系の催眠魔法か、京夜は翼と親しい間柄、あずさは心が弱っていたのはつけ込まれたか、三人組はイケメン好きだからね。それにしても何時かけられたか。翼とは来てから、別れるまでずっと一緒にいた。なのに、こんなことになった、分身か幻術かはたまた幻惑か、参ったねほんとに。敵ながら天晴れだよ。目が覚めたら元に戻っていることを祈ろうか」

 」


 真理の顔は今まで見たことがないほど心底疲れきっていた。


 何でも理解できる真理が匙を投げるほど、翼は鮮やかに仕掛けてきた。


 やがて、京夜が一番に目が覚めた


「畜生、翼のクソ野郎が、俺様をはめやがって」


 開口一番京夜は悪態をつく。


 聞くと、少し塞ぎ込んだあずさを元気づけようと、五人でダズニーランドに買い物に行ったらしい。


「私は家で待機するよう言ったはずなんだけどな」


「そりゃあ、その、悪かったと思ってるよ」


 悪かったと思っているのか、京夜はばつがわるそうな表情をしている。


「かく言う私も、あずさのメンタルケアを行ったのが原因の一つだね。私も冷静じゃなかったみたいだ」


 既に真理は、その後の結末を分かっているみたいだが、俺にはわけわかめだった。というか展開に全くついていけない。


「歩いていると突然、広場の方に光が降り注いで、少したつと翼がいたんだ。警戒していたが昔のよしみでだんだんと話が弾んでいっちまった。三人組はめろめろになっていて、あずさも優しい感じにころっといってしまった。それから先の意識がない。気づいたら家の前でブーの顔を見て、なんかいらついたというか、殺さなきゃいけないと思っちまったんだ。いつかけられたかわかんねー。役に立てなくてすまねー」


「おそらくどちらかが偽物なんだろうね。京夜でも分からないならかなりの精度だ。実に興味深いが、今はそんなこと言ってられないね。今すぐ」


 そこで真理は言葉をきった。


 んっ、どうしたんだ。


 怪訝に思い、声をかけようとしたが、真理がふらりと倒れた。


 きんっと言う音がする。


 後ろを見ると、史香以外倒れていた。史香も、どこから入ってきたか、初老の執事風の男と交戦中だ。


「ブー、逃げて」


「わっ分かっただ」


 俺は一目散にサヤの家から出た。一つも疑わずに。今思えば、あのときみんなを起こしていれば結末は変わっていたのだろうか。


 それは誰も分からない。


 しかし、俺は最悪な選択をしてしまったのだ。


 忠告されたはずだった。一人にはなるなと。


ここまで読んでいただきありがとうございます。




ここからはギャグです。


あいだ みつを ハナハナ


パチスロかいな!



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