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ひきこもり勇者の英雄談  作者: 御影友矢
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1回目03


 頭が痛い。昨日のデジャブだ。


 基本代わり映えしない一日だ。


 馬小屋で起きて、顔洗って、英雄ギルド行って、金貰って、サヤにほとんど取られて、遊んで、酒飲んで、寝る。基本はそんな感じだ。くそみたいな生活で、何の面白味もない。


 小年少女諸君、この後期待している皆様へ。この先なにも起こらないぞ。物語なら起承転結があるが、俺の場合は起起起起で終わる。


 はぁ~、朝から鬱だ。


 何とか起きた俺は、井戸で顔を洗い、昨日と同じく英雄ギルドに行こうとして立ち止まる。


 誰だあいつ。


 見慣れない人物がいた。


 顔は可愛らしい系、身長は平均ぐらい。リスみたいな口に小少し垂れ目で小顔。年は高校生ぐらい。髪型はツインテール、小柄で不安そうにきょろきょろ周りを見ており、俺はピンときた。


 これは俺と同じ異世界人だ。


 ふっふっふっ、俺の時代が動き出したぜ。


 何故彼女が異世界人だと分かったかって。


 えっ、どうでもいい。まぁまぁ聞いてくれ、何故なら彼女の服装が学生服だからだ。


 千載一遇のチャンス。そう、うまく行けば底辺から脱却でき、馬小屋じゃなく、久しぶりに暖かいベットで寝れるチャンス。


 だがしかし、俺は気付く。最大の難関が俺を襲う。


 そういえば俺は極度の人見知りで、引っ込み事案だった。


 どうする、もし村人が案内したらもらえない。


 勇気を振り絞れ、ファイト一発。頑張れ頑張れ俺。


 俺はなけなしの勇気を振り絞り彼女に近づく。


 彼女は一瞬嫌悪する目で俺を見たが、すぐに助かったような表情で彼女の方から話しかけてきた。


「すいません。私の名前は柊あずさです。ここって何処でしょうか。クラスで授業を受けていたら、辺り一面当然光って、気付いたら全然違う所に」


 チャンスだ。彼女から話しかけてくれた。


 後は俺が返答するだけだ。


 意を決して話そうとしたとき。


「お姉さんブータンと同じ異世界の人? サーヤが案内してあげる」


 サヤ、何故お前がいる。サヤを見ると、にやっ~とした笑顔で目はお金マークだ。


 呆然と突っ立ってると、俺を無視して彼女はほっとした表情で仲良く話しながらさっさと移動していた。やはり神はいなかった。


「まっ、待ってくれぇぇぇだぁぁぁ」


 せめてものおこぼれを頂戴するべく、俺は二人の後を追った。



 英雄ギルドに入る前に、何とか合流して三人(あずさはこっちを見向きもしなかったが)で入る。


 コルナは俺とサヤを見て一瞬嫌そうな顔をしたが、あずさを見て瞬時に切り替わり、にこやかな表情で言う。


「ようこそ英雄ギルドへ、ご用件は何でしょうか」


 あずさが何か言う前に。


「お姉さんの名前はあずさ、ブータンと同じ同じ世界人なの。サーヤが見つけて連れてきたんだよ」


「ありがとうねサヤちゃん。でもね同じ異世界じゃないと銅貨数枚程度しかお金はあげられないの」


 ここは英雄ギルド。異世界人のためのギルドだ。異世界人発見クエストというものがあり、住人が


 助けた場合、銅貨数枚程度だが、異世界人が連れてくると、クエストとして処理され、銀貨十枚貰える。


 だから見つけたら、同じ異世界人を呼び、報酬の一部をもらうのが暗黙の了解だ。


 それを知らなかったのか、サヤは顔を青くし、俺の方を向き、小悪魔フェイスに戻る。


 何回やな予感が。


「サーヤ、ブータンに言われていったの。サーヤ偉いでしょ~」


「あらあら、偉いわね」


 表面上はにこやかな二人だが、後ろに鬼が見えなんだかこっちが寒いのだが。


 しかし、俺が言わなければ。


 二人に割ってはいるのは嫌だが勇気を持って言おう。


「あ、あのぉ~」


「「ブータン(貴方)は黙ってて(ください)」」


 案の定二人に睨まれた。蛇に睨まれた蛙のようだ。


「お、おらどっ同郷の人に説明するのが、さっさきだと思うんだな」

 

 あっ、という声が何処からともなく聞こえた気がした。









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