表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/14

世界の逆転

コルネリア=エシャロット。

乙女ゲーム『姫騎士と盾の守護者』の登場人物であるアンジェリカ=エシャロットの妹。

しかし、乙女ゲームに彼女は登場しない。

年齢が低いから入学は厳しいのだが、それ以上に如何ともしがたい事実があった。


「あたし、二年後の春に、死ぬの」

「なんで!?」


コルネリア、前世の姉、琴音が可愛らしい顔をひくつかせて答えると、アンジェリカ、前世の妹、杏奈が凛々しい顔をぐしゃぐしゃに崩し半べそで聞いてくる。


「確か、説明書にあったのよ。アンジェリカのところで『主人公が入学する直前、平民が起こした反乱によって妹が殺され、それを切欠に平民嫌いとなる』って」


琴音は、ゲームは杏奈にさせてもらえなかったが、時々選択肢に意見を求められたりした為、ヒントとして説明書を読みこんだり、公式サイトを覗いたりしていた。ちなみに、ゲームを触らせてもらえなかったのは、杏奈が思春期で自分がメインで攻略してるキャラを知られたくなかったからだと推察しているが、琴音は誰を最初に攻略したかまで知っていた。黒髪ロン毛の幸薄そうな顔をした闇属性の読書青年だった。時折「似てる……」とつぶやいていたが、きっと芸能人の誰かに似てたのだろう。姉としては、なんか見ていて不安になるキャラでちょっと妹を心配していた。


「あ……思い出した……そう! そうだよ! アンジェリカって本当に平民が嫌いで、主人公と話すたびに嫌な顔しながら右腕のシュシュを見てた。多分、あれ……コルネリアのドレスの……」


今でもコルネリアが好んで着ているのは、ピンクのふわふわした可愛らしいドレスだ。

アンジェリカがそれを見て何度もかわいいと言ってくれたドレスで、コルネリアにとってはお気に入りの一枚。そして、アンジェリカの立ち絵には、青いアーマードレスには不似合いなピンクのシュシュが右手にあった。


「決まりね……」


コルネリアは、ふうと息を吐き、天を仰いだ。すると、横からすすり泣きの声が聞こえはじめる。


「あのねえ……まだ死んでないんだけど」

「でも……でも! 死んじゃうんでしょ! やだ! やだよ! なんでまたねえちゃん死んじゃうのよ! やだよ!」


泣きじゃくるアンジェリカ。コルネリアは、前世の記憶を取り戻してからのアンジェリカが本当にかわいくて仕方ないな、と思ってしまった。凛々しいアンジェリカももちろん好きなのだが、その凛々しい顔が百面相する様はギャップもあり、本当に素敵だと思った。

そして、その百面相の原因である杏奈のことを本当にコルネリアは、琴音は、大好きだった。

コルネリアの両手がアンジェリカの泣き顔を挟む。


「よく聞きなさい。私は、死なないわ。あなたを、残しては、絶対に」

「ひょ、ひょんとう……?」


ひょっとこみたいな顔をしてアンジェリカが呟く。

可笑しさと愛おしさで堪らなくなったコルネリアは大きく笑い、アンジェリカに宣言する。


「私は、今、生きてるもの。そして、ここは乙女ゲームだけど、私たちはただのゲームキャラじゃない。生きてるのよ。だったら、逆転してやろうじゃない、この絶望的なストーリーから」

「う、うぶ!」


ひょっとこが一生懸命頷くと、今度はキツネ目のひょっとこになり、コルネリアは「ぶちゃいくだなあ」と笑った。


お読みくださりありがとうございます。


楽しいだけで書いています! が、もし同じように楽しんでいただけているならば、嬉しいです!

明日まで終わらせる勢いでどんどん更新していきます!


また、ブックマーク登録や評価してくださった方ありがとうございます。


少しでも面白い、続きが気になると思って頂けたなら有難いです……。

よければ、☆評価もしていただけるとなお有難いです……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ