第2話 こんにちは、生徒会
小説のペース配分がイマイチ掴めないです。
「あー......ではその......質問k...」
丹生田が『質問』という言葉を放った瞬間、餌を目の前に放り込まれた猛獣のように、群がる。群がる?群がってんのあっちだぞ...?
「はい!!ま、まずその...その子達はなんなんですか!?!?!?」
二本の三つ編みを揺らしながら委員長こと高波真央さんが序盤に斬り込む、いい質問ですね。うん。
「あぁ、この子たちか、この子たちの自己紹介も確かに必要であるな!」
違う、そうじゃない。
きっと委員長は『何故この学校にその無数の動物を連れてきている』事に対して質問をしたんだろう。
「このゴールデンレトリーバーは、マリーだ!」
ワンッ!!!
可愛い。いや動物は俺も好きだ、犬派だ。可愛い。
...いやそうじゃない、そうじゃないんだよ艮くん...。
「相変わらずマリーは堅苦しいあいさつをするなぁ」
ワンワンッ!ウー...ッ
「いやいや!!いいんだ、それがお前の良さだからな!!」
...???しているのか?やはりドリトルなのか?会話を、会話をしているのか?
「んでこいつがラグドールのサラだ!」
...ニャーン
気品溢れる猫という感じだ。猫はあまり詳しくないのか、こんな美しい種類があるのを初めて知った。美しい。
...いやそうじゃないだろ良平。
「サラはこう見えて結構ビビりっつーか...お嬢様みたいに喋るんだけどほんとビビりなんだよなぁ...」
......マーオ......シャー...!!
「ご、ごめんて!!嘘!!!嘘だから!!!やめて!!!悪かった!!」
艮が猫に謝罪をしている。
何を言っているか、彼にしかわからないため生徒や先生は未だにポカーン...としている。そりゃそうだ。
「次に!こちらコザクラインコのサクラコ!そしてハシブトカラスのアポロンだ!!」
緑と赤色の美しいインコと、真っ黒なカラス。
......いやそれ以外の感想あります?むりむり、俺小説家とかじゃないもんスラスラでてこねぇよ...。
「んでこいつが...」
胸ポケットから顔を出す、誰だお前は!!!!
生徒たちも動物の紹介に興味津々である。
「ショウガラゴのショウだ!」
ヴー!
ショウガラゴ、初めて聞く。そんな小さい...猿...猿??猿なのか??
「最後になるが、こいつが...」
フードから何かを取り出す。武器か、トゲトゲしいものが出てくる。こいつは知ってる
「こいつはミツユビハリネズミのアップだ!」
.........
「いや一応さ、自己紹介だよ?もう少し積極的に...あー...はいはいわかったよ、がめんな起こして」
ハリネズミを再びフードに戻す。
「以上だ!!!!他に質問はあるかね」
質問コーナーが再開する。
「は、はい!!!!なんで動物を連れてきてるんすか!!!学校は許可したんすか!?」
このクラスの中でも上位のカーストに位置する城ヶ崎五郎が斬り込む。
「うむ!わたしには父や母や兄弟がいなくてな!!この子たちがその代わりになってわたしを育ててくれたのだ、いわば家族だな。...だがこやつらだけを置いていくのもわたしには...その...耐えられないんだ。校長に直談判したら特別に許可をいただいた。」
頂けるのか、許可を。生徒たちが顔を見つめ合い不思議な表情をする。すると担任が口を開く
「あー......補足説明だ、艮くんは見ての通り動物と会話が可能だ。その力で実は数々の事件...ってほどでもないが人々を助けてくれてる、その実績も評価されて、上の人らもオッケーしたんだろう」
なるほど、なるほど?まてまてまたもや情報量だ。
人助け???幼馴染の梨沙が質問をする
「はい!人助け?ってどんなことをしたの??」
「そうだな、失くした大事な物を探したり、窃盗犯を捕まえたこともあったな。どれもわたしの家族のおかげだよ」
「すこいですね!!」
I.Qが低そうな返答を目の前で行われた。でも笑顔が眩しいのでよしとする。可愛い。
「あー他に質問はないか」
本来の転校生なら好きなものとか、音楽とかどこからきたとか、聞かれるんだろうがおそらく生徒たちは目の前の不思議な実態だけでも知ることができて満足なのだろう。というかお腹いっぱいだ。
「ないなら、そうだな...席はー...立花の横だ。」
立花くんったら可哀想に、きっと学校の中を案内したりしなきゃいけないんだろうな。南無三...。俺じゃなくてよかった、残念だったな立花くん。
「さっきも会ったな!あの時は親切にありがとう!」
俺でした。
「あ、あぁいやいいんだ。」
他愛ない返答しかできない自分が不甲斐ない。
「後で他の教室も案内してくれると助かるのだが...」
「まぁ、いいよ。案内する。放課後でいいか?」
「すまない!!」
幼馴染が元気よくこちらに振り向く。
「はいはい!わたしも案内する!!3人でまわろー!あたし、真鍋梨沙!よろしくね!」
「うむ!よろしく頼む!!んでそちらは...」
「あ...名前...まだだったな。立花良平だ。よろしく頼む、う、艮」
「巽でいいぞ!」
こうして、放課後に教室を案内することになったのだが...
〜国語〜
「この時の作者の気持ちを...そうだな、転校生くん。できるかい?」
「無論!!わたしは作者ではないため!!わかりません!!」
「いやあのね、こういうのは意図を読み取るというか、汲み取るのが問題であってね...」
「しかし!!この作者がこの作品を書いている時、お金に困っていたかもしれない!!なんとしてでも売れてくれ!!!!!!と思っていたかもしれないだろう!!!!」
先生も周りの生徒も静まり返る
先生がうろたえながら
「は、はい。もういいよ。座って...」
「うむ!!」
これは...間違いなく変人認定されるだろう。
〜数学〜
「この問題をせっかくですし艮くん。できますか?」
「む、無論!!.........ここ.........なに...?」
「(そこは6xよ)ワンッ!!」
「ろっ...6x!!!!!」
「正解です」
「シャァオラッ!」
カンニングだろ。忍者のテストかなんかかここは。
そんなこんなで授業は終わり、案内をする時間がきた
「ん〜疲れたなぁ頑張ったなぁわたし!」
「(ほとんど僕たちのおかげじゃんか!)ヴッー!」
「いやいや少しは自分で考えてたって...!!」
「(嘘ね、私たちがいなかったらどうなってたか)ニャニャニャー...ニャーオ」
「普通転校生にあそこまで当てるもんか!?容赦ないな!!」
気持ちはわかる。
「ほら、案内してやるから準備しろよ。」
「いこういこーう!!」
「うむ!すまない!」
こうして、各教室を紹介していく。
「ここは理科室だよ!」
「うむ、薬品ばかりで鼻が死にそうだ。なんかもう死んだわ...」
「顔が死んでおられる...鼻いいんだな」
「うむ...まぁな...」
「...ん?次は音楽室か?」
「ん?まぁそうだけど、なんでわかったんだ?」
「楽器の音がな...」
「耳もいいんだねー!!」
「この際だから言うが、目もいいぞ。うむ」
「まるで動物だな...」
「...む...?ここは?生徒会室?」
「あー...いやいいんだここは俺たちには無縁の場所だ...」
「無縁ってことはないでしょー?」
「無縁だよ、俺みたいなモブには関わることのない問題だし」
「君だって主人公だぞ!!!」
どこかで聞いたことのあるセリフ。それと隣でドヤ顔の幼馴染。なにこれ。
「それにー無縁ってことはないでしょー?ひなちゃん書記だよね」
やめろやめろ。
「む?知り合いが生徒会にいるのか?」
聞くな聞くな。知らんぞそんなやつ。
勢い良く生徒会室のドアが開き、そこに立っていたのは短髪の女生徒。
きちゃったよ。
「やぁ良平くん。相変わらず辛気くさそうで反吐が出ますねぇ...」
開幕喧嘩売るってこいつはなんなんだ。
生徒会書記、相沢ひな。俺たちのもう1人の幼馴染。何かにつけて俺に当たり散らす。
「じゃあ話しかけないでもらえますかね...僕たち今忙しいんで」
「はぁ!?話しかけてるわけじゃないし!!なんなの!?あっ...!梨沙ー!!!!」
「ひなちゃーん!!!」
女性同士の熱い抱擁、いいぞもっとやれ。
「梨沙もこのアホと一緒なの?なにしてるの?」
アホって...
「えっとねー、転校生に教室案内してるんだーー!」
ご機嫌にドヤ顔でひなに言う。
「そういえばそっちのクラス転校生がきたらしいわね......あなたがそうなの?」
「うむ!!概ね合っているぞ!」
なんで他人事なんだ?
「............ごめんなさい、スルーできる力を持ってないわ。なんなのその動物たちは!?!?!?!?」
「許可はもらっている。以上だ。」
「省略しないで!!」
「いや...だってもうこれ説明するのだるいぞ...先生に聞いてくれ...」
気持ちはわかるぞ、わかる...わかるんだが...
「あー...実は...」
俺が説明した、こう言う時は俺がしなきゃいけない。
「...なるほど...それを...校長は許したのね...でもね...校長が許すことがあっても生徒会長が許すかしらね!!」
「「えぇ...」」
初めてこの男と気持ちが重なった。面倒な展開だ。
「どーしたら認めてもらえるかなー...?実際に困ってることを助けてあげるとか...!!」
「うむ...出来ることならそうするが......そうだな、とりあえず生徒会長に会って話がしたい」
「今日生徒会長休みなのよ。だからそうね...本当にそう言う力があるなら、頼みたいことがあるわ」
あるのか、都合よく。
実際に俺も巽の力を見てみたい。そんな特殊能力を持った人間がいるなんてこの世界、中々捨てたものではないぞ!
「わたしね、駅前でヘアピンを落としたみたいなの」
私情。
「あー!そういえばなくなってるね!!」
私情かよ。いいのかそんなんで。
「でもよ、駅前ってすげぇ人混みじゃね?もう取られてたらいくら巽でも無理なんじゃ」
「可能だな」
...今なんって言った?
「あんた...本当に言ってるの?」
「可能だ、と言ったのだ。無論、同じものを買うとかではなく、失くしたものを探し出せばいいのだろう?」
「できんのか?」
「できるとも」
自信に満ちた表情。なんだろう、真面目な顔つきになった。
「さて、条件は他にないかな」
「な、ないわよ。そうね、期限は設けないけどできれば早めがいいかしら」
「まかせろ」
力強い返事と同時に動物たちにも気合が入ったように見える。
物語がどんな感じか掴めましたか?僕は掴めないです。