1匹目
あらすじで若干ネタバレしちゃってます、すいません…
しがないサラリーマンをしているこの俺、小野寺浩太(27歳)には秘密がある。同僚や友人、親でさえ知らない秘密が…
マンションのマイルームのドアを開けるとほら、
蛇の出迎えから始まり、インコのおかえりを聞き、
亀の甲羅を磨いてやり、カブトムシの蛹の様子を見る。
そう!趣味でブリーダーをしているのだ!
しかしブリーダーと言っても俺は2年前に蛇を飼い始めたような素人駆け出しブリーダーなのだ。
だが現在、俺はブリーディングの魅力に完全に取り憑かれているようだ。
動物達は愛情をかければかけるほど懐いてくれるしカブトムシは手間をかけるほど立派になるなど色々学んだからだ。
ゆくゆくはプロのブリーダーとしてサラリーマンなんて辞めて商売を始めてみたいものだ。
自分で育てたものたちを喜んで欲しがってくれる人が現れる………どれほど心地いい事なのだろうか想像も及ばない!
現在飼っているのはガラガラヘビ2匹とコンゴウインコ1羽、ゾウガメ1頭とカブトムシの蛹4匹だ。
まだまだ増やしたいが1ルームのマンション暮らしのしがないサラリーマンの自分には今はこれが限界であることは理解している…つもりだ…
上司に作成するよう言われていた指示書の事を思い出して頭が痛くなる。
(お前達と一緒にずっとまったりしていられればなぁ…)
などと考えていたその時、
ガタガタとテレビやタンスが揺れだした。かなりの振動が自分の内臓まで響くように感じた。床に置いていた蛇とカブトムシのケージと違い、腰ほどの高さの棚の上に置いていた亀のケージを慌てて抑えた。
(なんだ⁈地震か?いや、何かおかしいな…)
違和感を少し感じた。
テンパりつつもなんとか振動が収まるまで耐えた。
地震ならば振動は地面から伝わる。よって床から揺れるはずである。しかし先程の揺れは部屋全体が揺さぶられたかのように揺れたのだ。
(一体何が………)
少し恐怖を感じていたその時、
“コンコン”
とドアを叩く音がした。
(こんな非常事態に誰だよ…!)
そう思いながらも渋々ドアを開けた。
そこにはいかにも古風な和装、というより弥生時代の人々が着ていたような服を着た銀髪の老人と煌びやかな宝飾が散りばめられた青が主体のドレスを着た金髪美少女が立っていた。
「な、な、な、なんだお前たちは⁉︎宗教勧誘ならお断りだ!帰ってくれ!」
いきなりそんな2人を見て俺はかなりびっくりした。
だがもっとびっくらこく事になるのだった。
“ワシらは じゃ”
神
“私達は です”
2人は同時に、たしかにそう言った。
なんか大変なことに巻き込まれそう…ってか巻き込まれちゃってる⁈
あらあら、この流れは…