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あなたは何を視ますか
誰もが一度は思ったことがあるのではないか。
あの山の向こうには何があるのかと。
頭の中ではわかっている。
が、少し考えてしまう。
もしかしたら、巨人がいるかも。
いや、何もない空間があるかも。
あなたは何を向こうに視るか。
家の近くのグラウンドで、高校球児が大きな声を揃えて走っている。
その声で今日は目が覚めた。
起きるのは何時でもいい。
今日も学校に行かなかった。
前日から親には風邪だと言ったが、
本当は違う。行きたくないのだ。
友達はいる。虐められてもない。
ただ、振られたのだ。
ただそれだけ。
目が覚めても瞼をつぶり、
あいつの事以外を思い浮かべる。
今は現実なのか、夢なのか。
正直どうでもいい。
あ、もうすぐ秋は終わるな。
そろそろ寒くなるのかな。
普段と違い、この気持ちは何故か
必要に感じられる。