第五話
僕の勘違いもあって話がなかなかかみ合わなかったけど、ようやく焦点が定まってきたかな。
ガガロックを見るとふんすとした顔をしているよ。
これは納得した顔なのかな。
「ダグルが子供を作る時はもちろん二人で作るんだぜ」
そうしてあっさりと聞きたかった答えが出てきたよ。
でも、雌雄の区別がないのに二人で子供を作るとか、まるでなぞなぞみたいだね。
答えはまたもやガガロックがあっさりと教えてくれたけど。
「欲しい能力をもった相手にお願いして子種を貰って交尾するだけさ」
あー普通に交尾の概念はあるんだね。
「それで、雌雄の区別がないのにどうやって交尾をするんだい」
最後に残った疑問点をがガガロックに問うと予想通りの表情を返されたよ。
このやりとりも段々と慣れて予想も出来たからね。
「なんで雌雄の区別?ってやつがないと交尾が出来ないと思っているんだ」
不思議そうな顔をしながら聞いてくるガガロックだけど、僕だって不思議だよ。
「ん~」
そもそもの前提が何かズレているような気がして悩んでいてふと思ったことがあってガガロックに聞いてみたよ。
「ガガロックは子供を産めるのかい」
そう聞くとガガロックの表情はまたもやふんすと誇らしげになったよ。
その表情をみれば答えは聞くまでもないようだけどね。
「もちろんだぜ。ほらな!」
予想通りと思っていたところに予想外の結果が突きつけられたよ。
ほらなと言ったガガロックの姿があっという間に変わっていき、その見た目にびっくりしちゃったよ。
でも、その変化を見てようやく合点がいったね。
ダグルに雌雄の区別はないけど、子供は二人で作るというなぞなぞみたいな問題。
「この通り、子種を貰えば子供はいつだって産めるぜ」
ガガロックの見た目は女性としか言えない体型に変わっていて答えを体現していたよ。
「ほぇ~」
最初に会ったときは引き締まった筋肉質な見た目で男女の判断に悩むような感じだったのに、今見えるその姿は誰が見ても魅力的な女性と答えるだろうね。
感嘆の声を上げているとその表情だけは変わらずにガガロックをふんすと鼻をならしているよ。
「もしかして適化を知らなかったのか」
何かに気付いたみたいにガガロックが聞いてきたので素直に返したよ。
「女性化することを適化っていうんだね、気付かなかったよ」
僕の答えを聞いてガガロックをチッチッチッと指と首を振っているけど何か間違ったことを言ったかな。
「お前はまた勘違いしているだろう?俺にも分かってきたぜ!」
ニヤリと歯を光らせて再びガガロックの姿が変わっていくよ。