第四話
ガガロックの話ではダグルに雌雄の差異は無いってことらしいけど子供はどうやって作っているんだろう。
「ガガロック、君はズード・ヴァンデブルの子供って言ってたよね」
「おぅ!」
胸を張って答えるガガロックは誇らしげだよ。
でも、雌雄の区別がないけど親がいるってことは単一生殖なのかなあ。
これだけ複雑な生命で単一生殖ってあんまり無いんだけど珍しいタイプなのかもしれないぞ。
興味が出て来たのでガガロックにその辺りのことも聞いてみることにしたよ。
「ガガロック、君はズード・ヴァンデブル一人から産まれたのかい」
「ん?」
またもやガガロックは首を傾げているよ。聞き方が悪かったみたい。
仕方がないので言い直してもう一回聞いてみたよ。
「ガガロックが産まれてくるのに他の親はいなかったのかい。ズード独りで君を産んだのかい」
「一人で子供が産める訳ないだろ?」
「あれ?」
あれあれ、なんか想像していたのと違った答えが返ってきたよ。
普通に聞いたら当たり前みたいな話だと思うけど、でもでも雌雄に差異がないんだよね。
それなのに一人では子供が産めないってどういうことだろう。
僕までガガロックと一緒に首を傾げちゃったよ。
「じゃあどうやって子供って生まれてくるんだい」
「なんでラトはそんなこと聞くんだ」
不思議そうなガガロックに対して、僕の疑問を最初から説明することにしたよ。
なんだか話が嚙み合わないみたいだしね。
きっとガガロックの常識と僕の想像には結構な齟齬があるんじゃないかなあ。
「子供を作るのに普通は雌雄で交配するか、自分一人で分身みたいに産みだす二通りがあるんだよね」
ガガロックはとりあえず黙って聞いてくれているから続けて話したよ。
「ダグルには雌雄の違いが無いって話だったけど、でも親子の概念はあるみたいだからてっきり一人で子供を産む種族なのかなあって思ったんだよ」
「結局なんでそんな当たり前のことが知りたいんだ」
あれ?もしかして僕の動機とか疑問の理由を聞いていたのかな。
「僕は色々なことを見たり聞いたりするために旅をしているからね、興味があることは何でも知りたいんだよね」
「旅ってシールバンのやつらの方から来たのか」
「違う違う、僕は別の世界からやってきたのさ」
ようやくちゃんと話が通じたみたいで良かったよ。
最初は幼くてあんまり賢くないのかなあって思ったけど、失礼な勘違いしちゃったみたいだ。
ガガロックの方がシンプルで本質的なところを突いていたみたいだね。