婚約破棄
なろうで一番短い婚約破棄ものを目指して
その言葉は、高らかに祝賀会場のざわめきを引き裂いてみせた。
「悪役令嬢ワルイーノ!!そなたの諸行は目に余る!!
学園の個室や美術品を私物化し、平等が定めの場でありながら身分を振りかざし、成績や名誉を金で買い、あまつさえセイソナ嬢への執拗な嫌がらせ……………………ほとほと愛想が尽きた」
立ち振舞いすら凛々しいウツケモノ王子は従者や側近の美青年達を引き連れ、ワルイーノへと鋭い目を向ける。
「ワキヤク王が第一子、ウツケモノは宣言する!!
悪役令嬢ワルイーノとの婚約を破棄し、新たにセイソナ嬢との婚約をここに誓おう!!」
そう言った王子の横には、清楚なドレスに身を包んだセイソナ嬢が誇らしげに立っていた。
ああ、なんという悪夢だろう。
ワルイーノは学園の備品や部屋を私物化などしていない。
必要以上に身分を振りかざしてもいないし、優秀な成績は弛まぬ努力の結果だ。
だが、最後の一つには思いあたる節があった。
ワルイーノはセイソナを嫌っていたし、汚い言葉を浴びせもした。
服を汚すべく真冬に汚水を浴びせかけ、時にセイソナの私物であるドレスや絹の下着、愛らしいペチコートをもズタズタに切り裂いてやった事すらあった。
だが、それもこれもセイソナが悪いのだ。
「………ウツケモノ様、恐れながら申し上げます」
震える声でワルイーノは言った。
「セイソナとの婚約には無理がありますわ。だって――」
彼女、男ですもの
「「「「……え?」」」」
歴史上において伝説ともされている魔性の男の娘、セイソナ。
老いも若きも、貴きも賎しきも。
あらゆる男を魅了したという彼(女?)が、単なる女装趣味の男だったのか、性同一性障害で女性の心を持った人物だったのか、ノン気を補食するガチホモの擬態だったのか、
それは史実にも残っていない。
という一発ネタでした(笑)




