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人草子 プロローグ

作者: オペラオー(旧N.M)

僕こと、東頭(あずまず)開化(かいか)について、取り立てて語るというほどのこともないのだけれど、語らせてほしいと思う。



8月8日に17歳になる高校二年生の男子。特に得意なこともなく、これといった趣味もない。友達には困っていないが、なんというか、親友と呼べる人物に出会ったことはないように思える。親友。いつかは持ってみたいと思っていた憧れの一つである。その響きに憧れて、本物の親友を探そうとさまざまな無茶を友達に強いたことがあったが、結局親友と呼べる人物は現れず、逆にあいつは異常だと周りの友人を遠ざけることになってしまった。中学二年生くらいの頃だったろうか。



まあそれはいい。



学業は……平凡だ。一応県内の有名な進学校に通ってはいるが、成績は(かんば)しくない。これでも小、中学校では神童などと呼ばれていたのだが……挫折を知って人は強くなるものだ。中学三年の受験期にさしかかったときのこと、僕はそれまで自分の天才っぷりをまったく疑うことなく、この世のすべての問題は自分に解かれるために存在していると思っていたため、当然のごとくまったく勉強をしていなかった。別に性格はスレていない(つもり)だったので、はたから見て自分の才能におぼれているという感じには見えていなかったはずだが、今考えると周りにちゃんと友達がいたのが不思議なくらいの痛い子っぷりである。

僕は当時、日本最難関と言われていた超有名私立に受験するつもりだったのだが、母親がさすがに心配だと言うので、嫌々ながら全国統一模試とやらを受けることにした――いずれは分かってしまうことだが、とうとう自分の才能が日本全国に通用するものだということが公になってしまう、このままでは僕の将来性に目を付けた秘密結社同士で戦争が……などと本気で信じていた当時の自分を殴りたい。

みなさんもうおわかりだろうが、テストは散々だった。それでも、神童と言われていただけあって、全校平均は軽々突破し、なまじ天才と呼んでも差し支えないレベルではあっただろう。しかし僕の順位は100位を下回っていた。自分が唯一無二の神童だと信じていた僕の上にはなんと百人を超える神が君臨していたのだ。僕はその時、上には上がいるという当たり前のことを、遅まきながらに痛感したのである。



それ以降も、ぼくは勉強をしていない。なんともしょっぱい青春メモリーである。


まあ、それもいい。


僕がじつは、とある理由によって超能力者になっていることだって、このプロローグにおいて、つまるところなんの意味も持たない。


そう。そんなことはどうでもいいのだ。



まったくくだらない。物語において不必要極まりない、単なる戯言(ざれごと)だ。これから僕が語る物語は、こんな戯言とは全く関係のない話。僕ではなく、何かとつながっていた、誰かの話。最低で、くそったれで、しょっぱい……青春時代のトラウマをぎゅっと濃縮したような――そんな、物語なのだから。



それではお聞きいただこう。


人と人とをつなぐ、知りたくもなかったとっておきの話を。


僕が経験した二度目の裏切りを。


投稿時のミスで短編として掲載されてしまいました……。

本編は別でアップしますので、続きが気になる方は人草子タグで検索してみてください。申し訳ありません。

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