タイムカプセル
以前に短編で書いていた物をここに持ってきました。
一部文章を変更してます。
「じゃあ、開けるよ?」
私と瑛太は高校三年の終わりから付き合って今年で三年。
二人とも専門学校を卒業して今年から働いててやっと仕事にも慣れてきたくらい。
付き合って最初は『いつか結婚しようね』って言ってたけど、今はそんな話も出ないし倦怠期ってやつかな? 私は瑛太と結婚したいって思ってるけどそんな気配もないしズルズルした感じになっている。
それに働いてからは仕事の都合ですれ違いも多い。
今日は瑛太がたまには一緒に休み取って遊ぼうって言って遊んでた帰りに付き合ってすぐに埋めたタイムカプセルを掘り起こしにきた。
今時タイムカプセルなんてって思うけどあの時は付き合ってすぐで浮かれてたんだと思う。
私は瑛太と二人で撮った初プリを入れた。
埋めた場所は高校の桜の木の下。
ベタな場所だけど、ここは二人にとって特別な場所……瑛太が私に告白してくれた場所だった。
月明かりの中、二人で探したけどタイムカプセルはなかなか出て来なかった。
それでも二人で頑張って掘って探してやっと出てきて瑛太がカプセルを土の中から取り出した。
「うん、開けて」
私がそう言うと瑛太は箱を開ける。
中には私が入れたプリクラとなぜか私宛ての手紙が入っている。
私が驚いていると瑛太が声をかけてきた。
「茜、開けてみて」
私は瑛太の言う通り手紙を開けてみた。
『茜へ。茜がこの手紙を読んでいるって事は俺たちはまだ付き合ってるんだと思う。今日までの間いろいろあったと思うけど俺は茜の事が大好きだ。でなかったらきっとこの手紙を茜は見てないと思うから。それに茜も俺の事が嫌いだったらこの手紙を読んでいないと思う。だから、俺達は付き合った頃みたいにお互い好きって気持ちがあるんだと思う。少なくても俺は茜の事が好きだ。結婚してください』
私は驚いて瑛太の方を見た。
「茜、これから先も一緒にいたいし幸せに出来るように頑張るから……俺と結婚してください」
瑛太はそう言ってポケットから指輪を差し出してくれた。
えっ? なに? どうなってるの?
私は最初訳がわからなかったけど、徐々に頭の中で理解出来てきて嬉しくて涙が出てきた。
「……はい。……私で良ければお願いします」
私達は思い出の桜の木の下でまた新しい思い出を刻んだ。