2話 二人の巨人
2話 二人の巨人
その光がぼやけて映像を見ているかのような景色が見えた。
その映像のようなものに、二人の巨漢が見えた。
その二人はこちらを見ながらなにかを訴えているように見える。
なにがなにかわからないまま、ワイアットが察しようとしていると、映像に変化が起きた。
急に映像が変わり、空を飛んでいる鳥のような景色が見えた。
それもものすごい速さで山々を飛び交い、どこに向かうかもわからないままただ飛んでいるようだった。
どんどん日が暮れていく。
空がオレンジ色に染まった。
するとどうやら住処に戻って来たようだ。
住処の中にはいろいろな鳥が鳴いていた。
びーぴー
どうやら自分は住処のボスらしい
鳥の声が聞き取れる
ガヤガヤしている鳥の声のなか、
ある二羽の鳥がこちらへ向かって飛んできた。
一羽の鳥が急ぐように話しかけてきた
「ボス、やつらが迫っています」
「や…やつらとは?」
ワイアットは恐る恐る聞いた。
「人間という生物です。私達を飼って、殺して、食べ物にしたり、皮を剥ぎ取ってなにかに使おうと企てる、私達、鳥達の敵です!」
ワイアットは「敵」という言葉が気になった。
やつは「敵」と言った。
「敵」
絶対に追い払わなければいけないもの。
ワイアットはそう受け取った。
説明をしてくれた鳥がなにかを取り出した。
紙…なのか。
なにかが書いてある。
どうやら人間の攻める区域を表したようなものだった。
人間は長い棒のようなもので闘う。
棒ということは結構昔の時代の話だろうか。
「この棒は…当たれば命はありません。」
ワイアットはやっとの思いで現状がだいたい把握できたつもりだった。
なのでワイアットはこの鳥の話を流して聞いていた。
目線が泳がないよう、気をつけた。
気をつけたつもりだったが、あたりを見回して改めて現状を把握した。
鳥は説明を続けている。
だがその隣のもう一羽の鳥が目を瞑っている。
よく見ると他の鳥とは一味違う、一際汚らしい容姿だった。
説明が終わりにはいった。
その時
カサッ……ガサガサガサッ…
住処が揺れる。
ガサガサガサッ
なにかが住処の下からでできた。
すると説明をしていた鳥が
「人間だ!!!」
と叫んだ。
外からは「あと少しだ…あと…少し」
と聞こえてくる。
…
「ボス!逃げて下さい!」
鳥が叫んでいる。
ワイアットはすぐに声に近づいた。
そして
ワイアットは羽ばたいた。
空高く
真っ黒な空へ
飛んだ。
すると上に鳥がたまっている。
人間だ
人間が網を構えて待っていた。
すると、
バンッ!
ワイアットはなにかにぶつかった。
目の前が暗くなった。
暗くなったまま体が動かない
すると
また光があらわれ、一人の女神のようなものが見えた。
その女神が喋った。
「私はアビゲイル。あなたに幻影を見せたものよ。」
声の主だ。
気づいた瞬間アビゲイルは囁いた
「さあ、君も悪魔だ。」
アビゲイルは小悪魔のような笑顔を見せ、ワイアットの目には一際眩しい光が目を覆った