第49話 試着
今回は南帆&恵パート。でも南帆の出番の方がちょっと多いです。
買い物袋を下げながら、指定されていた集合場所に戻ってくる。そこは、中心に大きな木が植えてあり、その周りをベンチで囲っている場所だ。俺たちが近づくと、、待ちかねたかのように南帆と恵がやってきた。
「おーい、買ってきたぞ。とりあえずテーブルクロスとか、花瓶とか、カーテンとか、そういうのを買ってきたんだけど……」
と、俺がすべてを言い切る前に南帆と恵がぐいぐいと俺の腕を引っ張っていく。
「え、ちょっ」
「……選手交代」
「さあさあ、かいくん。今度は私たちに付き合ってもらうよ?」
こういう時に叫ぶものなんだろう。
不幸だ、と。
☆
とりあえず買ってきた荷物を渚姉妹に預け、俺はまたもやショッピングモールへと身をさらすことになった。休ませてくれよ。マジで。
しかも、南帆と恵は例のごとく、さきほどの渚姉妹と同じように腕を(無理やり)組んでいる。
ううっ。はやく休みたい。艦これやりたい。駆逐艦を愛でたい。ギャルゲーやりたい。幼女を愛でたい。ランドセルって神器だよね。対界宝具だよね。
「かいくん、バカなこと考えてないで、はやく行こうよ」
「バカなこと? 違うな。神器や宝具について考えるのは決してバカなことではない。どうしてランドセルという名の神器はああも人を魅きつけてしまうのか、それを解き明かすことは人類にとっても重大にして重要な使命なのだよ」
「うーん。ランドセルに魅かれてやってくるかいくんみたいな変態さんたちのことを考えるとあれだね。樹液棒ならぬ、某パーフェクトゼ○ターを思い出すね」
「棒だけに?」
「かいくん、ちょっと黙ろうか」
「……ランドセルに強制召集されるの?」
「幼女が望むなら喜んで応じよう」
「さて、おまわりさんおまわりさんっと……」
「お前は買い物に来たんだぞ!? 駄目じゃないか! そんな番号を押しちゃあああ!」
「……どうしてザ○ーネ風?」
「それぐらい焦ったんだよ。察しろ」
「……焦らないで。負けるわ」
「どちらかというと、かいくんはもう負けてるよね。幼女に」
「欲望を止めてはいけない。欲望は世界を救うってケーキ作りが趣味の偉い人が言ってた」
「かいくんの欲望は止めた方がいいと思うんだけどね!」
「……主に世界の幼女を守るために」
「うるせえ。プロミネンスドロップぶつけるぞ」
恵が言うには、どうやら今度は衣装作りに使う生地を買いに行くらしい。そうなってくると、生地を売っている店まで歩いて行かなければならないのだが、こうして二人と腕を組んで歩いていると、野郎どもの妬みの視線が痛い。
今日はこの種類の視線に晒され続けている気がする。気がするというより、現在進行形なのだけれども。あー、やだやだ。幼女と歩いていてこういった視線に晒されるのなら嬉しいことこの上ないのだが、一緒に歩いているのがただの美少女BBAで妬まれるのは心外だ。
「おら、さっさと買うもん買いに行こうぜ」
「そんなに焦らなくてもいいじゃん」
「……同意」
「そりゃ焦るわ。家に帰ったらラブリーマイエンジェル第六駆逐隊が俺を待ってるんだからな!」
「ああ、かいくんは今日もいつも通りだなぁ!」
そんな感じのやり取り(?)をしながら、俺たち三人はてくてくと店へと歩いていく。ちなみに、今もこうやって歩いている間も、二人は強制的に腕を組んでいる。
「あの子たち、可愛くね?」
「あれが両手に花ってやつか」
「くそっ。羨ましいなおい」
「死ね。惨たらしく死ね!」
そして、妬みの視線や呪詛もそのままである。ああ、もう。うんざりだ。俺は好き好んでこうなっているわけじゃないのに。
俺がげんなりしながらも歩いていると、店についた。だが生地を売っているような場所ではない。服そのものを売っているお店だ。俺はあっけにとられながらも入る。違った。普通の服じゃない。ここにあるのは全部、コスプレ衣装だ。メイド、チャイナ、ナース、ゴスロリ、その他アニメキャラのものまで取りそろえられている。前半だけ見れば怪しいお店だ。どうしてこんな店を知っているんだ恵よ。
「はぁ!?」
「わーい、ついたついた。さー、なほっち、はやく試着試着ぅ!」
「……私は遠慮しておく」
「え? 何だって?」
「!?」
なほはにげた!
しかしまわりこまれてしまった!
めぐみのこうげき!
なほはつれさられてしまった……
「……海斗」
「なんだ」
「……助けて。お願い」
「ご愁傷様」
「……うぅ。ひどい」
恵はあれやこれやと様々な衣装を物色している。あれ? そもそも俺たちは何でここに来たんだ?
ちょっと恵にきいてみるか。
「自作する衣装の参考になるかなーって思ってここに来たんだよ!」
「俺まだ何も言ってないよな!?」
「エスパーだからね!」
「お前はいったい何園さんだ」
「ニュータ〇プだからね!」
「僕は……自分の考えを口に出していないのに……!」
「かいくん、それ何トビア?」
「コノシュンカンヲマッテイタンダー!」
「パッチワークに乗ってから言おうね!」
「……パッチワーク、フルブ参戦はよ」
「どんなに優れたゲーマーでも、初めて見る衣装には反応が送れるものだよね!」
「!? それ、スカルハーt」
ダラダラと話していたら、いつの間にか恵は目星の衣装を見繕っていたらしい。南帆を掴むと、強制的に試着室までずるずると引きずっていく。
「……学園長。試着室行きだけはご勘弁を」
「覚悟したまえ。ネコミミメイド衣装が君を待っているよ」
「!?」
南帆のダークネビュラ行きは延期にはならず、そのまま試着室に吸い込まれてしまった。ご愁傷様。
するするとかしゅるしゅるとか、妙な絹崩れの音と、南帆が懸命にもがこうとしている音とか、そういうのが聞こえてきているのはともかくとして。
さて、この間に逃げるか。あわよくばネカフェに駆け込んで、艦これをするのだ。ひゃっほい! オラ、ワクワクしてきたぞ! ぐへへへへ。
「おっとかいくん。逃げたら必殺パインキックだからね」
「まったく、恵は何を言ってるんだそんなことするわけないじゃないかぁ。HAHAHA!」
あれ痛そうだよな。キックもそうだけどあの鈍器とか。
仕方がないので俺は、恵が持ってきていた(どこにしまっていたんだろう)ア〇ムズチェンジシリーズのオレンジをフィグマに被せたりして遊んで時間を潰した。完成度高けーなオイ。いや、この場合は完成度というより汎用性か。
「できた~!」
俺が某マミった魔法少女にオレンジを被せたところで、試着室から恵の声が聞こえてきた。
すると、すぐにさっとカーテンが開き、中から二人が出てきた。どうやってあの狭い密室で二人一緒に着替えたのかはきかないでおこう。
「ネコミミアームズ、なほっちオンステージだよ!」
「……………………………………………………
……………………………………………………
……………………………………………………」
南帆は諦めの境地に達していたせいか、いつもより更に無口になって、シロガネ山の最深部にいるレッドさんみたいになっていた。まあ、確かにこりゃネコミミメイドだ。フリルが多様されている、白と黒のメイド服。凹凸には恵まれていないものの、南帆の小動物的な可愛さもあってか、ネコミミが妙にしっくりくる。ネコミミアームズ装着で完全萌え武装である。
ふと、南帆と視線が合った。南帆は顔がみるみる赤くなって良き、しまいには自分の体を抱くようにしながら、
「……み、みないで……おねがい」
などという始末だ。いつもの南帆からは考えられない。
「……うぅ……恥ずかしい……」
「だいじょうぶだいじょうぶ! なほっち可愛いよなほっち!」
恵は南帆とは正反対で、割と体の凹凸に恵まれている。メイド服の上からでもわかるぐらいに強調している胸に、ふわりと揺れるセミロングの髪。恵も南帆ほどではないにしろ、割と小柄な方だ。ロリ巨乳というジャンルに属する恵は今日もぴょんぴょん飛び跳ねている。
店内の客がぼーっと二人に見惚れている。特に恵のぴょんぴょんと飛び跳ねている時に揺れる胸とか、わなわなと恥ずかしそうに震える南帆とか、まあ色々だ。
「見てみてかいくん! どうどう? 私たちのメイド服!」
「イインジャナイデショウカー」
どうでもいいです。
「もうっ。てきとーだなぁ。せっかくのネコミミメイドなのに」
「言ってもBBAのネコミミメイド服はなぁ」
「じゃあ、幼女が着たら?」
「カメラ越しじゃないと直視できるわけないだろう。言わせんな恥ずかしい」
「うん。安心したよ。かいくんはかいくんだね!」
「……ち、違う意味で安心できない」
「うーん。こんな時でもツッコミを入れるなほっちには感服だね」
まったくである。
恵は恵で、南帆に対してハァハァしていた。マジで。
「ハァハァ。なほっちのネコミミメイド服ハァハァ」
「……め、めぐみ。は、はずかしいからそろそろ……着替えよう?」
「んー。じゃあじゃあ……『にゃあ』って言ったら解放を考えてあげる!」
「!?」
南帆が物凄く悩んでいる。それはもう、今までにないぐらいに。
そして、考えて考えて、考えた末に南帆は、ぷるぷると内股気味の足を震わせながら、恵の注文通り、子猫のようなポーズをとって。
「………………………………に、にゃあ……」
店内にいた男女、客店員問わずの人間が悩殺されたような音が聞こえてきたきがしてきた。幻聴だろう。きっと。
それにしても……うわぁ。言いおったぞこいつ。顔がこれ以上ないぐらいに赤いし。いや、言った直後にかぁーっと更に赤くなった。まあ、あれだもんな。今のちょっとあずにゃんっぽかったもんな。後輩ツインテールじゃないけど。……まさかうちの部に後輩ツインテールが入部しないよな。うん。信じよう。これ以上BBAが増えるのは耐えられない。
「……め、めぐみ。言ったよ……?」
「うん。考えた結果、やっぱり解放しないことにしました!」
「!?」
これは酷い。マジで南帆に同情するわ。つーか恵ってなんなの? Sなの?
いや、確かに『考えた』けど。
「……そ、そんな……」
南帆はもう泣きそうな顔をしている。もう絶望に染まってるね。人に寄ってはゾクゾクするねぇとでも言いたくなるような顔を、南帆はしているのだ。いや、あれはそういう意味の言葉じゃないけど。
「じゃあ、今度は、『ご主人様、ご奉仕しますにゃん♪』と言ったら解放させてあげるよ」
ハードル高けーなオイ。南帆は南帆で疑ってるし。
そりゃ、さっきの後じゃな。また裏切られたらファントム生まれちゃうぜ。
「だいじょうぶだいじょうぶ! 今度はちゃんと解放させてあげるから!」
今度はさっきよりも長い時間考えた末に、南帆はくるっと俺の方に向き直った。その時にメイド服のフリルがふわりと揺れた。そしてとことこと俺の元に近づいてくると、ぎゅっと抱きついて、顔を埋めてくる。
「……は、恥ずかしいから……みないで」
「見ないでって言うのならさっさと離してくれませんかねぇ!」
じゃないと俺が店内の人間(男女問わず)に殺されそうだ。妬みの視線で。
南帆は、少しの間だけそうやって俺の胸に抱きつくようにしていると、やがて頬を桜色に染めた顔をあげて、上目使いで、散々恥ずかしい思いをしたためかうるうると潤んだ瞳で、その言葉を口にした。
「………………………………ご、ごしゅじんさま……ごほうしします、にゃん……」
いや、いいッス。遠慮します。
なのでさっさと離れてください。じゃないと俺が殺されちゃう。マジでやめて。
「きゃ――――! ああんもう、なほっちは可愛いなぁ! 抱きしめちゃうぞー! このこのっ!」
「!?」
南帆は再び拘束され、解放までにはしばらくの時間がかかった。
目的の生地を買って元の合流地点に戻ってきたときには、南帆はもうこれ以上ないぐらいにぐったりしていて、恵はやけにお肌がツヤツヤしていたのは言うまでもない。
HGAWガンダムDX二箱買いました。来月ついに三箱目を買います。
MGガンダムXもMGガンダムDXの為に最低でも二箱は貢ぎますよ。もちのロンでね。




