第43話 ヤッテヤルデス!
じりじりと照りつける太陽もそうだが、何よりもこの熱気が凄い。人の数も相変わらず凄い。日焼け止め対策は万全だけれど、それでもこの熱気を実際に肌で感じていると少し心配になってくる。
私は、何気なく後ろにいる海斗くんの顔を伺う。さっきまでじーっとスマホに向かって何かをしていた海斗くんだったけど、今は恵とおしゃべり中。むぅ……私も海斗くんとお話したいです。私と海斗くんは家がお隣さん同士なのになかなか会えないし。
まあ、でも。
今の恵の状況が状況ですし、仕方がないという面もありますが。
「……加奈」
「ん。どうしましたか南帆」
「……気になる?」
「うっ」
南帆は恵ほどじゃないけれど、こういう時は妙に勘が鋭いところがある。
南帆曰く。
「……乙女の勘」
らしい。
乙女と書いてゲーマーというのはどうだろうか。
いや、まあ。それは置いといて。
「べ、別に気になったりなんかしてませんよ。いつものことじゃないですか。お喋りぐらい」
「……そう?」
「そうですっ」
思わずぷいっ、と南帆から視線をそらしてしまう。なんだかこのまま視線を合わせて会話をしていると心の中にある全てを見透かされてしまいそうだ。
「……じゃあ、そういうことにしておく」
今は視線を逸らしているからよく顔は見えないけど、南帆はクスッ、と悪戯っぽいような笑みを浮かべていそうな気がした。
ううっ。なんでだろう。普段から可愛い南帆だけど、今日だけはなんだかその可愛さに更に磨きがかかっている気がする。小悪魔系の道を開拓しているのだろうか?
何にしても、今日の南帆は一味違う気がする。
ふと覗いたその横顔もどこか冷静というか、凛としているというか……なんだろう。こう、戦いに臨む前の戦士、とでもいうのだろうか。とにかく、そんな感じだ。
いったい、南帆に何があったのだろう?
☆
……今日は、私にとってこの夏休み最大のメインイベントだ。とあるロボゲーの対戦大会。これに参加する為にこの夏休み、部室に行ったあとは日々ゲーセン籠もりをして調整してきた。
しかし、いくら私でも油断は出来ない。ここにはどんな猛者が現れるのか分からない。とりあえず目標は前回大会の王者とやらを叩き潰すところからだ。
私ならやれる……。感覚も冴えている。今なら加奈や海斗がどんなことを考えているのかも手に取るように解る気がする……。
腕がなる。ふふっ。ふふふふふふふふふふ…………。
☆
何やら南帆が変な笑みを浮かべている。ちょっと怖い。
ああ、そういえば今日はロボゲーの大会があったんだっけ。だからかもしれない。
恵の方を見てみると、まだ海斗くんとおしゃべり中。
あの恵の母親さんの言うことはとりあえず正しい。実際、親が子供の将来のことを考えれば成績のことを心配するのも当然だ。だけど、だからといっていきなり引っ越しという結論にもっていくのは早過ぎだと私は思う。それに、私たちだってもっと恵と一緒にいたい。
大人の理屈の方が正しいけれど、正しくなくても、子供には子供の理屈がある。
「南帆」
「……ん」
「恵、大丈夫でしょうか」
私がポツリと発した言葉。その言葉に対して南帆は視線をまっすぐにしたまま、ふっと小さく微笑んだ。
「……だいじょうぶ」
小悪魔的、というより、今の南帆はむしろ妖精のような笑みだった。その顔はやっぱ可愛かった。そして、その桜色の唇からそっと、言葉にされると安心する人の名前がこぼれた。
「……海斗がきっと何とかしてくれる。加奈のときだってそうだったでしょ?」
ちょっと、悔しい。
なんだかんだで南帆はちゃんと海斗くんを信頼しきっている。海斗くんならなんとかしてくれるって。
私の時も、普段はBBAだなんだと言っている割に(自分で言ってて悲しくなってきた。私、まだ16歳なのに……)最後はちゃんと私をみんなと一緒に助けに来てくれた。聞いてみれば美紗や美羽の時だって、海斗くんは助けてくれた。
だったら、恵だって海斗くんが助けてくれる。
「なあ恵。ちょっと話したいことがあるんだけど」
「ん? なぁにかいくん」
「うん。だからまずはポータブルDVDプレイヤーでけ〇おん! を見るのをやめろ」
「違うよかいくん! これはけい〇ん! じゃないよ、け〇おん!! だよ!」
「おっと俺としたことがすまねぇ。どうやらこの暑さでやられちまったらしい」
「いいんだよかいくん。気にしないで」
「そうか。恩にきる」
「かいくん! 早くけい〇ん!! 買いにいこうよ!! あずにゃんは一生懸命ギターの練習してて泣けるんだよ!! 青春だよ!!」
「そうですね恵。やはりあず澪は最高です」
「美羽ちゃん! 何を言ってるの? あずにゃんは唯梓。みおちゃんは澪律。いくら美羽ちゃんでもこの通説は譲らないよ!」
「いやまて恵。唯憂和という三角関係を忘れてもらっては困る」
「さすがかいくん!」
助けてくれる……はず……たぶん……。
「でも俺はロリ唯ちゃん派でもあるからな……」
あれ? 大丈夫かな。私の大切な友達、あのロリコンという名の紳士に任せても大丈夫かな?
「……そういえば」
と、私はふと気になった。南帆はこうやって海斗くんを信頼しているけれど、それこそ、とても信頼しきっているけど……でも、その信頼はどこから来るのだろうと思った。私だって、海斗くんをとても信頼している。けど、その信頼の大きさはたぶん、今の私では南帆にはかなわないと思った。
「南帆は……その、」
だからだろうか。
こんな場所ではあるけれど、私は南帆にきいてみたくなった。
「南帆は……その、いつから海斗くんのことが好きだったんですか?」
……うん。コミケの行列に並びながらきくようなことじゃないですねこれ。
私としてはドキドキしながら南帆の答えを待った。南帆が海斗くんを信頼するその根拠というか、その大きな信頼感をいつから抱くようになったのかが少し気になったからだ。
南帆は私の方を見ると、人差し指を柔らかそうな唇にあてる。
「……ひ・み・つ」
と、小悪魔的な笑みを浮かべた。
その笑みは私でも少しドキッとするような、それぐらい魅力的な笑みだった。
……もしかすると、南帆は私たちよりもずっと前から……。
☆
長い待ち時間を得て、ようやく列が動き出し、コミケが始まった。運ばれた人を何人か目にしたが、俺たちもああならなくてよかった。やっぱ水分補給って大事。
移動にも一苦労ではあったし、中に入るまでもかなりの時間を要したし、中に入ってからもまた並んだりしてその末に俺はようやく幼女セットを入手したわけだが。フヒヒ……ブルマ型タオルにスパッツ型タオル……完璧だ。こんなものを企業ブースで売っているのはそれはそれで危険な感じがしないでもないが。
だがしかぁし! これで合法的に小学生のブルマやスパッツに顔をつっこむことが出来るのだ! フヒヒヒ。汗がセットじゃないのは残念だが、そこはキャラクターグッズだ。仕方がない。我慢しよう。
「海斗くん、どうしたんだろう。変な笑みを浮かべているけど」
「しっ! 見てはいけませんよ、美紗」
渚姉妹が何か言っているけど、俺にはなんのことだか分かりませんな。
「ねえ、かいくん」
とりあえず、皆の企業ブースの目当ての物は入手することが出来たので場所を見つけて休んでいると、恵が声をかけてきた。やや複雑そうな顔をしている。
「かいくん」
「どうした恵、楽しんでるか?」
「幼女キャラの抱き枕やスパッツ、ブルマ型タオルのグッズを持ったまま爽やかな笑みを浮かべられても……」
「ははっ。何を言ってるんだ恵。俺のどこが変態なんだ」
「自分の持ってるグッズを再確認してみようね!」
「再確認ね」
持ち物を確認。
紙袋。幼女キャラの萌えイラスト(露出度多め)。
袋の中。幼女キャラのブルマ型タオル、幼女キャラのスパッツ型タオル、幼女キャラの抱き枕、その他幼女セット諸々。
「どこもおかしなところはないのだが?」
「これはもう手遅れだね!」
「ふぅ。しかし今日は派手に行き過ぎたぜ」
「派手とかそういう問題じゃないよね!?」
「派手にいくぜ!」
「もうそれいじょう派手にいかなくていいからね! 頼むから自重して!」
恵はガクッと肩を落とす。
「かいくんは私に今日を楽しめって言ったよね?」
「ああ。そうだ」
「幼女キャラのグッズを変態的な笑みを浮かべて眺める変態かいくんを見てたら、どんな顔して楽しめばいいのか分からなくなってきたよ……」
「ば、バカな! 何故だ! 俺のどこが変態だというんだ!」
かいと:紳士Lv99
兜:ようじょキャラのブルマ型タオル(E)
鎧:ようじょキャラのハッピ(E)
こて:ようじょキャラの手ぬぐい(E)
スカート:ようじょキャラのスパッツ型タオル(E)
靴:ようじょキャラのサンダル(E)
「頭のてっぺんからつま先まで何もかもが変態さんだよ! こんな痛い人かいくんぐらいしかいないよ!」
「……バカな! 俺のどこが痛い人だ!」
「鏡を見るといいよ、そこにとても痛い人がいるから!」
おかしいな。鏡を見てもどこにも痛い人なんていないのに。
しかし、問題なのは恵が肩を落としながらため息をついているという点だ。しかし恵よ。お前だってちゃっかりと自分の欲しいグッズを手に入れているじゃないか。すげえ並んだけど。
しぶしぶ恵の言うことをきいて装備を解いた俺は、次は同人誌を見に行くことにした。有名どころはもう時間的に諦めている。とりあえず今回は、ジャンルを問わずに見て回ってみようとした。だがロリ系には条件的に一度手に取ってしまう。
「拝見してもいいですか?」
「は、はい……」
やばい。最低限の変装をしていてもただの怪しい人間にしか見えなくなっている。顔が少し引きつっているし。
実際に、手に取ってみると薄い本というのは確かに薄い本だった。
手にとってみたのは、幼女が表紙のフルカラーイラスト本だ。
さて、どれどr購入決定。
この日の為に軍資金は大量に用意してきたはずだが、このペースだとあっという間に帰りの交通費まで空になりそうだ。
とりあえず会場を一通り周りながら、目につく幼女系の薄い本を片っ端から手に取ってみる。ただしこれまで一度もロリの成人向け同人誌は買ってない。こんなところで流血沙汰を起こす趣味はないのさ。
この人の波を動いている中で俺はふと、流れるプールを思い出した。
今年の夏は一度だって市民プールにはいってないが、むかしむかし、それはもう幼稚園だとか小学生だとか、そのぐらい昔に姉ちゃんに市民プールに連れて行ってもらった時に、流れるプールに入った。その時と同じ要領で、今もこの人の波の中を進んでいる。
今回は一日だけにする予定だからこの人の波とも今日だけだ。
飽きずにずっとぐるぐる歩いているとすぐに時間は過ぎて行った。ふと美紗のもとにいってみると、ハァハァしてらっしゃったのでしばらくそっとしておいた。
まあいいか。次は南帆の目的のロボゲーの大会が控えてるし、美紗を呼んでさっさと移動するか。
☆
南帆が最近ご執心のロボゲー、『バトルサーカス』、通称『バトカス』。バトカスは、コミケの企業ブースで先行販売されたソフトで、購入者からの評価も高く、高評価、高クオリティーで話題が話題を呼び瞬く間に大ヒット。
その後、シリーズも次々と発売されて今日でシリーズ五周年らしい。そして毎年、シリーズ第一作の発売日に先行販売会場であるコミケで対戦大会が行われており、毎年盛り上がっているらしい。
更に大会でのプレイ映像は巨大スクリーンでも表示され、そこで高度なテクニックや魅せコンが飛び出したりしているのでこの時期では動画サイトもこの大会関連の動画で盛り上がっている。
「凄い人だねぇ」
恵がぴょんぴょんと飛び上がりながらアーケード台を見ていた。この大会も年々更に盛り上がってきているだけあってその分、ギャラリーの数も必然と多くなってきている。
「お姉ちゃん、優勝した人には何か貰えるんだったっけ」
「確か……限定のプラモデルでしたっけ」
そう。美羽が言うとおり実はこの大会、優勝すれば一般販売されない、限定のバトルサーカスのロボットのプラモデルが贈呈される。よって、モデラーからも参加者は多数いる。
「あ、南帆ちゃんが出てきたよ」
アーケード台に南帆らしき人の姿が見えた。らしき、というのも……。
「おい加奈、どうなってるんだあれは」
南帆は、顔を隠していた。祭りの出店で売っているようなあのお面。それを顔に付けて参加していた。
「どうやら、ハンデらしいです。それと、万が一に備えて学園の人にバレないようにと」
「あんなお面つけちゃうと視界が狭くなるのにねー。ホント、なほっちってゲームに関しては物凄い自信家だねぇ」
あいつは初心者相手にも容赦ない悪魔だからな。
「加奈ちゃん、相手の人は?」
「えっとですね美紗。相手の人は去年の大会のベスト8の人です、確か」
加奈がスマホで色々と情報を調べながら説明する。それを横から覗いてみると、確かに南帆の対戦相手のプレイヤーネームと加奈のスマホに表示されているプレイヤーネームと一致していた。
この大会はコミケの何週間か前に予選があって、その予選を勝ち抜いた上位三十二人だけがこの当日の本大会にも出場できる。それに今日も出れているということはやはり実力はあるのだろう。
「…………」
「ん。どうした、加奈」
「い、いえ。なんでもないです」
「? そうか」
俺は今現在、加奈のスマホを覗き込んでいる。つまり加奈の顔もすぐ真横にあるということで。その加奈の顔が少し赤かったので気になったのだが……まあ、本人がなんでもないというならいいか。
「は、始まるみたいですよ!」
加奈が何かをごまかすように慌ててアーケード台の方を指す。
「なんだあいつ?」
「やる気あるのかよ……」
ギャラリーたちの様子はいきなり現れたお面少女に珍しいものでも見るような視線を向ける。まあ、そりゃそうか。あんなお面がいきなり出てくるのは予想外だろう。コスプレしている人はいるけど、あんな安っぽいお面だけじゃコスプレなんて言わないだろうし。
「でも、どうせただのパフォーマンスだろ。相手が相手だし」
「だよな。相手、確か前の大会のベスト8だろ?」
なんででしょうね。俺には南帆の対戦相手の死亡フラグにしか聞こえないんだけど。
巨大スクリーンに対戦の様子が表示された。
そして、バトル開始。
「……殺ッテヤルデス」
そう小さく呟いた南帆。次の瞬間、南帆の機体がいっきに敵に向かって加速する。相手は当然反撃するも、南帆は軽々とそれを避け、接近したかと思うと、叩いて牽制してからコンボ、コンボ、コンボ。敵が復帰してからも避けて避けて牽制してコンボ、コンボ、コンボ、コンボ、コンボ……。
「あ、南帆が勝ちましたね」
「あいつ容赦ねーなおい!」
ノーダメの上にほぼコンボだけで倒しやがったよ!
「な、なんだ今の……」
「すげえ……」
さっきの二人組ギャラリーの顔が引きつっていた。
うん。まあ、そりゃね。仕方がないね。
「もしかしてあいつじゃね? 予選の時に出没した『悪魔』」
「ああ、あまりの強さに戦う気力も失くしてアーケード台から逃げ出した相手の棒立ちキャラすら容赦なくコンボで叩き潰したことで有名な」
「前回大会ベスト4の『ぷあーの』をほぼ煽りコンだけで倒したあの悪魔か……」
うわあ……なんか既に悪名が広まってるし。つーか何やってるんだよあいつ。
「あははっ。なほっち、なんだか既にいろいろとやらかしているみたいだねぇ」
「たった今もやらかしましたけどね」
恵の言葉に美羽がややげんなりとした様子で同意した。
その後も南帆は鬼神の如き強さで勝ち続け、あっという間に決勝戦を迎えた。因みに、ここまで全ての対戦でノーダメージである。
加奈曰く、今日の会場は例年でも屈指の盛り上がりらしい。一回戦から南帆の注目度は対戦を重ねる毎に上がり続け、今や完全にダークホースと言われている。ただ、その盛り上がりに南帆のプレイヤーネームが『卍漆黒旋風@ブラックゲイル卍』とかいう厨二全開であることも関係していると思うが。
だが、南帆の他にも優勝候補はいる。第三回大会、第四回大会と連続優勝し、この第五回大会で三連覇に王手をかけた『ついんて~る』さんだ。『ついんて~る』さんは驚くべきことに、女の子だった。
南帆と同じぐらいの小柄な体に黒髪のツインテール。メガネかけて、帽子を被り、ついでにマスクをつけている。あとツインテール。大事なことなので二回言いました。うむ。確かについんて~るだった。しかもあれは恐らく、素顔はかなり可愛い子だ。だがBBAだ。
どうやらあの子も南帆と同じような、美少女ゲーマーらしい。もしかすると、南帆と同じように見た目は美少女だけど実は物凄く強い! というパターンかもしれない。これは南帆と良い勝負になるかも。
そして注目の機体選択。
相手はバランスのとれた、しかしそれでいて使うには少しコツのいる上級者向けの機体だった。対して南帆が選んだのは……。
『っ!?』
ザワッ、と会場が揺れた。
南帆が選択したのはゲーム中、最弱の機体と称されており、魅せコンだけが無駄に充実している完全なネタ機体。武器がスコップオンリーというやる気があるのかと疑いたくなるような装備の機体だ。
そしてその機体をメインに使う者をバトカスプレイヤーの中では『スコッパー』と呼ばれている。
相手の子も眉間に皺を寄せてスクリーンを見つめている。『スコッパー』は勝ち負けに拘らないことで有名だ。あくまでも魅せコンを狙って戦うのだ。
そんな波乱の中、ついに決勝戦が始ろうとしていた。いくら南帆でも今回の相手は二連覇もした元王者だ。今までのようにはいかない。負けないまでも、きっと良い勝負をすることだろう――――
――――そう思っていた時期が、僕にもありました。
「それでは、対戦スタート!」
司会・進行役の人が叫ぶと、対戦がスタートした。
接近、牽制、魅せコン。接近、牽制、魅せコン。接近、牽制、魅せコン。接近、牽制、魅せコン。接近、牽制、魅せコン。接近、牽制、魅せコン魅せコン魅せコン魅せコン魅せk(以下省略)
数分後。
そこにはほぼ魅せコンだけで叩き潰された二連覇していた元王者の姿と、お面装着というハンデをつけ、決勝戦を含めた全試合舐めプだけで勝利した新王者の姿があった。
南帆は俺たちの元に戻ってくると同時にふう、とため息をつくと、ポツリと言葉をもらす。
「……優勝者って言うから期待したのにあまり大したことなかった。残念」
後にこれは『スコップ大革命』と称され、全国のバトカスプレイヤー、及びスコッパーたちの中で伝説となり、しばらくの間、巷のゲーセンでスコップ機体が流行ることになる。




