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俺は/私は オタク友達がほしいっ!  作者: 左リュウ
第3章 襲来するお姉ちゃんと夏休み
35/165

第32話 ロリBBAは最後にして最大の切り札

たすけて! 主人公がなかなかデレないの!

 夏は暑い。

 もう一度言う。夏は暑い。

 元々インドア派である俺にとっては海なんてもんとは縁がないと思っていた。というかぶっちゃけ家の外にも極力出たくないというスタンスなので二次元の海さえあればいいと思っていたのだが、まさかこうしてフラフラと夏の海の周りを歩き回ることになるとは思わなかった。

 因みに夏か冬かどちらが良いかと問われれば、俺は断然、夏派である。何しろ夏という季節は必然と幼女や二次元美少女の肌の露出度が増える。ひゃっほい。チョーイイね! 夏、サイコー!

 まあ、冬は冬の良さがあるので、一概にどちらが一番とは決め難いのだが。しかし、こうも暑いとそのうち冬派になってしまいそうだ。パーカーをはおっているのでやや蒸し暑い。とはいえ、脱いでも暑いことに変わりはないし、あまり肌も焼きたくないしなー。日焼け止めはぬってあるけど。

「それにしても……美羽美紗あいつら、どこに行ったんだよ」

 まるで照れ隠しするかのような恵に、あの姉妹の捜索に駆られた俺はここ十数分ほどトボトボフラフラと出歩いているのだがいっこうに見つからない。

 厄介なトラブルに巻き込まれてなきゃいいんだけどな、と考えた傍から、明らかに人目のつきにくい、小屋の物陰に見知った少女二人の姿を見かけた、のだが……。

「……言ったそばから、本当についてねぇな」


 ☆


 これは少し厄介なことになりました。

 美紗の水着姿を拝みながら飲み物を買いに行く道中、金髪の男三人に道を阻まれた。ただの偶然かなとは思ったのですが、道を通してはくれない様子で、更に開口一番「一緒に遊ばない?」というような事を言われてしまい、ああこれはナンパなんだなと思った。こういうことはよくあるのでいつもみたいに相手を睨みつけながら美紗の前に出る。

 が、問題はその先で、睨みつけながら断ってもまだ諦めず、さっきから延々とどうでもいいことを喋るだけ。美紗が可愛いのは当然ですが、この男たちにくれてやるわけがない。

 それにしても本当にさっさとどいてほしい。でないと美紗の水着姿を拝むことが難しくなる。

「ねぇねぇ、いいじゃ~ん」

「そんな固いこと言わずにさぁ」

「一緒に遊ぼうよ。楽しいよ? ね?」

「あ、あの……で、ですから……」

 最初はすべて私が受け答えしていたのですが、どうやらおとなしい美紗なら誘いやすいとふんだのか、さっきから美紗を狙うようにしている。

「わ、私たち、人を待たせてるので……」

 しかし、美紗も美紗でちゃんと断っている。この二人は思惑は外れたと分かると明らかに苛立ったような雰囲気を出すと、痺れを切らしたとばかりに更に近寄ってくる。当然、それに合わせて後ろに下がる私たち。というより、後ずさる、といった表現の方が正しいのかもしれない。

 恥ずかしいことに、私は少し怯えていた。近道しようと通っていたこの道は人目につきにくいし、更に向こうは男が二人。力は向こうの方が圧倒的に強い。力で押されるとどうしても勝てない。

「っ……」

「お? ちょっとビビってるよこの子?」

「あんま趣味じゃないんだけどさー。もうこの際、強引にいっちゃう?」

「お、いいねそれ。興奮するわー」

 男たちの目の色が明らかに変わった。美紗はその眼を見て身をこわばらせる。恐らく、春休みのことを思い出したのだろうか。あの時はあの人が助けてくれましたが、ですがその時に感じた恐怖が完全に消えたかどうかといえばそうではないでしょう。

 私は気が付けば、美紗の前に立っていた。背後の妹を庇うために。だが、ここから先は私にはどうすることも出来ない。春休みの時の美紗も、こんな気持ちだったのでしょうか。

「そんじゃあ、ちょっと来てもらおうか」

 気持ち悪い笑みを浮かべながら強引に私の手を掴む。その感触がどうにも気持ち悪くて拒絶しようとするが、掴んでいる力が強い。離せない。

「いやっ……」

 自分でも少し驚くぐらいにか弱い声が漏れる。このままだと相手をつけあがらせるだけだと思って慌てて取り繕う。

「離して……!」

「お、可愛いねぇ」

「なんだ、ツンツンしてるけど可愛いとこもあるじゃん」

「弱々しいくなるとギャップがあるなぁ」

 ニヤニヤとするこの男の顔が不気味だ。気持ち悪い。こんな男が素肌に触れているなんて吐き気がする。

「お、お姉ちゃんっ」

 そんな美紗の声に歯噛みする。自分が美紗に心配をかけてしまったことに悔しくなる。相手を睨むが、それすらも嬉しそうにする男たちは私の体を舐めまわすようにじろじろと見てくる。気持ち悪い。やめて。こないで。

「お、お姉ちゃんを離して!」

「あー、無理無理」

「心配しなくても、これから君も一緒に楽しいことを――――」

 その先の聞きたくもない、下種な言葉を聞くことはなかった。何故なら、私の手を掴んでいる男とは別の、もう一人の男の頭に、鋭い蹴りが炸裂したからだ。

 頭から吹き飛ばされて倒れこむ男の背後にいたのは、面倒さそうに佇む一人の……見知った男の子の、姿だった。

「あっ……」

 思わず声が漏れる。安堵か、それとも別の感情か。それは分からなかったけど、今の私には、その姿が今この場にいてくれたことがとても嬉しくて、とても……ドキドキして、そんな自分が、自分でもおかしいと思った。

「恵のやつ、あいつマジでエスパーかよ。ドンピシャじゃねーか」

 はふぅ、とため息をつくと、海斗くん・・・・は、今度は私たちに視線を向ける。

「つーかお前ら、いったいどこ行ってたんだよ。随分と探したぞ。おかげで幼女とのいちゃいちゃ時間タイムが減っちまったじゃねーかよどうしてくれるんだ畜生」

 ……あれ? どうして私たちが責められているのでしょう。

「て、てめえっ! 何してくれてんだ! あァ!?」

 もう一人の男が海斗くんに飛びかかる。しかし、一切、男の方を見ることもなく、溜息と一緒に裏拳が空を裂いた。

「邪魔」

「がっ!?」

 拳がヒットし、鈍い音が響く。それと同時に海斗くんに掴みかかろうとした男は跳ね飛ばされたかのように地面に吹き飛ばされると地面に倒れ伏す。始めてみますが、どうやったら裏拳で人をあれだけ吹き飛ばせるのか分かりませんね。

 戦力差を理解したのか、掴んだままだった私の手を強引に引っ張りこんで、海斗くんに向かって男は言う。その顔は明らかに青ざめており、まさに必死だった。

「ま、まて! そ、それ以上くるな! こ、こここ、この女がどうなってもいいのかぁ!」

 いきなりのことで理解が遅れたものの、どうやらもう片方の手で首を絞められているらしい。

「っ……」

 苦しさのあまり声が漏れる。その瞬間、海斗くんの方を見てみると、さっきまでめんどくさそうにしていた目の色が変わった。鋭く、相手を叩きのめすという意思を明確にしたかのような瞳。感じたことはないのですが、恐らくはこれが――――殺意、あるいは殺気、というものなのでしょうか。

「なぁ、おい」

「な、なんだよ……い、言ったぞ……来るなって……!」

 殺意を露わにした相手に更に怯えているのか、私を拘束している腕もガタガタと震えている。だが海斗くんはため息まじりに「いや、そーじゃなくて」と言う。


……じゃなくて、女の子は優しく扱えって姉ちゃんから習わなかったのか? お前は」


「は? ね、姉ちゃん?」

 突然の言葉に困惑する男の視界に、海斗くんが放り投げた黒いパーカーが広がった。戸惑ったのはほんの一瞬。視界を封じて隙を作ったその一瞬の間に既に接近していた海斗くんはパーカーが地面に落ちきる前に――、

「消えろ」

 回し蹴りを男の頭に叩き込んでいた。しかも、ちゃんと私に当たらないように配慮しつつ、これだけの一撃を的確に叩き込むあたり、さっき言葉に漏らしたお姉さんに相当、鍛えられたらしい。

 ただ私は、目の前の光景に圧倒されて、そして何故か心臓がさっきからドキドキバクバクして足が上手く動かせない。さっき、怖い目にあったせいだろうか。

「お前ら、大丈夫か?」

「う、うん。ありがとう、海斗くん」

「あ、ありがとう、ございます……」

 美紗はほっとしたようにお礼を言うが、私はどうにも上手く言えない。口が回らない。

「ったく、お前ら姉妹は本当によくこういうのに絡まれるな……多いのか?」

「え、あの、そ、そう言われれば、そう、です……」

 不自然にドキドキとする心臓を意識しながら、切れ切れに答える。

 海斗くんははぁー、とため息をつきながら呆れ顔で言う。

「あのな、お前らはもう少し自分がこういう馬鹿・・・・・・をひきつけてしまう見た目をしているってことを自覚しろ」

 こういう馬鹿、の部分で近くに倒れていた金髪の男の頭をぐりぐりと踏みつける海斗くん。倒れている男から「ぐえっ」という声が漏れた気がしたけどきっと幻聴だろう。

 でも、そんなことよりも、私は何故か……本当に何故か、海斗くんのこの一言に鼓動が跳ね上がったことに気がついた。

「え、えっと……そ、それって……」

「あ? だから、それぐらい可愛いから少しぐらい用心しとけってことだよ。アホ」

「っ――――!」

 だめだ。顔が赤い。さっきまであんなに怖い目にあっていたのに、今はそんなことがどうでもよくなってきた。とにかく目の前のこの人に、今の真赤になっているだろう私の顔を見られたくない。恥ずかしい、から。

「で、結局、お前らってなにしにこんなところまで来てたんだよ」

「えと……、飲み物を買いに行こうとして、近道して」

 美紗の説明に海斗くんはまたもや呆れ顔を披露する。

 まるで、本当にこいつらは馬鹿か、とでも言いたそうに。

「飲み物ぐらい俺に声かけてくれれば買いに行ったっつーの。第一、お前らは海で適当に遊んでればいいんだよ。そういうのは全部、俺がやるから気にすんな」

 どうせ二次元幼女といちゃいちゃしてるだけだし、と付け加える。

「さっさと戻るぞ。恵も心配してたからな」

 言うや否や、両手をつかって私と美紗の手をとる海斗くんはそのままずんずんと進み始める。その場でまだ少しふらふらとしていた私はその手に引っ張られるがままに歩を進めることになった。

 だが私は歩いていても、いつもは見える周りの景色や周囲の人の視線がまったく気にならなくなって、私の世界にはただ、手をとってくれている頼もしくも優しい温かさを備えた手の感触だけが存在していた。


 ☆


 ようやく見つかったと思ったらめんどくさそうなトラブルにみまわれていた姉妹を連れて元の場所に戻った俺は、とりあえず今度は全員分の飲み物を買いに行くことにし、渚姉妹を海へと押しやった。財布を持って立ち上がると、水分を求めて再び熱い砂浜に繰り出す。

「あちー……」

 さっさとジュースでも買いに行って、みかちゃんといちゃいちゃしなければ……

「かーいちゃーんっ!」

 ……と思ったところで背中に慣れた大きく、柔らかな感触。あきらかに姉ちゃんの物である。

 周囲のギャラリー、息をのみつつうらやまけしからんな殺気を向けてくるな。これは姉だぞ。

 まあ確かに、姉ちゃんが可愛いのは周知の事実ではある。当たり前であることが当たり前なぐらいに当たり前だ。つーかじろじろ姉ちゃんを見んなぶっ殺すぞ。

 そんな俺の視線が功を奏したのか、周囲の不届きものたちはさっと視線をそらしていく。すると今度は姉ちゃんが背後から抱きついたまま嬉しそうな声を漏らす。

「むふふ。かいちゃんは優しい子だねー」

「姉ちゃん、さすがに海に来てまでやめてくれよ。自分の姉の駄肉を背中で感じている身にもなってくれよ」

 かなり……辛いです。

 嗚呼、なぜ俺の姉はこんなにも駄肉をつけてしまったのだろうか。いや、たとえ駄肉がついていても俺はロリ巨乳なら余裕で愛せる。だがロリでもない姉の駄肉ほど辛いものはない。

「いいこいいこー」

 なでなでと抱きつきつつしてくるこの様は他の人から見たらどのように映っているのだろうか。そんなことを意にも介さずに俺は我が姉を半ば引きずっていく形でずるずると進んでいく。

「それにしても、かいちゃんはよくフラグを立てる子だねー」

「ん? フラグ? そりゃ毎日、主に幼女キャラを狙ってフラグを立ててるけど?」

「いや、そーじゃなくて。三次元の女の子にだよぉー」

 姉ちゃんは普段から破天荒なところがあったが、そのせいかどうやらもう幻覚、及び幻聴の症状が出始めたようだ。これからは俺が姉ちゃんを支えていかなければ(今も生活の面倒は見ているけど)。

「むー。ぷんぷんだよー、かいちゃん。お姉ちゃん、ちゃーんと知ってるんだからね!」

「何が」

「さっきー、美羽ちゃんと美紗ちゃんのピンチに颯爽と駆けつけてフラグを建てていったのー」

 ぷんぷんという擬音を使っているにも関わらず、その顔からは一切の痛々しさが感じられず、それどころか可愛い姉ちゃんの言っていることが、俺にはまったく分からなかった。どうやら姉ちゃんは勘違いしているようなので、俺はため息まじりに告げる。

「姉ちゃん。俺はフラグなんて建てていない。第一、俺がフラグを建てるとしたら幼女だけだ。できればロリBBAを希望する」

「むー。弟のラブコメ体質にお姉ちゃんは困り果てるのです」

 むむむーと唸る姉ちゃんだが、そんなことは2秒で切り返したでも言わんばかりにぱっと表情を変える。因みに俺はソ〇ルキャッチャーズを応援している。お前らもアンケート出せよ。絶対だぞ。紳士との約束な!

「ま、それならそれでかいちゃんのお嫁さんはお姉ちゃんだね!」

 むぎゅーっとさっきよりも更に駄肉を押し付けながら抱きついてくる姉ちゃん。その感触に体がガタガタと震えだした。この駄肉を姉が持っていると思うと残念でならない。むしろ恐怖すら感じてしまう。

「やめろ……! そんなに駄肉の圧をかけたら……ガラスの心が壊れる!」

「かいちゃんの幼女いがいの女の子に対する心は完全に閉じちゃってるね……」

 げんなりとした様子で姉ちゃんが言う。つーかさっきからなんかむにむにむちむちよ柔らかーい感触はすると良い香りは漂ってくるしで姉ちゃんが体は大人の女性になりつつあるんだなーと体全体で実感してしまっている。

 姉の成長をこの身で感じるとはなんという罰ゲームだろうか。血の涙が出てきそうだ。たまに実家から持ち出してきた子供の頃アルバム(姉ちゃん編)を見返してあの頃の姉ちゃんは天使にも等しかったのに、どうして今はこんな大人の女性なのか。俺は神を恨む。いやでも、そのまま心も大人になってくれないかなぁ……。

「かいちゃんは、お姉ちゃんをお嫁さんにする気はないのー?」

 あ、因みに「幼女と結婚するから」は駄目だよ? ということを付け加えてくる姉ちゃんに対して俺はフッ、と笑みを浮かべる。流石の俺も、幼稚園児や小学生と結婚しようなどという法を犯す真似はしない。ちゃんと年齢のことも考えているのだ。これでも。


「ごめんな姉ちゃん。俺、合法ロリと結婚するって心に決めてるから」


「わお。まさか弟の口から犯罪者宣言を聞くことになるとは思わなかったよ」

 例え国の法律が年齢という壁を出しても、俺の幼女への愛はそれをぶち壊す。いや、2秒できりかえすのだ。主に斜め上の方向に。合法ロリ、即ちロリBBAとの結婚ならば国は俺を捕まえることはできない。

「はふぅ。もー、お姉ちゃんはこんなにもかいちゃんのことが好き好き大好きなのにかいちゃんはおねえちゃんの愛に答えてくれないの?」

「幼女じゃないからじゃね?」

「……ああ、もし私が幼女だったらお姉ちゃんの愛でもこたえてたんだ」

「? 当たり前だろ?」

 何を言ってるんだこの姉は。


 その後、なんとか全員分の飲み物を購入した俺は(売店では店員さんにえらく微妙な視線を向けられた。背中にへばりついている姉ちゃんのせいである)、また来た道をずるずると戻る。

「かいちゃん」

「なんだ姉ちゃん」

「愛してるよ!」

「あっそ」

「ひ、酷いよかいちゃん……こーなったらちゅーしちゃう!」

「やめろ! 初キッスは幼女に捧げると決めてるんだ!」

 必死で背中にへばりついている姉ちゃんを振り払おうとするも、なかなか離れてくれない。挙句の果てに頬に軽く唇が触れた感触を感じたので観念することにし、そのまま再び歩き出す。

「むっ。昔はこうするとえらく動揺してくれたのに……切ないなー」

「昔の俺と今の俺は違う。あの頃の俺は幼女のことを何とも思わなかった。電ラ〇ナーがあるなら殴り飛ばして説教してやりたいところだ。そして、小学生の俺に今のうちに周囲の幼女の写真を撮りためるように指示するんだ」

「もー。たまにはお姉ちゃんのことも見てよぅ」

「見てる見てる」

 しくしくと嘘泣きを始める姉ちゃんにいちいちかまっていては日が暮れる。姉ちゃんは嘘泣きが効かないとわかるとすぐに飛び離れて、今度は俺の隣に移る。直後に腕を絡めてきて、俺の腕に駄肉をめいいっぱい押し付けると、更に体を密着させる。駄肉の感触がえらく気持ち悪い。

「むっふっふ。こうしていると、かっぷるさんに見えるかな?」

「さあ?」

 それにしても懐かしい。昔はよく、「こいびとごっこー」とか「しんこんさんごっこー」とかいって強制的に付き合わされてたな。だって断れば関節決めてくるんだぜ? 中学生の姉が、小学生の俺相手に。

「むー。かいちゃん、ここはのるところだよ?」

「今、俺が一番、乗りたいのは時の列車だよ」

 そもそもこの姉ちゃんのブラコンは凄まじすぎる。会話からしてブラコンどころかブラ婚しようとしてるしな、この人。

「かいちゃん、ほんとーにお姉ちゃんに興味ないんだね……おねーちゃんのこと、きらい?」

「んなわけないだろ。バカなこと言わないでくれよ。第一、本当に嫌いならいちいち朝、きっちり睡眠時間が8時間になるように起こさないし、朝食だって作ってお昼のお弁当だって作って、服のほつれた部分を直したり三時のおやつを作ったり、寝るときはちゃんと布団をかけてあげたりとかするわけないだろ」

 とりあえずそれだけ言うと、姉ちゃんはぱあっと再びひまわりのような笑顔を咲かせて更に抱きついてくる。そして片手で俺の頭をなでなでしつつ、

「そーだよね! うん、かいちゃんえらい! かいちゃん大好きっ!」

「調子いいなぁ」

 と、こんな調子でずるずると歩き続けることになった。



まさかまたジャンプを買うことになるとは思わなかった。


ソウルキャッチャーズ、恐ろしい子……!

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