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俺は/私は オタク友達がほしいっ!  作者: 左リュウ
第3章 襲来するお姉ちゃんと夏休み
34/165

第31話 中間フォームはかませになる運命の切り札をつかみとれ

サブタイに意味はありません。念のため。

 加奈が海に飛び込んだところで、残りの女子陣が一気に到着した。その御一行はただぞろぞろと歩くだけで周囲の視線を独占しており、嫌でも目立つ。これ、なんのエロg……ギャルゲ?

「おおっ! かいくん発見!」

 真っ先に駆け込んできたのは恵である。ホルターネックデザインの2ピースビキニに身を包んだその姿で走っているが故に周囲の視線を釘付けにしている。特に割と大きなたゆんたゆんに揺れている二つの駄肉のせいで。もう少し周りの目というものを考えてほしい。

 すぐに傍まで到着した恵は誰かを探すようにきょろきょろと周囲に視線を巡らせる。この様子を見ている限り、昨日のことは嘘のようにも思えるが、無理しているだけなのだろう。どうせならちゃんと今回の合宿を楽しんでほしかったのだが、残念だ。

「あれ? かなみんは?」

「なんかちょっと泳ぎに行ってくるってさ」

「ん? おっかしーな。あれだけそわそわドキドキしながら楽しみにしていたかなみんがこうも簡単にかいくんの傍を離れるなんて……ああ、またかいくんが何か言っちゃったんだね」

「なんだその言い方は。まるで俺がいつも何か言ってるみたいじゃねぇか」

「さっすがかいくん! やっぱり自覚がないんだね!」

 にっこりと笑う恵の視線がなぜか痛い。どいつもこいつも、人を鈍感扱いしやがって。そもそも仮に、万が一、俺が鈍感だったとしてそれならそうと言ってくれればいいのに。

「……加奈は?」

「んー。なんか泳ぎに行ったんだって。たぶん、クールダウンじゃないかな」

「……そう」

「ひ、人が多いね……お姉ちゃん」

「大丈夫ですよ美紗。美紗に寄りつこうとする悪い虫は私が駆逐してやりますから」

「かいちゃ――――ん! どうどう? お姉ちゃんの水着はどう?」

 ようやく全員が揃った(約一名、宿命さだめの鎖で拘束されている者がいるが気にしない)ところで、更に視線の雨に晒されることになった。どいつもこいつも俺のさつきちゃんとの思い出作りを邪魔しやがって。しかも周囲に家族連れは少ないし。いたとしてもBBAしかいないし(中学生はなァ。ババァなんだよ)。最悪だ。海なんて来るんじゃなかっ……おおっと幼女発見! まったく、夏の海は最高だぜ!

 フヒッ。たまらん。あの成長途中の未成熟な体。純真無垢な笑顔。揺れるツインテール。白い鎖骨に太もも。これから焼けるであろう白い輝きを秘めた肌は水を弾きながら太陽の光を受けてキラキラしている。

 あの神々しい姿は遠目からでもハッキリと解る。ふむふむ。ツインテールと来ましたか。しかもスク水! この時代にスク水の幼女なんてレア中のレアじゃないか! この御姿を写真に収めなければ死んでも死にきれねぇ! 死ぬ気の炎を額にともして立ちあがっちゃうぜ!

「くそっ。やっぱり無理をしてでもいつものカメラを持ってくるべきだった! とりあえず今は手持ちのデジカメで『没収ですね』貴ッ様ァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」

 それはまさに一瞬。

 一瞬にして俺の手の中からカメラが消え失せた。美羽が取り上げたのだ。いつもの相棒であるカメラを姉ちゃんから持ち出し禁止をくらったが為に、今日のこの日のために用意した物だったのに!

「お前は鬼か! それとも悪魔か! そんな可愛い顔して悪魔だったんだなお前は! もう許さん! こうなったらもっと近くで拝んでくる!」

 しかしこの悪魔の防御を突破できるのか……できるだけ体との接触は避けねばなるまい。駄肉にはあまり触れたくないし。美羽はなんだかんだで隙がない。突破は容易じゃない。だがしかし、それでも俺はいかなければならない。そう、これは聖戦なのだ!

「か、かわっ、可愛いって……えっと……た、確かに今日はちょっと、その、み、水着……とか、頑張ってみましたが、か、可愛いって言われるほどじゃ……で、でもでも、あなたがそう言ってくれるなら……」

 突破余裕でした^^


「我が世の夏が来たァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」


 何故かもじもじとしだした美羽を軽々と突破し、俺は幼女の御姿をこの目に焼き付けるべく、電車斬りの如く突撃する。

「そうはさせませんよ(メキィッ)」

「ごぺっ」

 ああ、そういえば加奈って泳いでたんだっけ。だから一人だけ別方向にいたから俺を捉えたんだ。ははっ。こりゃ一本取られた。だからそろそろアイアンクローを解いてくれないかな。そろそろ頭蓋が割れそうだ。俺のこの幼女の御姿を捉えた貴重な頭が割れそうだ。

「……海に来ても相変わらずの犯罪者」

 心外なことを言っているのは南帆である。白ビキニに身を包んだ南帆であったが、やはり周囲のメンツに比べると完全な絶壁である。この絶望的なぐらいの絶壁。高校生にしては至宝なのではないだろうか。BBAだけど。

「……じろじろ見ないで」

 現在、俺はビニールシートの上に寝転がっているわけで、つまりはしゃがんでいる南帆を見上げている形である。下から見てもわかるぐらいの絶壁っぷりに(しかし最近、若干成長してしまっている)感心していると慎ましいにも程がある胸元を隠し、頬を桜色をそめながら南帆が抗議してくる。

 だが周りの駄肉っぷりを考えると南帆のそれは完全にオアシスである。この際、BBAであることには目をつむろうじゃないか。

「…………」

「……み、見ないで」

「……………………」

「……見ないで、っていっている」

「………………………………」

「……は、はずかしい」

「…………………………………………」

「……ど、どうしてじっと見てくるの?」

絶壁ぺったんこだから」

「…………(イラッ)」

 めきっ、という感触が顔に。簡単に言えば、踏まれた。俺を踏み台にした!? とかでもなんでもなく、ただ純粋に踏まれた。超痛い。

「な、なにをするだァ――――!」

「……どうせ私はぺったんこ(ぺたぺた)」

 悲しそうに自分の胸をぺたぺたと抑える南帆。擬音が「ぺたぺた」の時点でお察しだ。いいじゃないか、ぺったんこ。俺は大好きだぜ。

 そんな俺は寝ころんだまま、慈愛の目で南帆に目を移す。

「南帆。無理するな。お前は駄肉をつける必要はない。もうBBAだがせめて、いつまでもそのぺったんこを維持するんだぞ」

「……それは褒めてるの? けなしてるの?」

 おっと。これは何か誤解されたな。急いで誤解をとかなければ。


「そんな! 俺はその南帆のぺったんこを褒めることはあってもけなすことなんてないぞ! 確かに南帆はこのメンバーの中でも群を抜いてぺったんこだ。ぺったんこ過ぎてそのぺったんこを危うく壁を見間違えそうになるぐらいだ。けどな、いくらお前がぺったんこだったとしても、そのぺったんこは普通のぺったんこじゃなくてほんの少し、俺にとっては絶望的ともいえるふくらみがあるぺったんこなんだ。だからお前はただのぺったんこじゃない。少なくともお前のぺったんこは俺の理想とするぺったんことは離れているから安心してこれからもぺったんこでいてくれ。ああ、いや、やっぱりもう少しそのぺったんこをもっとぺったんこにするぐらいが俺の理想だけどな」


 ここで決め手のサムズアップ。フッ。決まった……。

「……ぺったんこぺったんこうるさい」

 めきっ、と南帆の素足が顔にめり込むぐらい突き刺さった。本日二度目である。だがおかしいな。そとに来ているのに暴力行為が多発するのは何故だろう。

 今日やったことと言えばさつきちゃんとの思い出作りにスク水ツインテの幼女を近くで拝もうとダッシュしたことや、南帆のぺったんこを眺めていたぐらいだ。これらのどこに暴力行為を受ける理由があるのか分からない。

「……まだまだこれからだもん」

「は? 成長するなっつってんだろうが」

 まだ分からんのかこいつは。女子の胸が成長するなんてこの世の悲劇だぜ? それを望むとは全くもってこいつの気持ちが理解できない。

「……私の気持ちを分かってくれるのは美羽だけ」

「一応いっとくけどそれ、何気に美羽を傷つけてるからな?」

 美羽だって心外だろう。そんなピンポイントで事実を突きつけられるのは。

「……海斗だってなんだかんだ言いながらどーせ胸が大きい方が好み」

「駄肉はノーサンキューだ」

 あ、ロリ巨乳は別です。ぺったんこの方が好きなのは変わらないけど。

「……ほんと?」

「はっ。むしろ胸が大きい方が好み、なんていうやつの気がしれないね。吐き気がする」

「……それがほんとならちょっとうれしい」

 照れたかのような表情をすると同時にぷいっ、と視線を逸らしていう南帆。自分で言うのもあれだが、それはそれでどうかと思う。

「つーか、うれしいも何も俺の好みなんてどーだっていいだろうが」

 さっきまでは照れているように見えていた南帆だが、今度はむすっ、と不機嫌な表情を見せる。最初は割と無表情だったのに、最近はコロコロと表情を変えるようになってきたような気がする。コ〇コロコミックは大抵の少年が通る道。俺はボ〇ボン派だったけど。面白かったんだよな。ボン〇ンに連載していた種死。あっちが原作なんだっけ。いや本当に面白かった。主人公が主人公してて。最終決戦の主人公のセリフには燃えたね。ゲームでそのセリフを喋った時はテンションMAXだったよ。

「……海斗はもう少し乙女心を理解するべき」

「む。それは一理あるな」

 俺の言葉が意外だったのか、南帆は少し驚いたかのような表情を見せる。本当に、最近は表情が表に出るようになってきたな。

「……そ、それって、」

「なにせ、乙女心を知っておかなければ幼女の気持ちを知ることが難しいからな。おませさんな幼女は接し方が難しいし、そのうち乙女心とやらを知っておく必要がある」

 我ながらなんて前向きなんだろう。大抵のラノベ主人公はヒロインに「もうっ、このバカ! 本当に乙女心がわかってないわね!」と言われても「へいへい。どーせ俺には乙女心はわかりませんよ」と諦めるようなやつが多い(※あくまでも、個人の見解です)。だがそれに比べて俺はどうだ? こうしてちゃんと乙女心を知ろうとしているじゃないか。幼女の為に。

「……そのうち海斗が本当に捕まりそうで心配」

「安心しろ。そろそろおまわりさんからの逃走にも慣れてきた。ヘマはしないさ」

「……そういう問題?」

 はふぅ、とため息をつく南帆。どこか諦めたかのようにしていたその瞳はやがて、はっ、と何かを思いついたかのような光を宿す。だがそれを言葉にするにはある程度の勇気を必要とするらしく、しばらくの間を開けてから、

「……じ、じゃあ、私が教えてあげる」

「何を?」

 思わず聞き返してしまった。勉強なら特に教わることがないしな。ぶっちゃけ俺、こう見えて学年二位だし。

 南帆は俯き、砂浜をじっと見たまま、ついにその言葉を口にした。

「……お、乙女心」

「お前、それ自分で言ってて恥ずかしくないか?」

「……へ、へんなこと言わせないで」

 自分の発言がかなり恥ずかしおかしいことに気づいたのか、はたまた分かっているのに我慢して言ってみたのに俺のこの返しで更に恥ずかしくなったのか定かではないが、ぽかぽかと叩いてくる南帆。だが俺からすればそれはあまりにも軽く、可愛らしい連打である。つまりはノーダメージ。

 いや、しかし待てよ。これを機に幼女心……もとい、乙女心を勉強してみるのもいいのかもしれないな。

「んー。それじゃあ、教えてもらおうかな。乙女心」

「……え」

「ん?」

 ぽかん、と間の抜けたような表情をする南帆。そんなにも俺の申し入れが意外だったのだろうか。まあ、そりゃ確かにな。こんなことを言う奴なんて滅多にいないだろう。

「……そ、それじゃ……えっと、教えてあげる」

「ああ。楽しみにしとくよ」

 くぅっ。南帆、なんていいやつなんだ。俺の幼女を愛でるすべの研究に力を貸してくれるなんて……!

「……その、じゃあ、こ、今度、私の家に来てくれる?」

「わかった。南帆の家か。行ったことないから楽しみだな」

「~~~~! ち、ちょっと泳いでくる」

 とてててて、と南帆の小柄な体が海へと向かって小走りに駆けだしていく。加奈にしても南帆にしても、どうしてBBAという生き物は俺と話すとすぐに海へとダッシュしていくのか。

「いやー、まったく、素晴らしく綺麗にイベントを作り上げたね、かいくん」

 背後、というより寝転がっている俺のすぐ近くにいつの間にかやってきていたのは恵だ。もう海で遊んできたのかその体は海の水で濡れており、肌は太陽の光を浴びて輝く水に覆われているせいか、いつもより輝いて見えた。

「もう。私の知らないところでイベントを淡々とこなさないでよ」

「イベント? 今のは差し障りのない日常会話だろ」

「やれやれだね。日常会話の中で次のイベントを構築されるなんて他のヒロインからすればたまったものじゃないんだよ?」

 意味の解らんことをいうやつだ。だから駄肉が無駄につくんだ。まさに無駄な肉。

「ていうか、合宿のかいくんっていつも以上にイベントをこなしてる気がするよ。この調子だと、なんでも出来そうに思えてくるよ」

「ほう。例えば?」

「うーん。そうだね。例えば、この会話の中で溺れている幼女をささっと救出しちゃったりとk『おい! 女の子が沖に流されてるぞ!』『まずい! 溺れてる!』『うおおおおおおおおおおお! 幼女は俺が守るうううううううううううう!』『あ、誰か海に……って水の上を走っているだと!?』『しかも速い!』『凄ぇ! 一瞬で女の子を助け出した!』わーお。まさか本当にこなしちゃうなんて思わなかったよ……」

 ひとっ走り終えて戻ってくると恵がやや引きつった顔でこっちを見ていた。俺は鼻にティッシュを詰めつつ、恵に問う。

「? どうしたんだよ」

「いや、かいくんって幼女が絡んでいるとマジで超人になるよね、って……ん? なんで鼻にティッシュつめてるの?」

「いや、ほら、幼女を救出する時ってどうしても肌に触れてしまう瞬間ってあるだろ? その時に鼻血出ちゃって」

「……かいくん。私には時々、かいくんが分からなくなる時があるよ」

 はぁ、とため息をつく恵。

「それで、かいくんは海で遊ばないの?」

「ゲーム機が濡れるからやだ」

「そんな神にーさまみたいなこと言われても……」

「じゃあ、さつきちゃんとの思い出作りがあるから。フヒヒ」

「かいくん……ねぇ、もう少しかいくんは、同年代の女の子にも興味をもった方がいいと思うよ?」

 何故だろう。恵の俺を見る目が明らかにかわいそうなものを見る目になっている気がする。

「同年代? はっ。じゃあ聞くが恵。お前はこの俺にBBAを好きになれと?」

「うん。まず同年代がBBAっていう時点でおかしいよね!」

「おかしくないだろ?」

「え?」

「十二歳以上はBBAっていうし」

「言わないからね!?」

 全力で否定された。

「むー。かいくんってどーにも同年代の子にきょーみないよね。私だっておっぱい大きいのに」

「駄肉がどうかしたのか?」

「おっぱいを駄肉って普通に言い切っちゃうかいくん。そこに痺れない憧れない!」

 再度ため息をつきながら髪をめくり上げる。その際に白いうなじが露わになる。それが普段とはまた違った色気をもっており、俺(ではなく周囲の男たち)がごくりと喉をならしながらその様子を釘付けになったように見守っていた。

「……まったく、お前らは少し無防備過ぎるんじゃねーの?」

「ほぇ?」

「オラ、見せ物じゃねーぞ」

 ここで久々に(なんちゃって)DQNの睨みスキルを発動。出来るだけドスをきかせるのがポイントだ。期待通りの効果となり、波が引くように周囲のギャラリーが消える。だがそれでも盗み見しようとする奴らがいるのでしばらく(なんちゃって)DQNモードを維持。

「……かいくんって、そーいうトコは気が利いてるよね」

「あ?」

「守ってくれたんでしょー? 私のこと」

「当たり前だろ」

「えっ……」

 少しからかい口調だった時とはうってかわってドキッ、としたようにこちらを見つめてくる恵に対して俺は、自分の気持ちを告げる。

「当然だ。何しろ……」

「う、うんっ」

「……何しろ、トラブルが起きるとさつきちゃんとの思い出作りに支障が出るからな! フヒヒ。さつきちゃん。可愛いよさつきちゃん。ハァハァ。このロリボディ、たまらん。やはりぺったんここそが最強にして無敵。まったく、小学生は最高だぜ!」

「ああ、うん。そーだよね。今までのパターンからこうなるってことは解りきっていたのにね……」

 げんなりとしたように肩を落とす。期待を打ち砕かれたような様子だった。いったい何を期待していたのか。

「むー。私の水着だって褒めてくれたっていいのにー」

「そんなことでいちいちむくれんなよ」

「そんなことって、女の子にとったらそんなことじゃないんだよー」

「だからいちいち拗ねるなよ。その水着も似合ってるし、可愛いんだからもう少しにこやかに笑ったらどうだ」

 さつきちゃんから目を離さずに言った何気ない一言だったが、その途端に恵がピタリと止まる。流石にここで急にお喋りを止めた恵に異変を感じた俺は「恵?」と呼びかける。

 だがその当の本人はというとわたわたと慌てふためいていた。

「い、いきなり不意打ち過ぎるよかいくんっ!」

「不意打ち? 最高の手段じゃねぇか」

 懐かしいなぁ。春休みはよくやったなぁ。不意打ち。

「と、とにかく、そのっ……今の、ホント?」

「何が……っと、選択肢か。さつきちゃんに着せる水着。悩むな……スク水、ビキニ、ワンピース。どれも捨てがたい。だがここは初心に帰ってスク水にするか」

「えっと……み、水着、似合ってた? 私、ホントに可愛い?」

 ドキドキしながらとでも言わんばかりの目で恵が訪ねてくる。間隣から上目使いで見つめているのであろう瞳に俺は、ゲーム画面から目をそらさずに淡々と告げる。

「あ? んなこと当たり前だろうが。だからさっきいちいち見せ物になっていたのを追い払ったんだろ今更そんな当たり前のこと言わせんな。めんどくさい」

 試着でラッキースケベイベントキタぁああああああああああああああああああ! うひょ――――!

 おいコラ主人公、そこ変われ。うらやまけしからん。

「そ、そっかそっか。えへへへ……うれしーな♪」

「あ? そうか。よく分からんが、よかったな」

「うんっ。これだけでも海に来たかいがあったってもんだよっ」

「そうか。俺は今日、こうしてさつきちゃんのラッキースケベイベントを拝めただけでも海に来たかいがああったってもんだ」

 最初からであるが為にまだ共通ルートの段階だがこれはこれで悪くない。頬を赤らめるさつきちゃん、かぁいいよ! ここでフラグが立つんだね! まっててね。何度やり直すことになっても、君のことはあきらめないから! ぐへへへ。

「……ん。そーいえば、みうみうとみさみさはどこいったのかな? 海にもいないんだけど」

「散歩じゃねーの?」

 そんなことよりも今の俺にはさつきちゃんとの思い出作りの方が大切なんだよ。

「んー。心配だなぁ。こういう時ってトラブルに巻き込まれちゃうのがお約束なんだよねぇ。というわけでかいくん、探しに行ってあげたら?」

「お前はいったいどういう思考回路をしてるんだ」

 ありえんだろ普通。こういう時ってトラブルに巻き込まれるのがお約束なんて理由でいちいち探しにいってたら身がもたんわ。そんなことよりも俺は今、このギャルゲーのロリBBA、みかちゃんを攻略しなきゃいけないんだよ。

 ギャルゲタイム! セットアップ!

「はいはい。二次元の世界への逃避は後にして、さっさと二人を探しに行くっ!」

 アッサリと恵にゲーム機を取り上げられてしまった俺は、「見つけてきたら返してあげる」という恵の案にしぶしぶ従って美羽と美紗を探しに出かける羽目になってしまった。恵曰く、「私の勘に間違いはない」らしいが、それ、微妙に的中するけどほとんど当たらないフラグじゃねーか。

 とぼとぼと歩き出すものの、インドア派の俺にとって、真夏の太陽というのはやけに強烈だった。

 ギャルゲーをとられ、ツインテスク水幼女を見ることすら叶わなくなった俺は明らかに幼分(一応いっておくが、養分ではない。幼分である)が不足しており、その幼分の乏しい俺はふらつきながら二人の捜索を始めたのだった。


今朝のウィザードでドラゴタイムがボッコボコにされてて泣いた。


そしてランドに変身して「それはあかんやろw」と思ってたらやっぱりボコられて余計に泣いた。


オールドラゴンの次の出番は最終回ですね分かります。



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