表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺は/私は オタク友達がほしいっ!  作者: 左リュウ
第2章 秀才姉妹と一泊二日の親睦会
18/165

第17話 親睦会一日目~嘘だといってよ、変質者~

 自由時間が大半の流川学園の親睦会だが、夕食の時間や入浴時間に限ってはそうではない。特に入浴時間に関してはクラス毎に時間が定められている。ここは学習塾が勉強合宿に使うと言うだけあって入浴設備もちゃんと整えてあった。

 夕食の時間になると寮内にある食堂に集まって班別に別れてテーブルにつき、食事を開始する。とはいっても、名目上は班別でテーブルにつくことになるが食事を開始した時に移動しても問題はない。親睦会、つまり生徒同士の親睦を深めるためだからだろうか。

 そんなわけで、俺たちのテーブルには俺たちの班+恵、南帆ペアの八人がそろい踏みしていた。

「んー。ごはんが美味しいねぇ」

「……確かに、美味しい」

 もきゅもきゅと美味しそうに夕食を食べる恵と南帆。それに続くようにしてみんなもいっせいに箸をのばす。

 すると、隣の正人からアイコンタクト。

(おい海斗、ボロをだすなよ。こんなところで俺たちの計画が崩れては意味がない)

(安心しろ。こう見えても俺は信用されている)

(本当か?)

 疑いの眼差しを向けてくる正人。

「何をこそこそと話しているのですか?」

 と、さっそく疑ってきたのは渚美羽だ。ジトッとした目で俺と正人を見ている。

「まさか覗きをしようというんじゃ……」

 惜しい。覗きじゃない。盗撮だ。

 正人がやべっとでも言いたそうに僅かに慌てるが、やれやれ。落ち着きのないやつだな。

「大丈夫ですよ美羽。十三歳以上の女子に興味が一切ない変態の海斗くんがそんなことするはずないじゃないですか」

「だよねー。かいくんは幼女以外に興味のない変態さんだもん」

「……この生粋の変態に限ってあり得ない」

 美羽の疑念もこの三人が晴らしてくれた。やはり、俺はこの三人からは信用してもらえてるな。なんて固い絆で結ばれているんだ。

(な? 信用されてるだろ?)

(確かに信用されてるな。変態として)

(やれやれだぜ。まだ変態というのか。紳士だと何度言えばわかるんだ)

(わー。自覚のない変態って怖いなー)

 正人から可哀相なものでも見るような目で見られた。

 しばらく食事を進めていると、恵がふと何かを思い立ったかのように、

「かいくん達はこのあとどうするの?」

「ん? まあ、部屋にいるよ」

「そっかー。じゃあ私たちもそっちの部屋に行っていい?」

「ェ……」

 まずい。今、部屋には幼女たちの寝顔をこの手に収める為の盗撮グッズが山のように転がっている。

 こんな部屋を恵たちに見せるわけにはいかない。かといって、断れば不振がられる。

 仕方がない。ここは……、

「良いけど、風呂あがってからな」

「おっけー! じゃあお風呂上りにかいくんたちの部屋に突入だー!」

 そういうと、一番に食べ終えた恵が食器を返しに行く。

 ふう。なんとか乗り切った。

(……海斗)

(ん? どうした)

 隣から正人が肩をつついてきた。なんだろう。今の対応にどこか不備があったのだろうか。

(ナイスだ!)

 ぐっとサムズアップする正人。その顔は笑顔に満ち溢れている。

(風呂上がりの女子をカメラに収める大チャンス到来だぜッ! しかもお風呂上りだとさぞかし色っぽくなって良い香りがするに違いない……くくく。これは思わぬ収穫だ)

 おおう。こいつのゲスッぷりがパネェことになっている。

 犯罪係数がえらいことになっているんじゃないだろうか。

(バカ野郎! 女子会にしろお風呂上がりの女子にしろ、男のロマンだろ⁉ しかもこの美少女たちのお風呂上りなんて学園の全男子たちの夢と言ってもいいぐらいだ!)

(俺の夢はいつか幼女と……デュフフフ)

(おまわりさん。こいつです)

(バカっ! そんな不用意に奴らを呼ぶな! また連行されたらどうするんだ!)

(ああ、連行されたことがあるんだな)

(知ってるか? 最近の警察の銃って喋るんだぜ?)

(おい、お前もう犯罪係数が既に手遅れじゃねえか)

(急に「執行モード……リーサル、エ○ミネーター」とか喋りだした時にはどうしようかと思ったよ)

(それ対象を殺傷するモードだぞ。お前もう手遅れってレベルじゃないよ。今すぐ排除されるべきだよ。幼女の為に)

(なんでだよ。俺はただ幼女を守護しているだけだぞ? なのになんで排除されなきゃならないんだよ)

(……ちなみにお前が守護しているというその幼女、最近何か変わったことはないか?)

(なんでもストーカー被害にあってるらしい。許せんな)

(許せないのはお前だよ!)

(俺の心が真っ赤に萌える! 幼女を愛でろと轟き叫ぶ!)

(お前は愛でる事すら許されねぇよ!)


 ☆


 夜。

 夕食を食べ終え、風呂にも入り、盗撮グッズも全て片付けた後、タイミング良く一行が部屋へとやってきた。

 先陣を切った恵が持ち出してきたのはトランプに人生ゲームと、旅先には定番のアイテムたちだ。

「ねぇねぇかいくん、どれで遊ぶ?」

「トランプでいいんじゃないか」

「んー。でもトランプって言っても遊び方自体にはたくさん種類があるからねぇ」

「ここは無難にババ抜きで良いんじゃないでしょうか」

「おっ。いいねぇ」

 うきうきとしながら恵がトランプをケースから取り出し……

「ってトランプじゃなくてラ○ズカードじゃねぇかあああああああああああ!」

 説明しよう! ラウ○カードとは某仮面ラ○ダー出てくるトランプをモチーフとしたアイテムのことだ!

 因みに某仮○ライダーオンドゥルは子供向けにしてはやたらと重いラストと内容だがけっこう面白いぞ!

「ふふん。全部そろえるのに諭吉が何枚逝ったことか」

「かっけぇ!」

 今プレミア価格になって高いもんなー。よく集めたよ、うん。

「しかも保存用、観賞用、トランプで遊ぶように三セット揃えたよ!」

「お前凄いけどバカだな!」

「えへへ。褒めないでよぅ」

「褒めてな……いや、ここは素直に褒めるわ! バカだけど!」

 というわけで、使うのも恐ろしいラ○ズカードでのトランプ大会が始まった。

 ……過程は省くが結果的に何種類かやったトランプを使ったゲームも、人生ゲームもすべて南帆の圧勝に終わった。見るも無残な結果だ。あえて語るまい。

 ただ一つ言えることは、南帆はジャンルを問わずそれがゲームであるならば鬼強いということだ。

 その後で正人がこれ見よがしに記念撮影と称して女子連中の風呂上り姿を撮影。

 流石にパジャマ姿ではなく学生服姿であったが正人としては大満足の結果に終わったようだ。

 そして、就寝時間がやってきた。

「諸君、準備はいいか」

 正人の問いかけに俺と葉山が答える。

『勿論であります軍曹殿!』

「いいか、この聖戦には全男子生徒の夢と希望が懸っている。更に言うなら失敗は文字通り死を意味する」

「まあ、見つかれば間違いなくあいつらにぶちのめされるだろうな」

 なにしろ今回のターゲットは加奈たちだし。

 見つかれば極刑は免れない。

「そうだ! 我々は死ぬわけにはいかない! EDENの為に!」

『EDENの(幼女の写真の)(美少年大図鑑の)為に!』

「いいか貴様ら! 返事はサーだ! 言葉の最初と最後にサーをつけろ!」

『サーイエッサー!』

「それではこれより、各自のコードネームを発表する!」

『サーイエッサー!』

「まず海斗! 貴様のコードネームは<紳士>とする!」

「サーイエッサー!」

「葉山! 貴様は<BL>だ!」

「サーイエッサー!」

 ん? ちょっと待て。

「なんでBL?」

 それじゃあまるでボーイズラブじゃないか。葉山に失礼過ぎるだろう。

「えーっと、そりゃあれだ。<Black Lightning>の略だ」

「おー。カッコいいな!」

(本当は<Boys Love>の略なんて言えない……)

 なぜか正人が視線をさっと逸らしているのが気になるが、なかなかカッコイイコードネームじゃないか。

「正人くんのコードネームは?」

「俺か? 俺は考えてなかったなぁ……何にしよう」

「<perversぺルヴェール>でどうだ?」

 俺が提案したコードネームを正人はアッサリと受け入れた。

「おっ、良いねぇ。カッコイイじゃん」

「だろ?」

 本当はフランス語で<ちかん、変質者、性的倒錯者>という意味なんだけど黙っておこう。

「さあ、行くぞ諸君! 聖戦の始まりだ!」

『サーイエッサー!』

 ……<紳士>、<BL>、<変質者>って凄いメンツだなこれ。


 ☆


 俺たちの部屋は一階にあったので脱出は容易だった。

 真夜中の学生寮の外。女子寮までの道を俺たち<紳士>、<BL>、<変質者>は進む。やばい。文字にすると本格的に犯罪者だぞ俺たち。

「やってることは褒められたものじゃないけどさ、こうしているとなんだかワクワクするよね」

「あー、それは解るぜ葉山。青春してるって感じだよな」

 だって……、

『中学時代は、ね……』

「重いな……」

 慎重に前進する俺たちはしばらくすると、ターゲットの女子寮を捉えた。明かりは全て落ちている。恐らくあそこで今、BBAたちがキャッキャウ腐腐のトークを繰り広げていることだろう。渚美紗がいることを考えたら腐をもう一つ足してもいいぐらいだ。

「ではここから散開する前に……海斗、これをお前に託す」

 そういって、正人が俺に手渡してきたのは一つの茶色い封筒と小包み。

「俺にもしものことがあったら、撤退してその封筒の中に入ってあるものを見るんだ。いいか」

「ああ。わかった」

「よし、それでは……散開!」

 そして俺たちは散開する。

 作戦はこうだ。

 女子寮に侵入するルートは幾つかあるが内部は潜入困難。何故なら、見回りの教師がいるからだ。となれば、まずは教師たちを封じなければならない。

 その為にまず俺と葉山が女子寮のブレーカーを落とす。そうすると突然ブレーカーが落ちたことに教師たちは動揺し、その混乱に乗じて正人がいっきに女子たちの女子会を撮影する。

 女子たちは消灯時間が訪れている為に必然的に部屋の電気を落としている(教師対策)のでブレーカーが落ちようが混乱することはない。完璧な作戦だ。昼間の内にブレーカーある場所も既に調べてある。

 ささっと俺と葉山が定位置につくと、定時連絡を入れる(携帯で)。

「こちら<紳士>。<BL>と共にポイントαに到達」

「こちら<変質者ぺルヴェール>。もうじき、ポイントβに到達。一分後に行動を開始してくれ」

了解ラジャー。通信終了」

 何をやってるんだろう俺たちは、という疑問は頭の隅においやることにした。こういうのは雰囲気が大事なのだ。

 ……うん。でもまあ、こうやってバカやるのも楽しいな。まったく、アイツと親友で本当によかった。

 と、その時。

 正人ではない…………恵から電話がかかってきた。一瞬ヒヤリとしたが、冷静に、落ち着いて電話にでる。

「よ、よう恵」

「あ、かいくん? まだ起きてるよね?」

「ああ。どうしたんだよこんな時間に」

「眠れなくてねー。暇だからおしゃべりしようかなーって。だからみんなで電話かけてみよーってことになったんだー」

「HAHAHAHA。ソーナンダー」

「……まさかかいくん、とーさつとかしようとしてないよね?」

「……………………ソ、ソンナコトスルワケナイダロー」

「あーよかった。安心したよぉ」

 ……ん? 安心? なんで。

「なんでもねー。毎年毎年、この親睦会でとーさつしようとする人が出るんだってー。だから先生たちもかなり警戒してるらしくてさー。去年はブレーカーを落としてまで決行した人たちがいたから先生たちもブレーカーにまで見回りをつけたんだって」

「…………………………………………ヘー、ソーナンダ―」

 あっぶねえええええええええええええええええええええええええええ!

「あははは。無いとは思うけど、私のパジャマ姿が欲しいならかいくん素直に言いなよ~? 写真ぐらいなら撮らせてあげるから」

「え゛?」

「だってかいくんが幼女以外の女の子にきょーみ持つなんて滅多に無いしねー。真人間に戻る為ならそれぐらい協力してあげるよ。ま、かいくんだから無いとは思うけど」

「は、ははは……」

 俺たちの青春の意味の無さといったら。

 いやまて。でもこれなら正人は救われるじゃないか。わざわざこんな危険をおかさなくても……

「あ、それとそれと、私たちの部屋の周辺には近づかない方がいいよ?」

「なんで?」

「なんか、美羽ちゃんが張り切って罠を……」

 その瞬間、俺は走り出していた。同時に正人に電話を掛ける。

 もう戦う必要はないんだ。正人を止めなくちゃ。

 正人、正人。逃げるんだ。

 何度かのコール音の後、繋がった。

『おう、どうした紳士。こっちは今から行動を開始し……』

「やめてぇー! 変質者ぺルヴェールー! うわぁああああああ! 痴漢ぺルヴェール、もう戦わなくていいんだ! 性的倒錯者ぺルヴェールー! 」

『え? 何が……がはあっ!』

 あ、もうだめだこれ。

『ちょっ、え? なんで手榴弾? ちょっとまて、なんだあのゲームに出てきそうな固定砲台は……ぎいああああああああああああああ! クレイモア地雷がなぜこんなところにいいいいいいいいいい⁉』

 女子寮の方角から、綺麗な花火があがっていた。


 ☆


 こっそりと部屋に帰還した俺と葉山はさっそく封筒の中身を開封した。

 中に入っていたのは一つのUSBメモリで、その中には映像データ――ビデオレターが入っていた。


「海斗、いいか? よく聞いてくれ。この包みの中には、俺たちが盗撮を試みたの証拠の品が入っている。俺がどんな思いで盗撮にはしったわけをできる限り喋った。もし俺が死んだら、これを勇気と欲望と煩悩ある男子たちに届けてくれ。男子たちが俺の行動は本気だったと信じてくれたら、俺の魂は報われると思う。

 盗撮することに後ろめたさを感じて俺が直接先生に自首しようかとも思ったんだが、なんていうか……そうするのが逃げるみたいに思えて。ここで戦うのをやめると、自分が自分でなくなるような……。

 教師が憎いとか、今まで同じことを試みて散っていった男子たちの仇を討ちたいとかいうんじゃないんだ。上手く言えないけど……ただ純粋に美少女たちの無防備なパジャマ姿や寝顔が見たくなったんだ。俺が男だからなのか、理由は自分でもよくわからない。……海斗、俺はたぶん社会的に死ぬだろうな。そのことで、教師や美少女たちを恨んだりしないでくれ。

 彼女らだって俺と同じで、自分がやるべきだと思ったことをやってるだけなんだ。無理かもしれないけど、他人を恨んだり自分のことを責めたりしないでくれ。

 これは俺の最後の頼みだ。もし、運良く生き延びて聖戦が終わったらさ、必ず学園に帰ってくるよ。会いに来る。約束だ。……これでお別れだ! じゃあな海斗。元気で暮らせよ! 生徒会長によろしくな!」


 ☆


「昨日、女子寮に特攻をしかけたやつは?」

「一ヶ月女子たちの奴隷だ。ミンチより酷ぇよ……」


ネタにしたけどポケ戦は好きだよ


序盤見た時は過大評価されすぎと思ったけど終盤で一気に評価が変わった。

あれはアナザー派の自分的にも名作

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ