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俺は/私は オタク友達がほしいっ!  作者: 左リュウ
第9章 修学旅行とこれからのこと
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第102話 ヒロインズ緊急会議

「はいはいはーい。みんなー、しゅーごー」


 部屋に戻ってきた恵が突然、わたしたちに招集を呼びかけてきた。


「かなみんもほらほら。こっちおいでよー」


 わたしも恵に呼びかけられたので、荷物を置くと部屋の真ん中に集まる。こうしてテーブルで囲ってみんなで集まっていると、部室にいるかのようだ。


「あら。何がはじまるのかしら」


 なぜか当然の様に、別のクラスにいるはずのメイさんがここにいた。


「ふふっ。だって、これから重要な話がはじまるからこの部屋に来るべきだって、わたしには解ってたんだもの」


 相変わらず不思議なことをいうメイさん。

 まあ、今にはじまったことじゃないし今はそれは置いておこう。


「それで、いったいどうしたのですか。恵」


「うん。えっとね、さっきかいくんと会ったんだけど――――」


 恵が、わたしたちをいきなり招集した理由を話す。


「――――と、言うわけなの」


 恵が何故か海斗君に胸を押し付けたのはさておいて、その時の海斗くんの反応がなんというか、照れていたというのがひっかかる。


「まさかあの幼女にしか興味のない正真正銘のド変態犯罪者ロリコンである海斗くんがそんな反応をするなんて……」


「……ありえない」


「まったくです」


「う、うん……ちょっと、考えられないよね」


「でしょー? わたしも内心びっくりしちゃったもん」


「同意はするけどなかなか酷いわね。あなたたち」


 メイさんが冷静にそんなことを言ってくるが、あのロリコンと一緒に一年もいればこうもなるのは仕方がないと思う。……まあ、そんなロリコンさんをす、好きなのもわたしなのですけど。


「でも、考えられないのは確かね」


 うーん、とメイさんは考え込む。こうして彼女を見ていると、メイさんはどこか『考える』という行為を楽しんでいるような感じがする。そして、そうやって考える彼女の姿はかわいい。……むぅ。海斗くん、あれやこれやとかわいい子をすぐに連れてきて……。もうっ!


「どうしたの? 加奈さん」


「な、なんでもないです」


「そう。なら、わたしはこれで失礼するわ」


「えー、もう行っちゃうのー?」


「ええ。ちょっと、恵さん以外の子でも海斗くんが照れてくれるか実け……こほん。ちょっと部屋に戻るわ」


『ちょっと待って』


 何やら聞き捨てならないことが聞こえてきたような。


「なにかしら。わたし、これから今季アニメのレビューを書く予定なのだけれど」


「……うそ」


「うそじゃないわ」


「か、海斗くんのところに行って何するつもりなの?」


「何もするつもりはないわ」


「あ、じゃあかいくんのところに行くのは本当なんだ」


「…………………………しょんにゃことないわ」


 どうやらメイさんはとっても分かりやすい子のようです。

 何をするつもりなのかは何となくわかった。


「こほん。とりあえず、わたしはこれにて失礼するわ。これから自分の班のところに戻らなくちゃいけないし」


 そう言い残すと、メイさんは部屋から出ていった。確かにもうすぐ自由行動がはじまる。

 時間的にも彼女は戻らなくてはならないだろう。

 ちょっと不安な感じもするけれど、そろそろわたしたちも準備しなければならない。


 ☆


「はぁ……疲れた」


 俺は恵からなぜか逃げ出したようにダッシュでどこかへとすっ飛んでしまい、途中で正気に戻ったので急いで戻ってきた。時間的にもうすぐ自由行動だ。旅館には何とか間に合った。もうすぐとはいえ、まだ時間は少しだけ残っているし休もう。


「あら。戻ってきたのね」


「メイ?」


 俺が旅館のエントランスに戻ってくると、メイがソファに座って文庫本を読んでいた。メイは俺の姿を見るとパタムと文庫本を閉じる。


「何してるんだこんなところで」


「休憩よ」


「そっか。ていうか、もうすぐ自由行動はじまるから、お前もクラスのところに戻れよ」


「ええ。そうするつもりよ。実験を終わらせてから」


「実験?」


 俺が首を傾げていると、メイはにっこりとかわいらしい笑みを浮かべた。その表情にどこかドキッとしてしまう自分がいて。


「ふふっ。どうやら話に聞いた通りみたいね」


「話?」


「なんにも。とりあえず付き合ってくれる?」


「……別にいいけど、もう時間がないの」


「そうでもないわ。まだ実験をする程度の時間は残っているもの」


 そう言って、俺はメイに手を引っ張られながらどこかへと連れていかれた。女の子の手というものはどうやらみんな柔らかいらしい。メイの手も俺より小さくて、柔らかくて、温かい。その温かさがいちいち……ドキドキする。

 そのドキドキのせいだろうか。俺は周りが見えていなかった。そして気が付いたときには、俺は何故か暗い場所にいた。え、どこなのここ。


「倉庫の中よ。外にあったの」


「え、ちょっと待って。なんでこんなところにいるの」


「言ったでしょ。実験のためよ」


「……今更だけど何の実験なんですかね?」


 さっきの恵ショックで俺もぼーっとしていたけど、俺も迂闊にこんなところまでホイホイついてくるんじゃなかった……。


「何も知らないでついてきたのね。まったく。女の子のお尻ばっかり追いかけて仕方がないわね」


「追いかけてねーよ!?」


 失敬な。俺が追いかけるのは幼女のお尻だけだ。

 とか何とか考えていると、メイが四つん這いの格好でずいっと近づいてきた。なぜか制服の胸元に手をかけて、しゅるりとリボンを解く。


「は?」


 白い肌が露わになり、更に妖艶な表情を浮かべたメイは何というか……とても、色っぽい。


「な、なにしてるのお前?」


「実験よ」


 ふふっと微笑むメイは俺の反応を楽しんでいるかのようだ。


「お、お前なぁ! な、ななななにするつもりなんだよ!」


「あら。顔が赤いわよ?」


「ほっとけ!」


 そりゃ赤くもなる。メイはとてもかわいい。端的に言って美少女だ。そう言っても差支えないだろう。そんな子がこんなところで……こう、いきなり制服をはだけさせてきて、四つん這いのままじりじりと寄ってくるのだ。心臓がうるさい。ドキドキする。

 気がつけばメイはすぐ目の前にまでやってきていた。つい向いてしまった胸元への視線。なんだか淡い紫色の布が見えた気がするけど意識しないことにする。ていうかやっぱりこいつ、そこそこ胸が大きい……いやいやいや。そんなことはどうでもいいんデスヨ?


「あら。駄肉に興味がおありなのかしら?」


 じりじりと四つん這いで寄ってきて、やや上目遣いになりながらそんなことを言ってくるメイはやっぱり色っぽい。制服がはだけているせいで谷間のようなものが見えているし、お尻を突き出して四つん這いになっているという女の子にしては、はしたない格好をしている。


「べ、べべべべべべべべべべべべべ別に興味ないしぃ?」


「うそつき」


 メイはそのまま制服のブレザーを脱いだ。下からはだけた白いシャツが現れ、同時にシャツに負けないぐらい白く、またきめ細やかな肌が露わになる。そしてメイはそのまま俺に密着してきて、胸をむぎゅっと押し付けてくる。しかも四つん這いのままやってきたもんだから抱き付くような形になって。

 どくん。どくん。と心臓の鼓動が一気に跳ね上がるのが分かる。


「ねぇ……どきどきしてる?」


「……は、はぁ?」


「わたしに、どきどきしてる?」


 メイがどこか真剣なまなざしでそんなことを言う。俺はそんなメイの瞳をじっと見つめていた。

 どうしてこんなに真剣なのか。どうしてこんなことをしているのか。

 そんなことはもう頭の中から吹っ飛んでいて。

 俺はメイの華奢な肩を震える手で優しく掴んだ。


「ど、どきどきなんかしてないし!」


 そしてそのまま、俺はぐいっとメイを引きはがす。

 無理無理無理無理無理無理無理ぃ――――! ちょっとまってこういう展開今までに無かった……こともないけどなぜか分からないけど今は無理だ! なんか、こう……い、いろいろとしてしまいそうで!

 メイはきょとんとした顔をしていたけど、すぐにまた色っぽい表情を見せる。視線を逸らそうとしたら今度は短いスカートから除くむちむちとした太ももに目がいってしまいまた別の方向に向けようとしたら、今度ははだけた胸元に目がいってしまった。

 どこをどう見ても地獄じゃねーかこれ……。


「それはそれでショックなのだけれど?」


「し、しるかこのあほ! お、おとこに対してここここここういうことするなぁ!」


「ふふっ。かわいいわね。いつもは眼中になさそうにしていたのに」


 そ、そうだぞ俺。さっきの恵のやつといい最近の俺はおかしい。

 好きだとか、そういうことを意識しだしたから? そういうことを一回でも考えてしまったから? だから俺はこういう……メイの胸とかお尻とか太ももとか、そういうのにドキドキしてしまっているのか?


「そろそろ時間ね」


 どうやらもう三十分以上の時間が過ぎていたらしい。そろそろ本当にやばい。


「じゃあ、最後にちょっと」


「ま、まだ何かあるのか!?」


「ふふふっ」


 メイがいたずらっぽい表情になって、


「目、とじてもらえるかしら?」


「はぁ!?」


「とじてくれると、うれしいな」


 そんなことを言われては……とじるしか、ないわけで。

 きゅっと緊張しながら目をとじる。

 不思議と目をとじていると心臓の鼓動がやけにはやく、そして大きくハッキリと聞こえてくる。

 永遠のような、ゆっくりとした時間が流れて――――


 ぺろっ。


「!?!?!?!??!!!??!?!??!」


 首筋と頬をぺろぺろとなめられた。メイの小さなかわいらしい舌に成すがままにされた俺は、顔が真っ赤になっているのを感じながらただじっとしていた。


「あけていいわよ」


 どきどきどきどきどきどきどきどきどきどきどきどきどきどきどきどきどきどき。と、心臓の鼓動がえらいことになっている。まるで体の中で太鼓をたたいているかのようだ。


「ふふっ。ごちそうさま」


「ご、ごちそうさまじゃねぇええええええええええええええええええ!」


 ぺろっと自分の唇を舌でなめるメイ。やっぱり色っぽくて、妖艶で。

 脱ぎ捨てられたブレザーやはだけたシャツがすごく……緊張して、かわいい。





「へぇ……。随分とお楽しみのようですね、海斗くん」



 その時。


 俺の世界が、終わりを告げた。


 ゴゴゴゴゴゴゴ……という効果音と共に、魔王加奈さまが倉庫の扉を開けて降臨なさってた。


「海斗くんがいないから心配して探しに来たら……これはまたすごいことをやっていますね」


 冷静になって周りを見る。

 メイは今、胸元がはだけたシャツ姿。周りには脱ぎ捨てられたブレザーとほどけたリボン。

 イコール俺、やばい。

 

「ま、まて。違う!」


「何が違うかどうか、しっかりとお話を聞かせてくださいね?」


 ニッコリとした加奈の表情。

 怖い。とても怖い。

 

 その後、俺は理不尽なお説教を受けた。




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