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俺は/私は オタク友達がほしいっ!  作者: 左リュウ
第1部「1年生編」:第1章 なんちゃってDQNと日本文化研究部
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プロローグ 高校デビューし過ぎた少年

 高校デビューという言葉を知っているだろうか。

 小学校、中学校で大して目立たず、もしくは虐められるような地味でパッとしないやつが地元から離れて同級生のいないような高校に通い、いきなり髪を染めたりして悪ぶったりするようなことを言うらしい。

 まあ、細かく分ければまた違ってくるが(悪ぶったりしないやつもいるとかなんとか)、大まかにわければこんなものだろう。

 俺こと黒野海斗(くろのかいと)は中学時代、いじめられていた。

 地味でパッとせず大人しいやつで、休み時間はずっと教室でライトノベルを読む。そんなやつだった。

 休日にはアニメショップに行き、好きなアニメのグッズやらラノベやらを購入し、家で堪能する。

 だからこそだろうか。

 学校では虐めの標的にされていた。

 一念発起しようとテニス部に入ったものの、他の部員からも当然いじめられた。俺がいた頃のテニス部は「あいつ、早く辞めればいいのに」が定番の話題だったようだ。

 そんなわけで、俺は中学卒業を機に一人暮らしと言う条件で地元を大きく離れた場所にある高校に向かった。

 幸い。

 家はそれなりに裕福だったので仕送りで問題はないのだが、今思えば家がそれなりに裕福だったというのもいじめの格好のネタになっていたのかもしれない。

 そして俺はもう過ちを繰り返さない為に、高校デビューを決意した。

 まずは黒髪を茶髪に染めた。次に、体を鍛えた。これに関しては中学時代から続けてきた努力である。俺は中学時代から高校デビューを計画していたのだ。おかげで、それなりにガッシリとした感じにはなった。

 細身ながら筋肉がイイ感じについて肉体改造には成功したといってもいいだろう。

 次に内面だが……まあ、うん。萌えアニメは外せないよね。幼女スキーは変えられないよね。仕方がないよね。もうこれは完全に変えようがないぐらいに仕方がないよね。

 まあ、これでビジュアルの改造は終わった。次に喧嘩の強さである。

 俺は中学時代の反省から腕っぷしの強さは必要不可欠だと思い知った。

 だが万年いじめられっ子だった俺にとってそう簡単に強くなれたら苦労はしないということなので、ここは師匠とも呼ぶべき存在に頼った。

 そう、俺を萌えアニメと幼女大好きの道に引きずり込んだ張本人。

 ……姉である。

 俺の姉はアニメオタクにして超人である。喧嘩も超強い。めちゃくちゃ強い。アホみたいに強い。一度、小学生の頃に聞いた話だと百対一の状況でも相手を殲滅したとか何とか。

 よって、師匠と呼ぶには適任である。

 まあ、俺をこの萌えアニメ好きとロリコンという名の紳士の道に引きずり込んだ責任もあるだろう。嗚呼、蘇る。あの思い出の日々の記憶。


「かいちゃーん、ちょっと来てー」

「なに、ねえちゃん」

「はいっ! もうかいちゃんも中学生になるんだもんね、これ!」

「なにこれ……」

「決まってるじゃん、ろりっこ幼女アニメだよ! 男の子ならこれぐらい嗜んでおかないとね!」


 中学入学前の春休み。

 あの時から俺の人生の歯車は狂い始めた。

 よって、姉に責任をとってもらい、俺の師匠として春休みに喧嘩のイロハを叩き込んでもらったのだ。

 というわけで。

 準備は万端。


 海斗・F・セイエイ、高校デビューを開始する!


「……失敗した」


 俺は愚痴るように呟いた。

「あァ⁉ おいこら黒野ォ! シカトしてんじゃねーぞ!」

 中学時代は友達がいなかった。

 だから高校デビューして友達を作ろうとした。

 同じ趣味をもった友達を。

 姉ちゃん、見てごらんよ。

 俺の周りには今――――、


「カッコつけやがってよぉ!」

「今日こそぶっ殺してやるよ!」

「積年の恨み、今ここで晴らしてやる!」

「死刑だ死刑!」

「野郎ども、ぶち殺せ!」


 ――工場跡地のど真ん中で、茶髪もしくは金髪に髪を染めて金属バットや釘バットを携えて、顔にはいかつい傷を作って殺気を漲らせながら俺を睨みつけてくる人たちがたくさんいるよ。

「えーっと、つかお前誰だっけ? 三藤? いや工藤だった気が……」

「工藤じゃねぇよ御堂だよこの糞野郎!」

「せやかて工藤」

「御堂だっつってんだろーがぁあああああああああああああ!」

「どっちでもいいよ……。ったく。いーから纏めてかかってこいよ。時間がねえんだよ。一番くじが全部無くなってたらどう責任とってくれるんだこの野郎」

 溜息と共に吐き出されたその言葉に周りの馬鹿どもが一斉に吠える。

「上等だァ!」

 その掛け声を合図に怖いお兄さんたちが一斉に襲い掛かってきた。俺はそれらをするりとかわし、必殺の一撃(物理)を叩き込んでいく。

「ぐへっ!」

「がはっ!」

「あふん!」

 ものの一分もしない内に、周りの雑魚(二十人ぐらいだろうか)が片付いた。俺は地面に置いていた鞄を拾い、中に入れていた財布が無事であることを確認した後に、言った。


「……さて、ア○メイトにでもいくか」



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