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冷えた朝
朝冷えていた、君、固くなり動かない、僕、そっとその頬に手をあてる。窓から構わずに差し込んでくる、朝日、同じように君の頬を温める、僕、抑え込んでも抑え込んでも荒れ狂う荒波のようにおしよせる、悲しみ、静かにそっとベッドに座り君をみる僕、動かない、君。まだ続くとおもっていた、この生活、温かい思い出に満ちた、この部屋、静かな朝の空気に満ちる、二人。毎朝食べていた君の手作りの温かな、朝食、今日はない、あの時間、毎日笑いあい愛を語り合った、あの二人。そんな日々を過ごすうちに、僕たちは、60歳をとうに過ぎていた。