其の八
其の八です。楽しんで頂けたら嬉しいです。
そして流星は扉を開けて中へと入った。其所に居るのは椅子に座って紅茶を飲むレミリアの姿が見える。
レミリアは持っている紅茶をテーブルに置いた。流星は周りを見る。この部屋に居るのはレミリアだけの様だ。
姿が幼く見える吸血鬼。でも油断はできない。里の人の話しでは吸血鬼の館に行った者は生きて帰って来た者は居ないと聞いたからだ。
実際に帰って来た者が居ないのに何故その様な話が広まったのかは分からないが実際にこうして吸血鬼を目の前にしては其の話しは本当の事の様だ。
そして目の前に居るレミリアは流星を見てる。紅い瞳とその落ち着いた表情が逆に恐ろしく感じるのは気のせいなのだろうか。
それに姿とは裏腹に恐ろしいオーラも感じられる。目の前に居るこの人物がこの館の主なのだろうか。
流星をじっと見るレミリアは流星に問いかける。
「私を紅魔館の主と知ってこの場所に踏み込んだのかしら?」
物凄い程の威圧感を感じる。完全にレミリアは流星を敵意の持った表情で見ている。
流星は直ぐに撤退出来る様に隙間を少し開けてレミリアに返事を返す。
「何の挨拶も無く現れたのは失礼しました。この館の主に話を聞きたく来ただけです」
だがレミリアの表情は変わる事はない。それどころか先程よりも敵意を持たれている。
「私がこの館の主レミリアスカーレットよ。貴方が私に聞きたいと言う話を言ってもらおうかしら」
「この霧についてです。太陽を遮っている処からして吸血鬼で在る貴方なら何か知ってると思いまして」
レミリアはフッと笑いを溢す。そして満足のいった表情で流星を見る。
「知ってるも何もこの霧を出した実行犯はこの私よ」
思っていた事が確信へと変わった。流星は直ぐに止めてもらう様にレミリアに問いかける。
「里で皆が困っています。直ぐに止めて下さい」
「他の者なんて関係ないわ。困っていようと苦しんでいようと私さえ良ければ其れで良いのよ」
流星は思わず両拳を強く握った。許せないと言う気持ちが込み上げたからだ。
しかし流星はその反面にレミリアが霧を出したくなる気持ちも分からなくは無いと思っている。だが周りを困らせてまでやって良い事にはならない。
「貴方にも思いはあるのは分かります。でも時には無理な事も在るんです」
「唯の人間に私の気持ちが分かると言うの?笑いも出てこないわね」
レミリアはパチンと指を鳴らした。
その途端、数本のナイフが流星目掛けて飛んできた。流星は目にも止まらぬ速さで飛んでくるナイフをかわした。
そして其処で初めてレミリアの表情が変わった。流星の其の動きに少し驚いた表情をしてる。
「‥‥今の動きは私でも捕らえられなかった。貴方は一体、何者なのかしら?」
「其の前にナイフを私に投げた本人を出してもらえるか?」
流星の背後に其の人物、十六夜咲夜が姿を現した。咲夜は又も流星にナイフを投げる。
だがナイフは飛ばずに床へと落ちる。まるで時間を止めたかの様に。
咲夜が流星に語りかける。
「貴方も時間を止めれるの」
「いや、能力を真似しただけだよ」
其れを見るレミリアが椅子から立ち上がった。咲夜に待つ様に言いレミリアは流星の前に立った。
「どうやら私じゃないと駄目の様ね。‥‥本気でかかって来なさい!」
「いや、今回は此処で去らしてもらう。この異変の実行犯が誰か分かったからね」
「無駄よ。生きてこの館から出れると思っているの?」
だが其所には流星の姿は無かった。咲夜も流星が何処へ行ったか分からない表情で周りを見てる。そしてレミリアも。
「まだその辺にいないか探して来ます」
咲夜は部屋を出た。
椅子に再び座るレミリア。テーブルに置いた紅茶を取り流星の事を考えている。
「次は同じようにはいかないわよ」
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最強設定がかかった主人公ですがこれからもこんなお話しですが宜しくお願いします。
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では!次回で!