諍い
か、かかかか、かなり、お久しぶりの更新となってしまいました…。申し訳ありません!
そして短いですが、近々またアップします!
その翌日、俺と綾は冗官達の尻を蹴飛ばして三省六部へ頼み込ませ始めた。
あと19日間、こうなったら粘り勝ちでいくしかない。
すごすごと帰ってきた奴は愚痴を聞いてから追い返す。
「だっていないかのように無視されるんだぜ!」
「そりゃそうでしょう。だっていないも同然ですし、私達とは違ってお忙しいでしょうから」
「ぐっ……でも、でもさ! 一応は貴族の子息だぜ!? もっと丁寧に扱うべきだと……」
「彼らの中にも貴族の方はいらっしゃいますよ。その上で仕事を貰ってらっしゃるんですから、能無しに用はねえってところでしょうね」
「うぅ……」
「まぁ、あなたのご家族のためにも頑張ってくださいよ。有名な貴族のご子息が家名を汚すようなことをしたら、さぞかしご家族は悲しまれるでしょうからね」
男の顔が蒼白になる。
「仕事とって、無視した奴らを見返してやりましょう。ね?」
ニコニコ笑って拳を握る。
「お、おぉ!」
男も拳を突き出して呼応し、首を傾げながら出ていった。
一先ずはこれでいい。
とにかく入れてもらえるように頭を下げて下げて下げまくれ。
それから3日、冗官達はとぼとぼ帰ってきていたが、だんだん自棄になってきたのかずっと引っ付き始めた。
「お願いします! 使ってください!」
「お茶汲みでもなんでもやります!」
「意外と要領いいです!」
時々逃げ回るような足音とそれを追いかける足音と声が部屋の前を通る。
なんだ。やればできるんじゃないか。
「あとは、その勢いがどこまで持つかだね」
綾が鼻歌混じりに言う。
「あぁ……」
それから10日経ち、俺と綾は少々殺気だったものを感じ始めていた。
採ってもらえない悔しさと不満が少しずつ、だが確実に溜まってきている。
残念ながら俺と綾に、そんな当たり前のことを同情してやるような甘さはない。
それが爆発した時、どうなるかが気がかりだった。
ある日、冗官室に入ると騒然としていた。
「何だ?」
机同士がぶつかる音、言い争っているような怒鳴り声―――。
舌打ちすると綾が乱暴に頭をかき混ぜた。
「きちゃったよ、恐れてた事態。なんで自分の中で処理できないかなぁ」
戸に手をかけて開けると何か飛んできた。
綾の頭を押さえて避けると、それは廊下の壁にぶち当たって砕ける。
花瓶―――。
眉を顰めて中を窺う。
「ふざけんなよお前っ―――!」
「何だよ!」
男二人が掴みあって争っていた。
「何の騒ぎですか! やめなさい!」
中に踏み込んで二人の間に割り込み、飛んできていた拳を避けて足を払う。
「何があったわけ?」
綾がもう一人の男を押さえて苦笑いを浮かべながら周りを見渡した。
無言の気まずさが広がっている。
「……こいつがやつ当たってきたんだよ! 自分が相手にされないからって……!」
「お前が今日は何とかをやらせてもらったーなんて調子に乗ってるのが鼻についたんだよ!」
再び掴みあおうとした二人を押し止めて椅子に座る。
「いいじゃないですか、嬉しかったんでしょう」
「こっちのことも考えてくれよ!」
「そりゃあ彼も無神経でしたが」
俺の言葉に一方がうっと詰まった。
流石に自覚はあったか。
「こればっかりは、あなたが血ヘド吐くまで踏ん張るしかありません」
ね? と笑って見せる。
相手の男がほら見ろと言わんばかりに鼻を鳴らす。
だからどうしてこの場面でそんな軽率なことができるんだよ。反省はどうした。
「なんだよ!」
「何もしてねえだろ!」
「やめ―――」
「うっせぇ! 入ってくんな!」
男が無造作に払った手が目に当たる。
「っ!」
「あ……」
自分でも己の周りの空気が一気に冷えたのがわかった。
なんだこいつら。いったい何歳だよ。少なくとも俺達よりは年上だろうに。
音が鳴るほど歯軋りする。
「……いい加減に、してください……。これ以上暴れると、採れるものも採れなくなってしまいますよ」
そこまで言ってようやくハッとしたような顔をした。
「今すべきことは喧嘩か? 俺達がしなきゃならないのはどうにかしてでも仕事をもぎ取ることだ。違う?」
綾が俺の隣に立つ。
「皆頑張ろうぜ」
ニヤリとおどけたように綾が笑うとやっと空気が緩んだ。
次回は続きになります!