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王冠の椅子  作者: 緋絽
第2層
18/24

喧嘩

綾がキレます。ヽ(*´▽`*)ノ


あと20日。あと20日で全員を抜け出させなきゃならない。

間に合わせる。

戸を開けると冗官達は全員だらけて話し込んでいた。

青筋が立つのがわかる。

「おぉ志紀!!今日な、皆で一杯ひっかけようぜって話してたんだ!!お前もどうだ?おちびちゃんも」

1人の男が俺を見て酒を呷る振りをする。

内心、舌打ちをした。

全員、今の自分の立場を何と思っているのか。

ダラダラと、仕事に執着しないのなら最下層の飢え死にしそうな奴と交代してくれればいいものを。

「おちびちゃんで悪かったな!!顔面アブラ男!!」

綾が鼻息荒く噛み付くように言い返す。

「何だと!」

男が頭に血がのぼったのか、憤るように立ちあがった。

「なんだよ、やるのか!」

綾も殊のほかこの内容になると血が上りやすい。

その他では全然なのにな。

手のひらにある傷を見る。

「綾…」

文官相手に本気で喧嘩するなよと言いたい。

しかし、言えなかった。

理由は2つ。

1つは下手な事を言って正体を感づかれてしまうことを避けるため。

そしてもう1つは───相手の男と綾が止める間もなく掴み合いを始めたからだ。

綾はすばしっこく男の手から逃げて時々蹴りを入れている。

男が軽くぶっ飛んで机と机の間に倒れ込んだ。

「やめろ2人共!!こんなところで喧嘩すんなー!」

「武官じゃねぇんだからさー!」

ガタガタと机がぶつかる音が室内に響く。

溜息をついて額に手を当てる。

冗官達がおさらばするまでに余り時間がない。

それまでやるべきことが山積みになっているのに、なんだ、この状況。

大騒ぎになるまえに止めるのが良策か。

「てめぇっ」

手をどけて2人を見ると鼻から血を出した男が綾に手を伸ばしていた。

綾が避けて顔を殴る。

「こ…っの……っ!!」

男が綾に向かってそこらにあった紙をぶちまけた。

綾が避ける。

───と紙が目くらましになったのか綾は伸びてきていた男の手に捕まってしまった。

「しま……っ」

男が綾の胸倉を掴んで顔を殴ろうと振りかぶる。

綾はそれを手の平で受け止めた。

男が空いている手で綾の手を封じ込めた。

綾が抗うが、力の差か振り解けないらしい。苦戦している。

周りの男達が興味津々といったように喰いいるように見ている。

文官なのに…。何故こうも野蛮なのか…。

再び溜息を吐いて2人を止めようと一歩踏み出す。

こんなことをしている場合ではない。

「この…っ、離せ…っ!!」

綾が唯一自由だった足で男を蹴り上げる。

「うわ…っ!!」

手が自由になった束の間、綾の体が傾いた。

受け身を取ろうとした綾の足が倒れていた机の脚を踏む。

「あれ…っ」

バランスを崩した綾を抱き止めた。

妙に軽い体が僅かに強張る。

目があった綾がやっと現状を理解してぎこちなく笑った。

バカ、と口の動きだけで伝えて体を支えて立たせる。

男の方を向いて綾が頭をかいて手を差し伸べた。

「だ、大丈夫?ごめん、つい、カッとなって…」

男が鼻血を拭って綾を睨む。

「ほんと、マジごめん!ほんっとゴメン!」

綾が拝むように手を合わせた。

それを見て男が吹き出す。

「いいってもう!!謝られたら怒れねぇし!」

「そ、そうか?ごめんな?」

「いいって。で、どうする?」

周りにいた男達も喧嘩が終わったことに気づいて机の位置を戻し始めた。

「何が?」

「何がじゃねぇ!酒だよ!」

「あ、あぁ。それは…」

綾に被せるように口を開く。

「いぇ、私達は結構です。これから特訓をやるので…」

「特訓?」

「はい。さすがにクビにされたら困るので、跪拝の練習と、宮廷語の練習を。な、綾」

「お、おう」

綾がガクガクと頷く。

一瞬にしてその場がざわついた。

「一度追い返されたのに…」

「まだやるのか…」

フンと鼻を鳴らしてやりたい。

たかが一度追い返されたぐらいで諦める方がどうかしているのだ。

まぁ、こいつらは一度官位を持っていたはずだから二度追い返されたことになるが。

だから、何だと言うのだ。2度なら3度目に、3度なら4度目挑戦すればいいだけのこと。

諦める理由にはならない。

「あと20日しかありません。急がないと」

部屋の隅へ行って跪拝の練習を始める。

少し経つと、1人、また1人と練習に入ってきた。

予測通り。

一度だけでも採用してくれるよう訴えに行ったのなら、必ずどこか諦めていても少し気にかかっているはず。

ただ一人で行動するのは嫌だ。

そう思っているはずだ。

なら、そこに誰か採用される為に何か行動を起こしたとすれば───?

結果は明らかだ。

そこにくっつき始める。

全員でここはどうだ、そこはあーだと練習をやり始めた。

まぁ、出来そこないが集まっているから大分不格好だが。

唇を噛む。

今日中に全員なんとかまともに仕上げなくては。

あとの20日は自分を売り込ませないといけない。

輪の中に入って冗官達を指導する。

つーかお前ら、貴族だろって。

「おい志紀。綾もだけど。お前ら礼儀作法きっちり出来てるじゃん。なんで?」

「私達は礼儀作法が出来なくて辞めさせられたわけじゃありませんから」

ちょっと笑う。

「へぇ。なんでなんだ?」

「……能力が追い付かなかったんです」

「ふぅん」

大して興味なさそうに別の奴と喋り始めた。

嘘も方便だ。

綾を見ると教える事に悪戦苦闘していた。

あまりの出来の悪さに頭を抱えている。

「だから、なんでそうなるわけ!?」

「だってさー」

ふぅ、と溜息を吐いた。




次は、イチャイチャでーす!

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