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英雄前夜  作者: Nasu
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1-2

 夜が明けてから母と共に城へ向かった。

今日は国王との謁見があるらしい。


衛兵が開く扉が響かせる重たい音を聞きながら

僕は覚えたての礼儀作法を頭の中で反芻した。


「面を上げよ。」


母の動きに遅れて、僕は頭を上げた。


荘厳という言葉が、これほど似合う場所もない

僕らが控えている場所から一段上、玉座に座る王と目が合う。


そして王は母に視線を移し口を開く。


「よく来た。」

「急な呼び立てですまない。」


「今後の話をする前にお前に会わねばと思ってな。」


抑揚は少なくとも親しげな雰囲気を王から感じられた。


母が応える


「御心遣い、ありがとうございます陛下。

戦後処理も終わらぬ内に、1人部隊を離れた事ーー」


「よい」


王の声が、静かにそれを遮った。


「勝利とは言え、失った事の方が多い。他の者にも休むよう勧めたが、皆何かをしていたかったのだ。」


騒がしい外の音が遮断されたこの場所は


恐ろしいほど、静かに感じた。



「ーー夫の葬儀は無事済ませることができました。明日からは私も、任務に戻ります。」


「我が言いたかったのはそれだ、エリナ。」


短く息を整えて、王が続ける。



「一度、剣を置いてみてはどうだ?エリナよ。」


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