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英雄前夜  作者: Nasu
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1-1

この作品は、AIと設定や展開を相談しつつ書いています。

物語を楽しんでいただけたら幸いです


 快晴だった。


父の葬儀は澄んだ空気の中、粛々と行われた。

「故人の行いが良かったのでしょう。」

神父はそう語り、祈りを捧げ始めた。


参列者は少なかった。

声を潜めてはいたが、誰も沈んではいなかった。

「災厄も退けられましたしね」

「これで、ようやく落ち着きます」

皆、どこか安心したような顔でそう言った。


葬儀を終え、母のエリナと家に帰った。


夜を迎えるまで、二人で短い会話を繰り返した。


トントントンッ。


そろそろ切り上げようかと思った頃、

来客を告げるノックがあった。


僕は立ち上がり、扉を開ける。

そこに立っていたのは――


英雄、レオナール・アウレリウス=セラフィム。

先の災厄を退けた英雄。

父が死んだ、あの戦いを終わらせた人だ。


「夜分遅くに申し訳ない」

彼はそう言って、少しだけ視線を伏せた。

「本当なら、朝一番にでも伺うべきだったんだけど」

「いいのよ」

母は静かに首を振った。

「あの人も、騒がしいのは嫌うでしょうから」

「お茶でも出すわ」

そう言って、母は立ち上がった。


英雄と二人きりになり、

僕はどう振る舞えばいいのか分からず、背筋を伸ばした。


「カイル君、最近、騎士見習いになったんだって?ますますエリナに似てきたね」


少しだけ間を置いてから、彼は続けた。

「折角、魔法の適性があるんだから。

魔法師団に入ればよかったのに」


「いえ、適正といっても……セラフィム公爵の足元にも及びません」

そう答えた自分の声は、思ったよりも落ち着いて聞こえた。

それが正しい返しだと、どこかで分かっていたからだ。

「先の戦いの雷魔法、本当に凄かったです」


一拍。


空気が、ほんのわずかに沈んだ。


レオナールは目を伏せ、カップに注がれた茶の水面を見つめたまま、しばらく何も言わなかった。

称賛を向けられることには慣れているはずなのに、その沈黙は妙に長かった。

「……そう見えたのなら、よかった」

絞り出すような声だった。

その言葉に、母――エリナが一瞬だけ視線を走らせる。

けれど、何も言わず、何も聞かない。ただ、湯気の立つカップをレオナールの前に置いた。


「……彼は」


レオナールが、切り出した。

けれど、その先は続かなかった。


「いや……今夜は、追悼に来ただけだ。

 長居するのは、よそう」

そう言って、椅子から立ち上がる。

母――エリナは、何も引き留めない。

ただ静かに、頷いた。

「わざわざ、ありがとう」

それだけを告げる。

レオナールは深く一礼し、玄関へと向かう。

扉が閉まる音が、やけに大きく響いた。

残されたのは、飲まれなかった茶と、

言葉にならなかった「彼」の続きだけだった。

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