地下メンテ通路――ルーク&ミラの反撃
地下メンテナンス通路は、薄暗い赤色灯だけが点滅し、
壁面に走る配管がうめき声のような振動を伝えていた。
その中央で、ルークの携行端末が悲鳴を上げている。
画面の端には次々と赤いログが重なり、
【逆探知プロトコル起動】の警告が明滅して消えない。
端末の奥で、何本もの配線が火花を散らした。
ミラ「待って、当局の逆探知が――っ!」
ルーク「見りゃわかる。……けど焦るな。」
ルークの声だけは、妙に静かだった。
手元のケーブル束を片手で押さえながら、もう片方で端末の補助電源を叩き込む。
隣で、ミラの指は緊張で固くなっていた。
手袋型インタフェースに触れる掌が汗ばんで滑りそうになる。
ミラ「……間に合わなかったら、広場は――」
ルーク「だから“呼吸”だ。
深呼吸して、リズムを合わせろ。」
ミラは一瞬だけ目を閉じ、肺を満たし、ゆっくり吐き出す。
その呼吸に合わせるように、手袋の接続ラインが微かに青く光った。
再び指を動かすと、画面の奥に積み上がっていた
〈セキュリティ鎖〉が、一本、また一本と外れていく。
だが――
「……まずい。電源回路が限界だ。」
ルークの足元の電源モジュールが低く唸り、警告の赤ランプが高速点滅に変わった。
当局の封鎖プロトコルまで、あとわずか。
ミラ「最後の鎖が……ここ。」
ルーク「行け。俺が持たす!」
ルークはショート寸前のケーブル束を掴み、
剥き出しの銅線から飛ぶ火花を顎を引いて避けながら保持した。
その動きを見て、ミラの指が迷いなく“最後のキー”を叩く。
――瞬間。
端末の赤ランプが、ぱっと白に変わった。
【通信封鎖:解除】
【パブリック回線:開放】
通路の空気が揺れ、ミラとルークは同時に大きく息をつく。
ミラ「……やった。」
ルーク「まだ道を開けただけだ。」
「配信を流す“許可”は――管制の向こう側にある。」
それでも。
閉ざされていた広場への道は、確かにひとすじ、光を取り戻した。




