幕間:質問コーナー
(会場が少し明るくなり、後方の観覧席が映る。あすかが中央に立つ)
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あすか(にこやかに):
「ここでちょっとブレイクタイム!
白熱する議論の合間に、観覧の皆さんからのご質問にお答えいただきます!
えーと、ではまず……前の席にいらっしゃる方、どうぞ!」
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質問者A(青年風):
「テスラさんに質問です。
“技術は正当なチート”って言葉、すごく印象的でした。
でも、現実にはAIの暴走とか、技術が倫理を超えて暴れることもありますよね。
どうやって技術に“責任”を持てるんですか?」
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テスラ(真剣に):
「いい質問だ。技術に責任を持つには、設計の段階から“悪用の可能性”を想定することが必要なんだ。
技術者の多くは“できるか”ばかりを考える。だが本当は、“やるべきか”を問わなければならない。」
あすか(補足):
「つまり、作る前から“人間の弱さ”を見越すってことですね。
あ、ニーチェさん、これってあなたの“問い続ける姿勢”にも通じますか?」
ニーチェ(静かに):
「その通りだ。“技術”という神を信仰する前に、自らの欲望を問え。
さもなくば、便利な道具が“檻”となる。」
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質問者B(落ち着いた口調の女性):
「ナポレオンさんにお伺いします。
“努力は価値がない”ようにも聞こえましたが…
努力が報われなかった人は、ただ敗者なんでしょうか?」
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ナポレオン(真顔で):
「努力は否定しない。ただ、“勝利”の前では評価されにくいということだ。
だが、その努力が誰かを鼓舞したなら、あるいは敗北の中で誇りを守ったなら――
それは“名もなき勝者”だ。」
あすか(小さく笑顔で):
「なるほど…“勝者の定義”も一つじゃないってことですね。
ニーチェさん、あなたの“敗北の美学”とも重なりますか?」
ニーチェ(うなずき):
「敗北とは、内面の問いを深める機会でもある。
努力して敗れた者には、“永遠への扉”が開かれることもある。」
あすか(客席を見ながら):
「それ、深いけど…ポジティブに受け止めたいですね!」
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質問者C(若干鋭い口調):
「神功皇后にお伺いします。
“神の声に従った”とおっしゃいましたが、
それって、自由意志ではなく“従属”ではないですか?
本当に選んだんですか?」
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神功皇后(静かに微笑む):
「よくある誤解です。“従う”という行為にも、選択の自由はあるのですよ。
神の声を“聞いた”からといって、誰もがそれに従うわけではない。
私は…自らその道を選んだのです。」
あすか(感銘を受けて):
「つまり“受け取ること”と“従うこと”は別ってことですね。
テスラさん、神の啓示と技術のインスピレーションって、似てません?」
テスラ(柔らかく):
「とても似てる。“降ってくる”んだ。
でも、受け取るかどうかは、やっぱり自分次第。」
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あすか:
「ありがとうございました!
質問してくださった皆さん、そして答えてくださった皆さん――
歴史の人たちがこんなに丁寧に答えてくれるなんて、豪華すぎます!」
(会場笑)
あすか:
「さて、これで準備は整いました。
いよいよ次が――最終ラウンドです。
“現代におけるチートの意味”。
世界が変わる今、私たちは何を求め、何を恐れるのか――
最後まで、お付き合いください!」
(照明が少し落ち、静かに舞台が切り替わる)