幕間:時代を超えた休憩時間の語らい
(控室のソファ席。対談の合間に設けられた静かなひととき。
天井からは柔らかな光、壁には過去の偉人たちの肖像画。
ニーチェは椅子に深く腰かけ、足を組んでいる。テスラは隣で、手元の小さな端末をいじっている)
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【時代の問い直し】
テスラ(静かに):
「ねえ、ニーチェ――やっぱり考えるよ。
私たちが早すぎたのか、それとも、時代が遅れていたのか。」
ニーチェ(目を閉じたまま):
「……早すぎたと考えるのは、傲慢かもしれんな。
だが、理解されなかった時間の長さは、私の沈黙の証人だ。」
(テスラが苦笑する)
テスラ:
「“理解されないまま死んだ者の誇り”か…。
でも、私は少し違う。理解されたいと願っていた。
それが、最後まで叶わなかった。」
ニーチェ(目を開けて):
「私も…そうだったのかもしれん。
否定しながらも、どこかで“魂の読者”を待っていた。」
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【現代の評価を見てみる】
(テスラが端末を操作し、空中にホログラムのようなスクリーンが展開される。
表示されたのは、現代の人物評価サイト、SNS投稿、そして“TESLA”のロゴ)
テスラ(指差しながら):
「見てごらん。
“テスラ”という名の会社が、今や世界の最先端に立っている。
創業者のイーロン・マスクが、私の名前をブランドにした。
電気自動車、宇宙開発、AI…彼は、私が夢見た未来を追い続けてる。」
(ニーチェがわずかに眉を上げる)
ニーチェ:
「君の名が…企業として走っているのか。
そして、それが未来を引っ張る象徴だと?」
テスラ(うっすらと笑み):
「私の“チート”は、ようやく社会に受け入れられたんだ。
遅れてきた未来が、ようやく届いた。」
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【ニーチェの現代評価】
(画面が切り替わり、「ニーチェ語録」として現代のSNS投稿が表示される)
「“超人”って、マジで今の時代に必要だと思う」
「ニーチェの言葉は、自己肯定感の支えになる」
「多様性の時代であるか今だからこそ、ニーチェがが必要だ」
テスラ:
「君もだよ、フリードリヒ。
君の言葉は今、“自分らしさ”の象徴として、多くの若者に届いている。
神を失った時代に、君が“希望”になってるんだ。」
ニーチェ(しばし無言。やがて、ふっと笑う):
「まさか…この私が“癒し”になるとはな。
世界は本当に皮肉に満ちている。」
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テスラ(やや遠くを見ながら):
「僕たちの“チート”は、時代が遅れている限り、“誤解”にしかならなかった。
けどそれでも、残した。
それだけで、少し救われる。」
ニーチェ:
「“真に価値ある言葉は、時を超える”。
そう思っていた。だが、君と話してわかった。
それを信じたからこそ、我々は書き続けたのだ。」
(ふたり、目を合わせる。言葉はもう要らないように)
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(スタジオマイクから、軽やかな声)
あすか(明るく):
「皆さ〜ん、後半戦の準備が整いました!技術の話、ワクワクですよ〜!」
テスラ(立ち上がりながら):
「さあ、出番だ。“未来”について語ろう。」
ニーチェ(微笑を浮かべて):
「そして、未来に語られる者として。」
(ふたり、再び言葉の戦場へと歩み出す)
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(スタジオの裏手――控室に設けられた小さな茶室風のスペース。
壁には日本画とフランスの地図が並べられている。
神功皇后は凛とした姿勢で座し、ナポレオンは背を壁に預けて立っている。ふたりの間に、微妙な緊張と敬意が漂う)
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神功皇后(茶を一口):
「……あなたの兵は、よく戦いましたね。
誰もが恐れ、そして信じていた。」
ナポレオン(腕を組んで):
「兵士は勝つと信じられる指導者についていく。
恐怖でも、忠誠でもなく、確信。
それが軍を動かす鍵だ。」
神功皇后(頷く):
「“確信”…なるほど。
私が神託を受けたとき、兵たちは信じました。
信仰とともに、勝利への確信を――与えねばならなかった。」
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ナポレオン:
「兵士とは、皮肉なものだ。
戦いを嫌いながら、誰よりも“英雄”を求める。
だから私は、自ら戦列に立った。」
神功皇后(静かに):
「私も、矢面に立つ覚悟は常に持っておりました。
“後ろから指示する者”では、人の心は動かせない。」
ナポレオン:
「だが、それでも奴らは揺れる。
飢え、死、敗北への恐怖。
鼓舞し続けることが、もっとも過酷だ。」
神功皇后:
「“言葉”が試されるのは、むしろそこですね。
生きるか死ぬかの場で、わずかな言霊が、人の命を支える。」
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ナポレオン(ふと目を細めて):
「だが…民というのは、矛盾した存在だ。
自由を求めて皇帝を生み、支配を嫌って革命を起こす。」
神功皇后:
「民は水のようなもの。導かねば乱れ、束ねれば力となる。
だからこそ、支配者は“鏡”でなくてはならない。
民が映る鏡にして、同時に指針でもある存在。」
ナポレオン(感心したように):
「なるほど…。君が語ると、まるで支配が“祈り”のようだ。」
神功皇后(穏やかに):
「そうかもしれませんね。
私は、“この国のため”という祈りの中でしか、力を振るいたくないと思ってきました。」
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(ナポレオンが黙って、ふと窓の外を見やる。視線の先に、歴史バトルロワイヤルのロゴが光っている)
ナポレオン(静かに):
「…君の“祈り”と、私の“戦略”は――違って見えて、
同じ孤独を知っている。」
神功皇后(目を閉じて頷く):
「孤独の中でしか、国も、人も背負えませんから。」
(二人、互いを見て一礼。戦場で敵同士だったとしても、理解し合えたかもしれない――そんな空気が流れる)
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(遠くから、あすかの声が響く)
あすか(スタジオマイク):
「後半戦、再開の準備が整いました!皆さん、スタジオにお戻りください〜!」
ナポレオン(口角を上げて):
「さあ、また“戦”の時間だ。」
神功皇后:
「今度は、“言葉の戦場”にて。」
(ふたり、互いに背を預けるように並んで歩き出す)