ラウンド3:運命と自由意志
(照明がやや落ち着いた青に変わり、静かなピアノの旋律が流れる)
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【あすか:導入】
あすか(静かに、語りかけるように):
「ラウンド3は――『運命と自由意志』。
人は、自分の道を選んでいるのでしょうか? それとも、すでに決まった道をただ歩いているだけ?
“チート能力”という与えられた力は、その問いにどう影響を与えるのか…。
皆さんが持つ“生まれ”と“選び取ったもの”の物語を、聞かせてください。」
(静かにうなずき、最初に神功皇后へ)
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神功皇后(穏やかに):
「私は、“神の声”を聞いた時、自らの意志で進んだつもりでした。
でも…もしかすると、それは定められていたことなのかもしれません。」
(少し目を伏せて)
神功皇后:
「運命とは、外から与えられるものではなく、内に響くものに応えることだと、私は思っています。」
テスラ(やや興味深げに):
「応える…か。
でも皇后、それは“選択肢のない使命”に見えますよ。
それでも“自由”と呼べますか?」
神功皇后:
「はい。迷い、恐れ、それでも進んだなら、それは私の意志です。」
(その言葉に、一瞬、空気が静まる)
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ニーチェ(ゆっくり口を開く):
「……私は、神の声など聞いたことはない。
聞こえるのは、内なる叫びだ。」
(立ち上がるようにして身を乗り出す)
ニーチェ:
「運命など存在しない。あるのは、“意志”を持って、それを運命と呼ぶ覚悟だけだ。
“運命に従う”のではない――自ら選んだものを運命とせよ。」
(神功皇后と目が合う)
神功皇后(小さく笑む):
「それは、あなたなりの“神託”なのかもしれませんね。」
ニーチェ(少し目を見開き、低く笑う):
「皮肉か、賛辞か…どちらでも良い。
君の中に“超人”の片鱗が見えた気がする。」
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ナポレオン(少しだけ口元を緩めて):
「私は“運命”という言葉を、戦場で何度も口にした。
だが…一度たりとも、それに従ったことはない。」
(ゆっくりと拳を握る)
ナポレオン:
「運命とは、他人が自分を説明するための言葉にすぎん。
私の人生を決めたのは、私の判断と決断だ。」
テスラ:
「でも皇帝、あなたは“時代”という波に乗った人ではありませんか?
民衆、革命、軍――その流れがあなたを運んだのでは?」
ナポレオン(即答):
「違う。“波”は来る。だが乗るか否かは、こちらが決める。」
ニーチェ(頷き):
「そこだけは同意してやろう。時代を言い訳にする者に、超人はなれない。」
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テスラ(小さく息をつき):
「私の運命は…未来だ。
私は、まだ来ぬものに賭ける者だ。」
あすか(小さく目を輝かせて):
「それって…どういう意味ですか?」
テスラ(ゆっくりと語る):
「世界は“過去の積み重ね”ではない。
可能性の分岐点の連続だ。
どんな発明も、どんな選択も、未来を変える。私は、それを信じている。」
神功皇后:
「あなたの“信仰”もまた、神に通じるものですね。」
テスラ(目を細め):
「そうかもしれない。“神”ではなく、“未来”という名の超越性だけどね。」
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あすか(静かに):
「今日、皆さんの言葉を聞いて思いました。
運命って、押しつけられるものじゃなくて――誰かの中で、名を与えられるものなんですね。」
(少し微笑む)
あすか:
「“従う”、“抗う”、“創る”――手段は違っても、皆さんは皆、
自分の物語を、自分の足で歩いている。
だからこそ、チートでも運命でも、その先に“選ぶ自分”がいる。」
(対談者たち、誰も言葉を返さないが、それぞれが何かを噛みしめている表情)
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あすか:
「では次に向かいましょう。
“知”と“技術”は、現代では“チート”に近い力を持っています。
幕間を挟んで、ラウンド4では、技術はチートなのか? その是非を問います。」
(照明がまたゆっくり変わり、未来的な音楽がフェードイン)