ラウンド2:努力とチート、どちらが価値あるのか?
(照明が少し赤みを帯び、音楽が高まってフェードアウト。あすかが少し姿勢を正して)
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あすか:
「さて、ここからが本題の核心かもしれません――
ラウンド2は、『努力とチート、どちらが価値あるのか?』です。」
(指で1を示しながら)
あすか:
「ひたむきに積み上げる努力こそが人を高める、という考え方があります。
でも逆に、どれだけ努力しても届かない“天賦の才”を前にしたとき、その努力は無意味になるのか…。
さっきからちょっとピリついてる皆さん――もう、遠慮はいりませんよ?」
(わざと挑発的に微笑みながら)
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ナポレオン(鋭く):
「努力は大切だ。だが――勝たねば意味がない。
私は戦場で、必死に剣を振るう農兵たちを何千と見てきた。
だが彼らの“努力”が、私の一手に敗れるとき――その努力に価値はあるのか?」
ニーチェ(低く噛むように):
「あるとも。彼らの敗北は、内面の闘争に勝つための糧となる。
君は人を駒と見て、魂の戦いを知らない。」
ナポレオン(苛立ち気味に):
「それは敗者の慰めだ! 結果を無視する理想論は、国を滅ぼす!」
あすか(目を丸くして):
「わわっ、ラウンド2で早くも砲撃開始…!」
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神功皇后(毅然と):
「努力は、力を制御するための徳を育むものです。
与えられた力に溺れる者は、自らを、そして民を滅ぼす。」
テスラ(間髪入れず):
「だが“徳”は評価しづらい。
私の発明は、理解されなかった。努力はした。
だが、誰も信じなければ意味はない。」
神功皇后(目を細めて):
「理解を求めるために、努力したのでしょう?
ならば、報われぬ努力にも意味がある。」
テスラ(急に声を荒げ):
「意味があったと?
私は死後にやっと“天才”と呼ばれた!
生きている間は――“狂人”だったんだ!」
(空気が一気に緊張する)
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ニーチェ(椅子から少し前に乗り出す):
「狂人であることを恐れるな、テスラ。
世界が狂っているとき、正気こそ病なのだ。
だが…君の叫びは、認められたい欲望に過ぎぬ。」
テスラ(食い気味に):
「君に何が分かる? 君の“超人”とやらも、現実ではただの孤独な妄想者だろう!」
ナポレオン(嘲笑気味に):
「ほう、神と天才と哲学者がみな孤独に耐えきれず、世に訴えたがっていると?」
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神功皇后(凛とした声で):
「その言葉、侮辱です。
“力”を持った者が民を嘲るならば、
それは“暴君”の始まりです、ナポレオン。」
ナポレオン(口元に笑み):
「民が望んだのは、勝者だ。私はそれに応えた。」
ニーチェ(低く):
「君は民の“弱さ”を利用した。
真に強い者は、誰にも依存せず立つ。」
テスラ(苛立ち混じりに):
「なら君は、誰にも理解されずに死ぬことを選ぶのか?
力を創る者の孤独を語れるのか?」
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(四人の言葉が重なりそうになったとき、あすかが手を挙げる)
あすか(静かに):
「……皆さん、ありがとうございます。
今の言葉ひとつひとつに、魂がこもってましたね。」
(少し間を置いて)
あすか(やや表情を和らげて):
「“努力は美しい”なんて、簡単にまとめられませんよね。
報われなかった者の怒り、勝者の冷笑、徳を信じる者の祈り――
それぞれの言葉の裏にある“痛み”が、私はとても人間らしくて…、好きです。」
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あすか:
「それでも、“与えられた力”は、ただの道具なのか?
人はそれに抗えるのか?
次のラウンドでは――運命と自由意志について、掘り下げていきます。」
(照明が落ち、音楽が重く、ゆっくりと次のラウンドへの転換が始まる)