ラウンド1:チート能力とは何か?
(あすかがテーブル中央でマイクに手を添え、全員を見渡す)
あすか:
「さて――ここからが本番、ラウンド1:チート能力とは何か?
まずは、それぞれの“定義”を出し合って、土台を整えましょう。
“チート”って、ズル? 天恵? それとも……革命の芽?」
(手のひらをくるりと返すように回し、ニーチェに最初の発言を促す)
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ニーチェ(目を細めて笑みを浮かべる):
「“チート”――愚か者たちが、自らの努力不足を正当化するために作り出した概念だ。
安易に力を得た者は、自分の存在の重みを知らず、やがて破滅する。」
あすか(頬に指を添えて):
「さっそく手厳しい。つまり“与えられた力”は魂の腐敗、ということですか?」
ニーチェ:
「魂は、苦しみを通じてのみ鍛えられる。
試練なき力など、皮をかぶった無力だ。」
(この言葉に、ナポレオンがやや鼻で笑うように息を吐く)
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ナポレオン:
「だが、その“試練”を経て敗れた者は数知れず、力を持った者だけが歴史を創る。
私はチートを否定しない。それは力の別ルートにすぎん。」
ニーチェ(即座に):
「ならば、君は結果が全てと考えるのか? 力を得た理由も、それを持つ覚悟も問わずに?」
ナポレオン(涼しく):
「覚悟とは勝った者が後からつける名だ。
神功皇后の“神の声”とやらも、負けていたら“妄想”と呼ばれていたろう。」
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(その言葉に、神功皇后がゆっくりとまぶたを開ける)
神功皇后:
「神の声を、妄想と呼ぶのは自由。しかし、それに従い国を導いたことは、現実です。
チート能力とは、天命に応えるための器にすぎません。」
ナポレオン(片眉を上げる):
「天命など、勝者が自分に都合よく解釈するものだ。」
神功皇后(静かに):
「それでも、民が救われたのなら、意味はあるでしょう。」
ニーチェ(目を細め):
「だが“救い”に依存した魂は、決して自立しない。
それは“奴隷道徳”の別名だ。」
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(場の空気がやや張りつめた中、テスラが軽やかに口を開く)
テスラ(微笑):
「私にとって、チートとは“発明”の別名だ。
誰もができないことを可能にする――それが科学の使命だ。」
あすか(身を乗り出し):
「つまりテスラさんにとって、チートはズルではなく“開発”なんですね。」
テスラ:
「正確には、“拡張”かな。
脳を、想像力を、世界の可能性を――限界ごと押し広げる力。」
ナポレオン(少し皮肉を込めて):
「だが君の“力”は、大衆が理解できないから孤立した。
それを“チート”と呼んでいいのか?」
テスラ(瞳を鋭く):
「理解されないからこそ、それはチートだ。
君の軍隊のように万人が操れるものではない。」
(ナポレオンがわずかに肩をすくめる)
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あすか:
「なるほど、チートとは“逃げ”であり“革命”であり“神意”であり“拡張”でもある…。
一人ひとりの定義が違うだけで、既に火花がバチバチですね。」
(くすっと笑ってから、少しだけ声を落とす)
あすか:
「でも…もし“力を持たない者”がこれを聞いていたら、どう思うでしょう?
“選ばれなかった側”の気持ち、誰か考えてますか?」
(その言葉に、ニーチェが軽くうなずく。ナポレオンは少しだけ表情を曇らせる。神功皇后は静かに目を伏せ、テスラは宙を見ている)
あすか:
「ラウンド2では、“努力”と“与えられた力”の関係をもっと深く掘っていきます。
ここから、少し…熱くなるかもしれませんね。」
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(照明が少し暗くなり、ラウンド2へ。音楽が静かに流れ出す)