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元カレが上司になって帰って来た

作者: 黒楓

今日はオフィスラブの行く末のお話です。

 きっかけは忘年会の三次会のカラオケボックス。

 唐突に酔いが回った私を介抱したのが他課の先輩社員だった靖幸で……結果『一夜の過ち』となった。

 けれどカレは……“朝チュン”でも熱烈な優しさを私に振り向けてくれたので、そのままお付き合いが始まった。

 その事については私にも責任がある。

 私に恋人が居たのは大学時代で……()()()とは卒業を機に距離ができ、夏が終わる頃には別れてしまった。

 それからの私は何年にも渡って寂しい独り身だったから……“こんな優しさ”に簡単に転んでしまった。


『恋は盲目』と言うけれど……私の場合は自分から固く目をつぶって更に両手で覆っていた節がある。

「身も心も“あなた色”に染まって私は幸せ」

 こんな風に思っていた私は……靖幸に尽くし過ぎていたのだろう。


 オトコというのは本当にどうしようもないイキモノなので、こんな事をすれば付け上がるに決まってる。

 靖幸は私をぞんざいに扱う様になり、そのうち()()を始めた。

 それは前に私にやったのと同じ事!

 飲み会で目を付けた女の子を二次会三次会の席で“ネタ”を仕込み“寝技”を掛ける。

 そんな靖幸の悪行を私がようやく気付けたのは……カレが散々遊んだ挙句、逆に“寝技”を掛けられたからだ。

 でも寝技を掛けて来たオンナがたまたま得意先の重役の子女だった為に、靖幸の“できちゃった婚”はカレに本社栄転と言う幸運をもたらし、私には不幸のみが残った。


『日々の糧を得る為には、例えどんなに屈辱を浴びようとも会社に縋り付くしかない!!』

 そんな無力な自分を死ぬ程に思い知らされ、悔し涙を流し歯嚙みし続けて4年が過ぎた。


 ◇◇◇


 そして靖幸は、私が所属する部署を統括する課長として戻って来た。


 カレは私に以前の“甲斐甲斐しさ”を求めたのだろう。私の持っていた担当を全て外して自分の直属にした。


 だから私はカレの下で甲斐甲斐しく仕事をした。

 給料ドロボウなどと思われたくなかったから精一杯やったつもりだ。


 ◇◇◇


 その日も私はサービス残業で居残っていて、オフィスにはカレと二人きりだった。


「お前、髪切ったんだな」


 データー入力をしている私の肩に手が置かれた。


「サービス残業中にパソコンを扱うのはパソコンの稼働履歴が情報センターに残りますから良くないのです。早くパソコンを閉じたいので協力して下さい」


「だったら、もう閉じてしまえよ」


「明日朝一で資料を欲しいとおっしゃったのは課長です」


「朝まではまだまだ時間があるだろう! こういうの昔もあったよな!お前がオレの部屋に来て、仕事だけじゃなく色々とやったじゃねえか」


「そうですね。あなたは私の長い髪にご執心で散々おもちゃにしたけれど……翌朝、出勤前には『洗面台にくっ付いていた髪の毛が指に絡んだ!』って腹を立ててました……」


 言い終わらない内にカレの手が私の襟元に差し込まれたので私は身をよじって逃れた。


「今日はオレも()()だ!昔を思い出そうぜ!」


 今のひと言も……いつもデスクに置きっぱにしている“古いスマホ”がしっかりと録音したのだろう。

 私はカレの過去の悪行の証拠もちゃんと握っている。これらに法律的な注釈を付して然るべき所へ提出しよう。


 司法書士資格の筆記試験を突破し、来月の口述試験を待つばかりとなった今の私にはそのスキルが備わっているし、次の就職先である司法書士事務所も内定している。試験合格後は「新人研修」を受けなければならないし、どのみち辞める前に有休を消化しなければならないのだ。


「飛ぶ鳥跡を濁してしまう」のは忸怩たる思いがあるが……

 これも自業自得と言う事だろう。




                              おしまい






まあ、『ざまあ』ですよね(^_-)-☆



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― 新着の感想 ―
 本当にざまあ❗ ですね。(≧∇≦)b  女を舐めてるカス男にはいいお仕置きになったのではないでしょうか。  奥行きのあるいい作品ですね❗❗  本当に上手くまとまっていて、短いのに重みがあって、楓様の…
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