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強引に行こう!

 そのまま今日の行事は終わり。もうこれから帰るという流れとなった。


「白咲さんのおかげで学園生活がもっと楽しみになりました!」


 あいも変わらず眩しい笑顔を向けてきている桜さんをみると、やっぱ憧れのキャラっていいなぁ……としみじみ感じるところである。


 しかしそんな呑気にしている場合ではない。


 がたんと椅子を引いて、さっさと荷物をまとめて帰ろうとしている人影が1つ。桔梗奏その人であった。


「あ、ちょっと、桔梗さん!!」


 咄嗟に呼び止めた。先のことは何も考えていません。


「なに?」


 またジロリとコチラを見る。


 本来のストーリーであれば、もちろん俺などはおらず、この時点で既に桜さんは桔梗奏と友達 (になったつもり)であるので、なんとなく一緒に帰り、なんとなーく仲良くなって、桜さんは自宅で桔梗奏のことを思い返しながら、次の日から始まる学校生活に想いを馳せるのである。1話の終わりのとてもほっこりするシーンだ。


 だがこのままでは俺という歯垢が至高な思考に入り込んでしまう。


「何もないなら、帰ってもいい?」


 くだらないこと言ってたらめっちゃ怒ってる!

 ごめんなさい!!を心の中でたくさん唱えて口には出さず、凛とした態度で話す。


「……あの!桜さんは、まだあまりこの辺りには詳しくないらしいので、迷わないところまで送って行ってあげたりなんて、していただけたりしませんか……?」


 うわ!自分ながらめちゃくちゃ言ってる!!

 なんで桜さんが頼んでもないことを頼んでんだってね。だって桜さんが海外の中学に通っていて、高校から日本のこの学院に来たから女学院の周りのことにすら疎いという情報を、私は持っていますからね……!


「え?なんでアタシが……?」


 はい!当然の疑問です。

 理由は貴女と桜さんが仲良くなって欲しいからです!って言って、理解してもらえるかしら。


「白咲さんは一緒に途中まで帰ってくださらないのですか?」


 ここで桜さんからも言われてしまう。

 本当に当然の疑問だと思います。是。


 桜さんからしてみれば俺は、あまりにも余計なおせっかいの、勝手に気まずい状況を作り出してきているしょうもない人間に映っていることだろう。


 一緒に帰ってくれないの……?という、小動物フェイスが俺を責め立てる。


 言いたいことはわかります……でも、あなた達が仲良くなることが俺の生きる希望なのです。

 2人から変なやつだと思われて嫌われたとしても、やっぱり2人は付き合って欲しいんだ……!


 そんな思いを伝える必要など微塵もないので、唐突な嘘を述べることにしよう。


「わたしは今から、この方の用事に付き合うんです!だから、一緒に帰れないんです悲しいです!!」


 ね!と、横にいたクラスメイトににじり寄ってみる。この人は……ちょっと名前のある方ではなさそうで、存じ上げない方ではあるが、すみません。ご迷惑をおかけいたします。


「え、え……?」


 困惑した表情で俺たち3人を見回す。

 そりゃ困惑しますよね……同情します。が、とても勝手でごめんなさい。後で何か奢るので、今は俺の狂言に付き合っていただきたいです。


 と、どこまで伝わってるかは分からないが、お願いします……!という表情を浮かべてみた。


「……は、はい」


 と、願いが貫通したのか了承。


「いつのまにそんなお約束を!?」


「我々はテレパシーが使えるんですよ……!」


 とか適当を言って、困惑してるうちに、クラスメイトを連れてさっさとクラスを後にすることにした。


 あとは若いお2人で……と言わんばかりである。


 ____________



 クラスメイトを引っ張って玄関とは違う階へと上がってから、解放したあとすぐさまの謝罪を行なった。


「突然めちゃくちゃ迷惑かけました!!ごめんなさい!!」


 深々と頭を下げる。90度よりもっと深くて逆に無礼なほど頭を下げる。


「だ、大丈夫です!今日はもう帰るだけだったので……」


 とても優しいことを言ってくれているみたいだ。

 もう一度、ごめんなさい!と伝えてから頭を上げる。


「こんな出会い方で申し訳ないけど、同じクラスだしこれから仲良くしてもらえたら嬉しいな!」


「うん!私、あんまり友達とかいないので、仲良くなりたいです!」


 Oh……なんてええ子や……この世界にはええ子しかおらんのんかい。


「わたしは白咲夢!あなたは?」


「私は、椿蕾つばきつぼみっていいます!よろしくお願いします!」


「椿さんね!椿、つばき、つ………」


 ん??????


 名前を聞いて、なんだか全身から汗が吹き出てきた。

 えーっと、え???今、椿って……はい????


 徐々に頭に整理がついてくる。

 椿蕾。この名前を、俺は知っている。


 ただ、何を驚いているのかというと。


「……1学期も、いたの?」


「え?はい」


 1()()()()()()()()()()()()なのである。


 いや、厳密にはそうじゃない。椿蕾は本来、夏休み明けから急にギャルになって登場し、なんだかんだで桔梗奏に突っかかって、桜さんを奪おうとするキャラなのである。


 というか、正直後付けキャラだ。2学期から作品では登場するが、1学期の時点では背景にすら登場していなかった。


 そりゃあこの世界に後付けとかないだろうから、1学期にいたのは理解できるが、こんなに近くにいたの?????


「白咲さん。とりあえず下校しませんか?」


「は、はい……??」


 beforeってこんなにギャルとは正反対の雰囲気だったんですか??

 afterしか知らないからさ。今の彼女は俺よりスカートの丈が長いし、前髪も長くて顔があまり見えない。


 これが、ギャルに……??

 これから俺が作品に与えてしまうかもしれない影響を考えると、頭が痛くなってきた……




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