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4級冒険者ショート集  作者: 大石次郎


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3/15

英雄の子孫の従兄弟の次女 前編

借金を返し終えたオイラは悠々自適!


一昨日はメーリク市の団子屋巡り。

昨日はギルドの忍者スクールでカッコイ手裏剣の投げ方を教えまくり。


今日はドワーフのドルフの店でとっておきの鋼手裏剣(はがねしゅりけん)+1の手入れをしてもらってから、久し振りに冒険者ギルドの食堂でフリッター冷やし蕎麦ヌードルセットを食して、オイラが絶好調! な事を再確認していた。


すると、


「ん?」


食堂に入ってきたギルド職員の、小柄で丸っこいノーム族のポヨヨがリストを片手に食堂にいる冒険者達を何やら値踏みしだした。


「仕事か? めちゃ選り好みしてんじゃん?」


海老のフリッターをモシャモシャ食べつつ、ポヨヨの動向を伺った。・・お? 目が合ったぞ?


「・・・」


「・・あっ」


スッと視線を外されたっ。


「何だよ?! 仕事だろっ? オイラに頼めよ!」


「・・ザンムシカさんですかぁ?」


「嫌そうな顔っっ、依頼書見せてみろよっ?」


「えぇ~?」


中々渡さないから引ったくったっ。何々、


「んん? 家出した田舎の道具屋の次女をメーリクダンジョン地下1階で探す? ・・死体拾ってこい、ってことか?」


「違うますぅ。ちゃんと読んで下さいぃ。生きて! 連れ帰って下さいぃっ」


「あ~ん? メンドっちいな~。他のヤツに頼めよ~」


「よく言いますよねぇ!」


くっそ~、ヤブヘビだったっ。何か微妙な仕事引き受けるハメになった!



というワケでメーリクの貧民街の治療院でボランティアをやってたヌゥを呼びに行った。


「ヌゥ! ダンジョンで人探ししようぜっ?」


「・・貴方と違って私は暫くダンジョンに潜るつもりないんですが?」


貧民街の患者は大体衛生面に難があるから、短杖(ワンド)+1を片手にキュアポイズンを掛けて回ってる治療院の服を着てるヌゥ。

長命種のノームの血を少し引いてるから、ヌゥもそこそこ腰が重いんだ。


「探索は地下1階まで! 期限5日以内っ。楽だし、短期! ギャラもそこそこっ」


「5日? 何の根拠の区切りですか? はい、こんなもんでしょう。ふう」


「ヌゥちゃんありがとねぇ」


「検温してくれよ~」


「看護の方でできる事は看護の方に!」


キュアポイズンを終えたヌゥはピシャリと言って大部屋を退室していった。オイラも続く。

何か痒くなった気がしたから虫避けを霧吹きでシュッと振っとく。


「用意したギャラで冒険者雇える限度じゃないの?」


「捜索の期限を過ぎたら?」


「さぁ?」


「・・依頼書を見せて下さい」


なぜかイライラしだしてオイラから依頼書を引ったくるヌゥ。何だよ。


「ネイエン・グラスクラウン。13歳。フェザーフット族。マルキ郷、道具屋の次女。・・なぜ、道具屋の次女がギルドに未登録で冒険者の真似事を?」


「オイラに聞かれたってさ。家出だろ? 何か子供の頃、病弱とかポヨヨ言ってた気がする? ええと、本家が・・忘れた!」


大体でここまで来たっ!


「貴方、ザンムシカ。またテキトーなことを。家出で乗り合い馬車なら何日も掛けてマルキ郷からメーリクまで来てダンジョンに潜るんですか? 病弱とは??」


「だからオイラに聞かれたって知らないって~」


「話になりませんねっ」


めちゃ機嫌悪くなったヌゥとメーリクの冒険者ギルド本部に戻って、ポヨヨに詳しく依頼内容を再確認することになった。二度手間!



結果、ダンジョン1階で失踪したらしい、ネイエンとかいう嬢ちゃんの家はどうも、有名な英雄、雷光(らいこう)のジョグエン、の子孫の従兄弟に当たる家の次女らしい。


「・・(とお)っ」


「それは雷光のジョグエンに憧れて、ということですか?」


「それがぁ、ちょっとぉ、複雑みたいなんですよぉ~、えっとぉ~、ああ~、これは別の資料でしたねぇ、確かぁ~」


「貴女! もっとちゃきちゃき喋れないのっ?!」


「えぇ~っ??」


「オイ、ヌゥ。ポヨヨに絡んでもしょうがないだろ?」


何だかんだで確認すると、子供の頃病弱だったネイエンは本家になる今でも優れた冒険者を輩出している英雄の子孫の家から、定期的に治療に役立つアイテムやら素材やらを提供されて快癒!


けど元々分家の商家で家自体がコンプレックス強めな上に治療の負い目をあって、ネイエンはめちゃんこコンプレックスが強く育っちまったらしい。


そのネイエンが冒険者スクールに通うことを親に反対され、大爆発! 家出からの無登録ダンジョン突入っ、というというワケだった。


人騒がせヤツだなぁ。



確認後、いきなり「ちょっと仮眠を取ります」と言ってヌゥは美容回復薬ビューティーポーションを飲んでギルドのロビーのソファ眠りだしたから、オイラはスキル壁歩き、や天井歩きの練習をロビーでしてたらポヨヨに、


「訓練場でやって下さいぃ~」


と文句を言われ、しょうがないからヌゥの寝てるソファの近くで収集道具のウワバミの巾着の中身を広げてチェックをすることにした。

お? 失くしたと思ってた、火炎の巻物+1、を見っけ! ラッキ~。


「・・今、何時です?」


ヌゥが起きた。


すぐに懐中時計じゃなくて手鏡で身嗜みを確認する。結構高いビューティーポーションの効果で肌も髪も艶々になってる。

代わりにオイラが自分の懐中時計で確認する。オコジョ印の特注品だいっ。


「午後4時過ぎ。というか、ホラ! 火炎の巻物+1見付けたっ」


「・・捜索期限は今日を入れて5日。期限を過ぎれば衛兵任せになりますが、アテになりません。私は宿で支度しますが、ついでに宿で早めの夕飯も食べましょう。それからもう1人くらいは前衛が欲しいですね」


「タケシは今、地下4階だぞ? ドルフは暫くは商会だろうし」


「暇は冒険者もどこかにいるでしょう。ザンムシカ、貴方のように」


「オイラ暇じゃないしーっ!」


風評だっ。蕎麦食べてたらポヨヨにハメられただけだぞっっ。



メーリクダンジョンの1階は広い。やみくもに探しても埒が明かないから、


ネイエンは5級パーティーに混ざって飛龍の門、から入ったらしい


というギルド情報を元に、少し絞って飛龍の門に近い、初心者向けの用品店や蘇生所(そせいじょ)で聞き込みをすることにした。


ここでデカいヤツがぐいっ、と前に出る。


「上腕二頭筋が反応しているっ! ここで話を聞こうっ」


有翼人(バルタン)族の4級風使い、モリモッサが筋肉をひけらかしながら言って初心者向けのアクセサリー屋にずんずん入っていった。


「・・何でモリモッサを誘うんです! 苦手ですっ」


小声で文句言ってくるヌゥ。


「暇な前衛職だろ? モリモッサでぴったりじゃん。面白いし」


「面白・・」


絶句するヌゥに構わずオイラはモリモッサに続いた。


各用品店の聞き込みしてわかったのは、


組んでる5級パーティーはタチ悪いオギロブ隊。

ネイエンは男装してるっぽい。所持金何かは安いウワバミの巾着-1にしまってたが、オギロブ隊はどうもこのウワバミの巾着を狙ってる気配も??


「一応、手遅れのケースも考慮して、蘇生所にも行っておきましょう」


「俺の広頸筋(こうけいきん)もそれがいいと言っているっ」


「その筋肉の件、やめてくれませんか?」


「むっ? しかしマッスル!!」


ゼロ距離でマッスルポーズをされて目を剥くヌゥ。


「だから筋肉を誇示するのやめなさいなっっ」


「む??」


「あははっ」


やっぱモリモッサ誘って良かったと思いつつ、死臭と薬品臭が強い飛龍の門近く蘇生所に入った。


ここは蘇生術も勿論行うけど、初心者の多い飛龍の門ルートで回収された死体が一定期間保存されてる。

初心者は金が無いのと、1階は迷い込んだ一般市民や観光客何かも犠牲になりがちだから、保存されてる死体は多い。

地下の施設は保管室以外も低温で寒い。


ギルドと市が補助金を出してるけど、設備の環境を含めて結構カツカツな感じだった。カウンターもボロボロ。


「それらしい遺体はありませんね」


「オギロブ隊なら遺体をスライムかダンジョンの虫の類いに喰わせるくらい、やりかねないぞ? ふんっ」


「アイツら悪質だもんなー」


一通りの下調べは終わったぜ!

もうすっかり夜で、正直今からダンジョンに潜るのはダルい。でもオイラ以外の2人はやる気満々だ。仕方無いな~。

その名の通り飛龍(クラウドナーガ)の装飾の施された入口から、メーリクダンジョンの1階へと入っていった。


お騒がせ家出娘、サクッと見付けちゃうぞっ?

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