最終話:世界一の名店に
「ロールちゃん、金貨も砂金もレア魔石も宝石もダイヤも水晶のナイフも真珠のネックレスも“天使の涙”も小切手もしまおうね~」
『もういい加減にしてほしいニャ』
「へぁぁ~」
ネッちゃんと一緒に、貴重品の山の中からロールちゃんを引きずり出す。
そろそろ隠し金庫もいっぱいになってきた。
ロールちゃんはそれが嬉しいらしく、敢えてパンパンになるように詰め込むのだ。
せめて整理整頓しようよ、と何度言っても聞いてくれない。
はぁぁ~とか、ほぁぁ~とか、呟いているロールちゃんを揺すっていると、キャンデさんが帰宅した。
「お帰りなさい、キャンデさん」
「ああ、ただいま。ほら、今日の収穫だ」
「ありがとうございます! ……うわぁ、<コブラボア>ですね! なんて、おいしそう……」
「後で下処理を手伝ってやる」
<コブラボア>。
見た目はちょっと小型の猪。
脂肪の少ないお肉が特徴的で、毒蛇にも負けない非常に強力な毒を持っているのだ。
また新しいメニューが作れそう。
さて、そろそろ営業の看板を出そうかな。
そう思って、扉を開けたときだ。
「『あっ! 開店したぞー!』」
「…………え?」
お店の前には見たこともない大行列ができていた。
いや、お客さんたちは見たことが……。
「レベッカ殿! お久さリスね! あのときの味が忘れられず、また来ちゃったリス!」
「ス、スクアーさん!」
「お久しぶりです、レベッカさん。僕たちにまたあのおいしいお料理を作ってくれませんか? 今度は違うメニューがいいです」
「よっ! またうまい飯食わせてくれ」
「今日は私史上初、星5つ差し上げる日かもしれませんね」
「ビギナン君! それにレッシャー君とマイシンちゃんも!」
『こんにちは、レベッカさん。また一族総出で来てしまいました』
「ミレーヌさん! エルフの皆さま方!」
『あれから、貴殿の料理を忘れたことはない』
「レベッカさん、あなたのおかげで幸せに過ごせています。その節は本当にありがとうございました」
「バンパイさんにフランソワーズさん! お幸せそうで何より!」
「レベッカ嬢、お主の料理がどうしても忘れられなくてのぉ。まさしく世界一の名店じゃな、ホッホッホッ」
「王様! 衛兵の皆さんも勢ぞろいですね!」
今までのお客さんたちが一斉に再来店してくれたのだ。
もちろん、嬉しいのだけど上手く捌けるかな。
不安に思っていたら、ズダダダッ! と誰かが駆けてくる音がした。
こ、今度はなに!?
「皆さん、どうぞどうぞ! お入りください! さあさあさあ!」
ロールちゃんだった。
揉み手をしながら、満面の笑みでお客さんたちを中に案内する。
また多額な報酬を期待しているのかな。
ふと空を見ると、お母さんとラウエルさんが浮いていた。
笑顔で私たちを眺めている。
え? もう一か月経ったっけ?
ゴシゴシ目をこすってもう一度見上げると、すでに二人はいない。
少しばかりぼんやりしていると、ロールちゃんの呼ぶ声が聞こえた。
「レベッカー、早く来てー。お客さん待ってるよー」
『ネッちゃんも手伝うニャー』
「ついでに私にも飯を作ってくれ」
「はーい」
我らが“カフェ・アンチドート”に入る。
お客さんたちはみんな笑顔で座っていた。
世界一の名店……それは、お客さんが必ず笑顔になれるお店のことだ。
私はこれからも料理を作り続けるだろう。
――そう、誰かの幸せのために……。
最後までお読みくださり、本当にありがとうございました。
これにて「外れスキル【毒消し】で追放された令嬢ですが~」第一部が完結となりました!
完結まで来られたのも、全ては読者の皆様の応援のおかげでございます。
さて、第一部は完結となりましたが、まだまだ“カフェ・アンチドート”の日常は続くことでしょう。
今は続きを書く準備をしております。
今後、連載再開する可能性も十分にありますので、どうぞ『ブックマーク』はそのままにしていてください!
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