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愚鈍と円滑に意思疎通を図る為の十四の法則  作者: 厨二病重篤者
一つ目の法則
1/1

幕開け

新連載です。

誤字脱字等あれば教えてください。

 生まれつき,人一倍頭が良かったのだと思う。


 それは努力をして得たわけではない。


 地頭が良い…と言うのだろうか。


 だが,それではまるで意味が無い。


 ♦︎♦︎♦︎


 俺の朝は常に憂鬱から始まる。


 「朝…か」


 ベッドから起き上がり,消魂しいアラーム音を鳴らす目覚まし時計を止める。


 時計は六時三十分を指している。


 「まだ時間はあるか…」


 寝起きの視界の霞みが消えたところで,伸びをする。


 自分の部屋がある二階から一階に降り,蛇口の水を捻る。

 一点の曇り無き水に顔を沈め,髪ごと洗う。


 ウィンナーを焼き,目玉焼きの乗った皿に連ねる。


 「うま」


 自分で作ったのにも関わらず旨い。さすが現代技術。料理は科学とは善くぞ言ったものだ。


 学校に行くという,鬱々たる気が頭を駆け,学校に行く気が急速に滅入る。


 朝のお天気ニュースを見て,今日が日本晴れだと知る。心做しか気分が良くなった気がする。


 制服に着替え,ボロボロになった教材とノートを詰め込む。


 暗晦な気分のままドアを開ける。


 ここでようやく,今日と言う日の始まりを実感した。


 ♦︎♦︎♦︎


 「…」


 俺は何も言わずに改札口を通り,いつもの電車に乗る。

 道中,小声で何か陰口を言われているが,それを無視して教室に入る。


 数十名 (クラスメイト全員)がこちらを一瞥した後,険悪な表情を浮かべる。


 俺は何も無かったかのように振る舞い,椅子に腰掛ける。


 「ッチ…なんで来たのよ」


 先程まで愉快そうに話していた彼女は,俺の存在に気づくと周りに聞こえる大きさで呟く。


 不愉快な事に彼女は顔が良く,クラス…この華咲高校のカースト上位に君臨している。


 彼女に逆らう事は学校での死を意味する為,誰も逆らわ無い。但し,俺を除いて。


 「ホントだよな…あいつ…栗峰さんの機嫌損ねやがって…」


 理不尽すぎる会話に耳を傾けず,この前バイト先の書店で買った『愚鈍との意思疎通を図る為の十四の法則』を読む。

 成る程。これは実に勉強になる本だな。

 確実に値段以上の価値がある。


 そうそう,俺の名前は影坂(かげざか)未來(みらい)

 そしてさっきも話題に出てた栗峰さんこと栗峰(くりみね)亜砂(あすな)


 一言で言うとゴミだ。人類のゴミ。不法投棄物。さっさと回収してくれ。分類は多分粗大ゴミ…いやあいつは燃えないゴミか。資源にすら成ら()ぇ。


 「…」

 机に視線を遣る。

 バカや死ね,アホだのクズだの,好き放題に書かれている…正確に言うと,掘られている。

 タチが悪いやり方だな。


 てかここまで古典的な虐めってあるんだなぁ。


 と,今更ながら,絶滅危惧種を見たような反応になってしまうのも仕方が無いだろう。と思う。


 「ま,しょうがない…か」


 俺がやった事は赦されるべきことではない。

 だから,この事も,これまでの事も,甘んじて受け入れる他無いのだろう。


 そうやって,この少年は己の心を塞ぎ込んで行った。

どうでしたか?

まだまだざまぁ回は来なさそうです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 伏線がイイところで張られている…!!真似したい! すごい! [一言] 主人公大人だなぁ…!
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