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来た!ドラゴン肉!〜エルフは意外とハイテンション!?〜その2

お待たせ致しました!

ちょっと仕事が忙しくて不定期更新ガチですが、他の作品もエタりませんので、ご安心ください!


楽しんで頂ければ、幸いです。

当初からずっと出したかった新キャラ登場です。





 エルフの村を訪れた一向は、レカラタに引き連れられて村長の元へと向かっていた。

 

「森で暮らしているから、てっきり大木の中に住んでいるのかと思っていたが、違うんだな。」


 周囲を見渡しながら、物珍しそうに視線をそこかしこにうつす三人を見てレカラタは苦笑を浮かべた。


「昔はそうだったかもしれんが、今は時代も進んだ。交易も行うし、家畜だって少ないがいる。」


「ほーん。」


「でも、すごく綺麗な村ですね。それに、なんだか空気が穏やかっていうか。」


「確かに。」


 こちらをチラチラと伺う子供達に手を振りながらユーリエはアレクトラに話しかけた。

 アレクトラは彼女の言葉に相槌をうちながらも、瞳をきらきらと輝かせていた。


 それを見て、ユーリエは微笑んだ。


「アレクトラ様、まるで子供のような目をされております。」


「む、そ、そうか。」


 揶揄うような響きを持ったユーリエの言葉にアレクトラは思わず頬を赤らめた。

 レカラタがその様子を見て声をかける。


「お二人は恋仲なのかな?だとしたらアレクトラ殿、先程は恋人を怖がらせてしまい申し訳なかった。」


「ぬっ!」


「こい、恋人!?」


「何だ、違うのか?お二方の距離感を見てそう思ったのだが・・・・・・。」


 レカラタは立ち止まり頭を下げるが、驚いて挙動不審になる二人を見て逆に驚きの表情を浮かべた。


「へえ、あんたから見てもそう思うのか。これはいよいよだな。」


 そこへローガンが口元にニヤニヤとした笑みを浮かべながら更に追い討ちをかけた。


「ローガン!あまりからかってはユーリエ嬢に失礼だ。」


「そんなっ、私は別に、その。」


「おいおい、何だよ旦那。嬢ちゃんじゃ不服ってか?」


「違うっ!逆だ、勿体ないくらい・・・・・・いや。」


「・・・・・・。」


 唾を飛ばし慌てるアレクトラの言葉にユーリエはついに顔を真っ赤にして俯いた。

 ローガンはそれをみて楽しげに笑い声を上げた。


 だが一人、何かを考えるような仕草で彼女を見つめている男がいた。

 レカラタだ。レカラタは恥ずかしがるユーリエを見つめていたが、その後独り言のように呟いた。


「・・・・・・恋仲でないならば、私が懸想しても問題はないか。」


 ただ一人、ローガンだけがその言葉を拾って、僅かに片眉をあげたのだった。








「ここが村長の家だ。粗相のないように頼む。」


「心得た。」


「では先に行って来客の旨を伝えてくる。ここにいてくれ。」



 そういってレカラタは村の中で比較的立派な建物の中へと入っていった。

 手持ち無沙汰になった三人は、何をするでもなく村を眺めた。


 藁葺きの家もあれば、粘土を固めた陸屋根の建物もあり、物語の中に出てくるようなエルフの住まいは、今はもう無いように思われた。


 だがそれでも普段滅多に出会うことのないエルフが、そこかしこで談笑し、歩き回っている光景は、三人の胸に何とも言えない感動を覚えさせた。


 アレクトラは努めて先程のやりとりを意識しないようにしながらも、ユーリエに笑いかけた。


「ユーリエ嬢、エルフの食べる魔物はどんなものか楽しみだな。」


 ユーリエもまた、アレクトラが気を遣ってくれているということに気が付いていた。

 穏やかに相槌を打つ。


「ええ。でもこの間のような魔物は、私は料理してあげませんからね!」


「これは、手厳しいな。美味かっただろう?」


「それは、そうですけど・・・・・・。」


 唇を尖らせるユーリエにアレクトラとローガンは笑い声を上げた。


「嬢ちゃん、やめとけ。旦那の魔物食はもう玄人並みの熱量だ。形や見た目なんぞ気にしていたら持たねえよ。」


「・・・・・・もう。」


 一頻り談笑していた三人だったが、ふとローガンが素早い動きで建物の影に走り寄った。


「ひゃっ!」


 悪戯を見たかった子供のような声がローガンぎ消えた方から響き、その後すぐに襟元を掴まれた細身の少女とローガンが姿を現した。


「ローガン、その子は?」


「なんか視線を感じると思ったら、こいつがいた。」


「ちょっと!!離しなさいよ!乙女に失礼でしょ!?」


 ジタバタとローガンに襟を掴まれて暴れる少女は透き通る翠の髪のエルフだった。

 歳はいくつであろうか、一重の多いエルフの中では珍しくはっきりとした二重の、大きな瞳をした少女だった。


「暴れるなっ、ガキ!!」


「ガキじゃない!私はもう成人している!」


「あの、そろそろ離してあげたほうが・・・・・・。」


 少女の喚き声を聞きつけて、他のエルフ達もアレクトラ達へ注目し始めた。

 

 アレクトラとユーリエは顔を見合わせてどうしようか目配せをしあうが、そこへ、レカラタの鋭い声が響いた。


「シャム!!何をしている!」


「兄さん!助けて!!このおっさんに捕まえられたの!」


「レカラタ、妹の教育くらいちゃんとしておけ。」


「きゃっ!いたっ!!」


 近づくレカラタに向かってローガンは面倒くさそうにシャムと呼ばれた少女を放り投げた。

 シャムは咄嗟のことで受け身をとらず、尻から地面へと落ちた。


「すまない、ローガン。どうせ好奇心に負けてこそこそ覗いていたんだろう、注意しておく。」


「兄さん、ひどい!!妹よりこの人間の言うことを信じるの!?」


 レカラタは苦虫を噛み潰したような顔をして、ローガンへと頭を下げた。

 既に一度無礼を働いているというのに、二度目かまさか己が妹となると、頭を抱えたい気持ちであった。


「やかましい!」


 レカラタはわあわあと騒ぎ立てるシャムの頭に拳骨を落とした。


「ぎゃっ!」


 シャツはあまりの痛さに思わず悲鳴をあげ、その場にうずくまった。

 

 周囲のエルフ達も、その頃になるといつもの兄妹漫才とわかり、笑いながらその場を離れていった。


「うう、この世はなんて無情なのかしら。」


「もう一発食らっておくか?」


「ひゃあ!大丈夫です!!すいませんでした!!」


 再び拳骨を握りしめたレカラタをみて、シャムは顔を青褪めさせた。

 慌ててローガン達へと啄木鳥のように素早く頭を下げる。


「レカラタさん。気にしていませんから、見られていることに私はそもそも気付いていませんでしたし。」


「貴方がそういうなら何もいうまい。・・・・・・見た目通り、優しい人だ。」


 レカラタはふっと表情を緩めた。そうすると、怜悧な印象は消えて、人懐こい印象が生まれた。


「えっ?」


「さ、村長を待たせてしまっている。案内しよう。」


 上手く聞き取ることが出来なかったらユーリエの返事には答えずに、レカラタは踵をかえし、さっさと建物の中に入ってしまった。


「あっ!私も行く!!」



 その後をシャムが頭を押さえながら追いかけた。後には、唖然とした表情の三人が取り残された。


「いやはや・・・・・・。」


「どうした?旦那。」


「いや、何とも賑やかなことだと思ってな。」


「まあ澄まし顔でいるイメージのが強いからな、エルフは。でも俺の知ってるエルフの戦士も、普通にドワーフ並みに五月蠅かったよ。」


「そういうものか。」


「そういうもんだ。なんだか、これからもっと賑やかになりそうだな。」


 ローガンはそういうとレカラタの消えた方に視線を向けているユーリエを表情を盗みみた。

 だがその顔からは何かを読み取ることは出来なかった。


 ローガンは肩をすくめてレカラタの後を追った。


「わしらも行こうか。」


「・・・・・・ええ。」


 二人もまた、建物の中へと足を踏み入れたのだった。


いつも読んで頂きありがとうございます!

誰かが読んでくださっているということが毎日本当に励みになっております。


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