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どうやって探す?

ありきたりなタイトルですが、こういったことが実は面白いのではないかと思っています。如何でしょうか?

7.どうやって探す?

 

 ウィルスターに戻ったギンガたちは、今後の方針検討、の前に新たな家族に会いに行く。


 出かけていたのは4,5日だが、レイとガイはもう元気に走り回っていた。イリーゼに気が付くと飛ぶように駆けてきてまとわりついている。

 ダイとセイもやって来て挨拶してくる。数日で親らしくなってきたようだ。


 ひとしきりレイ、ガイと遊んでやると腹が減ってきたらしく、セイが塒に連れて行った。ダイは頭を下げると悠然と塒に向かった。


 「親になると変わるものですね」。

 しみじみとイリーゼが感想を述べていた。

 「少し大きくなるとまた変わると思うよ」。

 「それは楽しみです」。




 「さて、問題は難しくなっているな」。

 ギンガはまたもや悩んでいた。


 現状でのイーヴィル・ダスト関連の事実はこうだ。

  ・イーヴィル・ダストの所在は不明

  ・狙った文明を観察し続け、何らかの閾値に達した時に空間記憶【リセットの意思】を設置し離脱

  ・生命体が【リセットの意思】に接触と強烈な破壊衝動に取り込まれる

  ・【リセットの意思】はほぼ消去されずそのまま破壊された文明付近に留まる

  ・【リセットの意思】消去は真マジュ粒子でのみ可能(イリーゼとギンガのみ実行可能)。


 重要と思われる不明点

  ・【リセットの意思】を設置せずに次の星系を目指すことがありうるのか?

  ・今まで幾つの【リセットの意思】を設置したのか?


 緊急課題

  ・【リセットの意思】探査手法確率



 整理された課題に対してシスターが質問してくる。

 『イーヴィル・ダストの所在特定は緊急課題ではないのですか?』


 ギンガはニヤッと笑う。

 「見つけてどうする?」。

 『それは、殲滅・・・!」。

 「結論に到達したか。そうだ、見つけてもどうするか決まっていない。それ以上に、どうできるのかもわからない。つまり、何もわからない。見つけたらそのままだな。だから緊急課題ではない」。

 『理解しました」。


 「そもそも、イリーゼとイーヴィル・ダストが遭遇したらどういう反応をするのかな?」。

 「不確定要素が多すぎてわかりません。始祖スター・マインドの記憶にもイーヴィル・ダスト自体の情報がありません。向こうは渡り歩いている間にスター・マインドに遭遇した可能性もありますが、その時どうなったかの情報もありません。少なくとも私は相手を知ろうとするだけです。そもそもどういう姿なのかもわかりません」。

 『イリーゼが人の形態を取っているので人の形とばかり想定していました』。

 マザーがコメントでAIすら何も把握できていないことがはっきりした。


 「ということだ。そもそもイーヴィル・ダストを排除する必要性さえ不明だ。【リセットの意思】が発動されるのはその文明が何らかの問題を内包しているからとも考えられる。そうならば、イーヴィル・ダストの行動は星海連合の安定に寄与しているという解釈も成り立つ。イーヴィル・ダストという命名すら適切でないかもしれないさ」。


 「でもなあ、マジュ粒子もそこにあれば識別できるだけで、遠方から検知することなどできていないからなあ」。

 と、溜息をつくギンガ。


 「イリーゼは一光年程度の範囲で【リセットの意思】の所在が判るんだよな?どんなふうに判るんだ?」。

 「見える。多分マジュ粒子一個でも見えるかな。・・・やっぱり注意すれば見えるわ。意識していないと塊でないと見ないわ」。

 「塊って、【リセットの意思】とスター・マインドか?」。

 「そう、かな?多くは無いけどこの空間も飛んでいるよ。ギンガも見えるんじゃない?」。


 「ええっ?!」。

 「フュージョンしてみれば良いよ」。

 そう言って、ギンガとフュージョンするイリーゼ。


 「少し調整するわね」。

 そう言ってギンガの眼を調整するイリーゼ。

 調整の感覚をトレースしていると、視界の中に表現不能な粒子線が稀に飛んでいることに気付く。

 「これなのか?」。

 「そう」。

 「少ないと言えば少ないが、結構な頻度で飛んでいるな」。


 「マザー、私の視覚神経にコネクトできるか?」。

 『調整中・・・、ギンガの生体状態が変化しているので、45%程度しか解析できません』。

 「その範囲内で構わない。私の指示したタイミングに視覚に捕らえられる粒子軌跡がキャッチできるか確認したい」。

 『準備完了』。

 「よし。・・・・・今‼………今!………今!」。

 『解析中‥・・・』。

 「光速で移動するマジュ粒子と仮定して、解析してくれ」。

 『了解』。


 『量子振動値推定・・・波長・・・エネルギー量、これまでにない数値です』。


 『解析完了。ギンガの生体情報に固定不可能な部分がありますが、指定された波動を特定』。

 「探知システム構築は可能か?」。

 『肯定。ただし、特定可能情報は放射方向と距離のみ、方向の精度は81%。距離の精度は47%』。


 「それでオッケーだ。とりあえず可能な限り星海連合星図とのマッピングを頼む」。


 「何が判るの?」。

 イリーゼの質問に答えて、

 「多分スター・マインドの所在がいくつか判る。【リセットの意思】は固定されているからおそらく放射は無く、わからないだろう。それで、スター・マインドに聞いて回るのも一つの方法かなと思ってね」。


 「あとは、もうひとつ【リセットの意思】を見つけて様々な粒子を当てて探知できないか試すぐらいだな」。

 すると、ファザーから確認が来る。

 『探知に必要な波動はマジュ粒子が必要となる可能性が高いと推定。しかし、既存技術ではマジュ粒子の生成は成功していません』。


 ギンガはイリーゼの顔を見る。

 「私がやればいいのよね?」。

 呆れた口調で肩を竦めるイリーゼだった。

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