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探索

手探り状態を書いていくことも結構面白いです。さあ、次の展開はどうしましょうか?

6.探索

 

 「さて、次はどこに向かうかだがなぁ」。

 ギンガは悩んでいた。


 「イリーゼ、あの記憶はどのくらい前の記憶だい?」。

 「一億八千万年くらい前かしら。観察していた期間は十万年くらいかしら」。


 「はぁ・・・、文明が起こる世界なんてわかるのか?」。

 期待せずにギンガが聞くと、

 「ある程度分かるわよ。文明を作るような知的生命体はマジュ粒子と相性が良いの。だからマジュ粒子を引っ張るような性質が発生するのよ」。

 「それもよく聞きたい話だけど・・・」。


 「スター・マインドは、そういう世界を避けるの。もうすでに文明に向かっている世界に自分のやることは無いから。でもきっとイーヴィル・ダストはそういう世界に惹かれるんじゃないかしら」。


 「では、この地点から惹かれる感触はあるのかな?」。


 しばらく目を閉じていたイリーゼは7つほどの方向を指示する。

 ギンガはファミリーに支持された方向にある星系の分析を命じる。


 『時間的なパラメタは計算できませんが・・』。

 ファザーの指摘に、

 「イーヴィル・ダストが光速を超えられるかどうかわからないし、マジュ粒子感知の仕組みもわからない。だから、考慮する必要はない。考古学的報告有無は加味してくれ」。

 そして、ブラザーにも、指示を出す。

 「星海連合加盟星系で過激と言われ、かつ技術力が高い星系、および未加盟だが要警戒対象とされている星系もピックアップしてくれ」。


 いずれにせよ空間記憶探索手段の必要性を、ギンガは痛感していた。



 一時間後、照合結果が出た。

  ・イリーゼの示した7方向には100光年以内に星海連合加盟の星系がある。

  ・いずれの星系も好戦的であった過去はなく、近辺にそのような星系もない。

  ・そもそも現在居住する生命体が文明化し始めたのは数100万年ほど前と推定される。

  ・イリーゼの示した4番目の方向のさらに2000光年先には、自滅したと推定される廃墟星系がある。

  ・その滅亡推定時期は約3000万年前。


 「現状で存在する文明星系にイリーゼが反応するのは当然だ。そしてそれらの歴史はごく最近だ。今もその近辺でイーヴィル・ダストが観察しているとは考えにくい」。

 ギンガの意見にイリーゼも同意する。

 「その近辺にイーヴィル・ダストの【リセットの意思】が残っていれば、異常な事件が何度も起こっているでしょう。クラインのような強大な力を持っていればそれこそ大事件になるでしょうし、普通の市民でも連続破壊事件などを起こすのではないでしょうか?」。


 『ということは廃墟星系ですか?』

 ブラザーの質問にも、ギンガは懐疑的だ。

 「時期的に新しすぎると思う。しかも調査に入っているのも最近だ。イリーゼの命名した【リセットの意思】がその近辺にあるなら調査団が取り込まれて何か引き起こしているんじゃないかな」。

 『正しい推論です。では、どちらへ?』

 「いずれにしても【リセットの意思】を消去する必要はあるから、廃墟星系に行ってみよう。イーヴィル・ダストが観察対象とする何かを得られるかもしれないし」。

 「行かなければ【リセットの意思】の有無はわかりません。あった場合、消去できるのは私とあなたしかできません」。

 「厄介な問題だ。だが、まず廃墟星系だ」。



 2000光年の移動などわずかな間で到着。

 すぐにイリーゼが【リセットの意思】を発見する。しかし、すぐに疑問の声を上げる。

 「この星系の滅亡は3000万年前?この【リセットの意思】は一億七千万年くらい前よ」。


 「時間的に合わないな。どういうことだ?」。

 考え込むギンガに、ブラザーが仮説を提案する。

 『文明がカタストロフィーを何とか回避し、何とか生き延びたのでは?』


 「そんな長持ちする文明があるだろうか?」。


 【リセットの意思】を読んでいたおイリーゼもブラザーの仮説を否定する。

 「先程の星系もそうでしたが、イーヴィル・ダストはリセット完了まで観察しているようです。その記憶があります」。


 「ん?イリーゼ、【リセットの意思】はどのあたりに存在するんだ?」。

 「第七惑星付近です」。

 「トリューブ礫星団ではどのあたりにあった?」。

 「第四惑星軌道と推定されているあたりです」。


 『ギンガ、何かお気づきですか?』

 ファザーの質問に答えて、

 「確証は無いが、イーヴィル・ダストは観察対象の間近で見ているんじゃないか?とすると、イーヴィル・ダストがリセットしようとした文明は第七惑星にあったんじゃないだろうか?」。


 『遺跡は第五惑星ですよ?』

 ブラザーの指摘に答えて、

 「この星系には少なくとも2度文明が発生した。一億七千万年に第七惑星に興った一つの文明がリセットされた。調査すれば第七惑星にも遺跡があるだろう。さらに3つ目もあるかもしれない。

 そして長い時間の後。今度は第五惑星に文明が興った。そして第五惑星も滅びた。第五惑星文明の滅亡が【リセットの意思】の影響なのかはわからない」。


 「少なくとも2度の滅び・・・」。

 イリーゼが悲しそうに呟く。


 「確証は無い。だが、【リセットの意思】はイーヴィル・ダストの観察対象でない文明にも脅威を与えることが判った。危険だ。【リセットの意思】は消去しておく必要がある」。


 ギンガの言葉にイリーゼは頷くと、二人はフュージョンする。そしてこの星系の【リセットの意思】を消去した。


 「一度ウィルスターに戻るぞ。情報の整理が必要だ」。

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