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閑話ー新たな仲間ー

少しモフモフ要素を入れたくて書いてみました。如何でしょうか。

4.新たな仲間


 ウィルスターに戻ったギンガに、ファミリーが一斉に質問してきた。


 『『先程の呟きを理解できません。教えてください』』。


 ギンガは笑いながら、解説する。

 「生物は自分の生存環境に囚われている。君たちAIのようにあらゆる可能性を検討しきれないことが多い。そのことは既に記録していると思うが」。

 『『肯定』』。

 「その囚われた情報に制約されて的確な判断が導けなくなったときに、絶望、する。煌刃はその囚われている軛を断ち切ると言っているんだ。具体的には斬ってみないとわからないが、斬られたほうは、何と言うか、発想の転換と言うか、気付き?が起こるんじゃないかな」。


 それを聞いてファミリーはまた内部討議に入ったようだった。すぐには理解にたどり着けないらしい。

 それに気付いているイリーゼはファミリーの反応を楽しんでいるらしく、ニコニコしている。


 二人でお茶を楽しんでいたが、ふとギンガがファミリーに質問する。

 「クラインの行動が変化したと思われる時点と行動範囲はあたりが付いたのかい?」。


 ファザーが答える。

 『最初の星系破壊事件発生の1年前の行動を最優先で検証しました。評価重点は、通常航路からの距離が大きい点、および星系の残骸の存在の2点です』。

 「該当ポイントはあるのか?」。

 『トリューブ礫星団の存在です』。


 「あそこか」。

 ファザーの報告に考えこむギンガ。


 「どんなところですか?」。

 興味を持ったのかイリーゼが聞いてくる。


 テーブルの上に星海宇宙図が現れ、黄色い光点が点滅する。

 「ここだ。ちなみにウィルスターは今この青い光点付近にある。かなり古い星系で、太陽は赤色矮星。7つの巨大惑星が好転しているが、その内側に小惑星群と宇宙塵のベルトが広がっている。かつては三つか四つの岩石惑星があったと推測されている」。

 「その失われた惑星がイーヴィル・ダストになった可能性があるというのね?」。

 『肯定』。


 「その空間に行けば、スター・マインドの残留思念をキャッチできるかもしれない」。

 イリーゼがとんでもないことを口走った。

 「そんな昔のこともわかるのか?」。

 「フフッ。人間の思考でははるかな過去かも知れないけど、スター・マインドにとっての時間感覚では一億年くらいはそんな昔ではないわ。それに、マジュ粒子は残留思念や空間記憶の素になるわよ」。


 「?!}。

 『『・・・』』。

 イリーゼがまた爆弾を放り込んだ。ギンガもファミリーも唖然としている。(AIに唖然とする、という行動が可能かどうかは不明だが)。

 してやったりとばかり、イリーゼはコロコロと笑っている。イリーゼの姿になってから日に日に人間臭くなってきているようだ。


 「アークフェニックスの整備状況はどうだ?」。

 『『すべて完了。パーフェクトです』』。


 ギンガがイリーゼを見るとにっこりと頷いて、

 「私はセイの出産の面倒を見る約束です」。

 「・・・了解だ。そうしよう」。

 完全に手玉に取られているギンガであった。


 

 イリーゼが星の様子を見に席を立つとファザーが確認を求めた。

 『惑星 cn-207865-4 の報告書をライブラリにエントリしておきました』。

 惑星 cn-207865-4 とは、クラインと戦ったあの星のことである。


 「ありがとう。今は記録を残しておくことが重要だ」。

 『どなたもお読みになれませんが』。

 「八神将の復帰が見込めない現状ではやむを得ないだろう。・・・せめてレイが復帰できればなぁ」。

 『続く方々は如何ですか?』

 「もうしばらく時が必要だろう。焦れば、あいつらを死にに行かせるようなものだ」。

 呟くと、しばらくギンガは遠くを見ていた。



 その時シスターからコールが届く。

 『イリーゼからコールです。セイの子供が生まれそうということです。センシングからは母体、胎児とも問題ありません』。


 ファミリーのメカ体を引き連れてギンガがダイとセイのねぐらに行くと、外でダイがうろうろしていた。


 「こういう時はオスは何もできないんだ。どっしりと待つのが良いんじゃないか?」。

 ギンガの言葉に情けない声を漏らすダイ。

 「まあ、仕方ないか」。


 しばらく外にいると、セイが一声吠えるのが聞こえた。イリーゼが顔を出し、

 「生まれました。雄雌の2頭です。入ってもいいですよ」。


 その瞬間ダイが駆け込んでゆく。


 中に入るとセイが乳を与えていた。何か誇らしげな様子だ。一方で子供を見たダイは何か落ち着かない様子。母親は偉大だな、と思うギンガ。


 毛の色は、濃い青と白。白はかつての群れにも居なかったので珍しいな、と思っていると、

 「青いほうが雄で、白いほうは雌です。青は水属性で、白は氷属性ですね。どちらも親よりは進化してると思います。持っているエネルギーキャパシティが一桁以上違います」。

 「そりゃあ楽しみだな」。

 ギンガが感心していると、聞いていたダイとセイも誇らしげな雰囲気だった。


 すると、セイの鳴き声に反応してダイがイリーゼに何か言っている。


 「ダイとセイが子供にも名前を付けてくれと言っています」。

 「イリーゼに、じゃないのかい?」。

 「いいえ。私とあなたに、です」。


 「そうかぁ。・・・白い雌はレイでどうかな?光と言う意味だ」。

 「2頭に合わせましたね。では、青い雄はガイでどうでしょう?」。

 「強い雄か。どうだ二人とも?」。


 「二人とも喜んでいます。決まりですね」。


 生まれた2頭の健康診断などを行って様子を見ていると、3日目に目が開いた。まだ足に力がうまく入らないのか、もそもそ動いているだけだが、意思の力ははっきりしてきたようだ。2頭ともイリーゼにはよくなついてキューキュー言っている。


 「もう大丈夫です。ちゃんとギンガが群れの頭だと理解しています」。

 「では、調査に出かけようか?」。

 「了解です」。


 「言ってくるよ、ダイ、セイ、ガイ、レイ。留守は頼んだよ」。

 「「ガウ」」。

 親2頭が元気に返事をしてくれた。


 さあ、イーヴィル・ダストとは何か?調査に出発だ。

 

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