サプライズ!サプライズ!
星のいのち2、の締めに入ります。さあ、うまくまとまるか?
48.サプライズ!サプライズ!
フュージョン・ギンガが格納庫に顕われた。周回軌道に現れた時のように外縁軌道に飛び、そして去ったような演出(凝ってるなー)をしたので、アークフェニックスに戻ったなどとは誰も思わないだろう。
「大丈夫かい、イリーゼ?イルミ?」。
「問題ありませんわ」。
「へーき、へーき!」。
などと話しつつフュージョンを解除。
ところが、ギンガは普通の状態に戻ったが、イリーゼとイルミは輝いたまま。別に何かがおかしいわけでないらしく、キョロキョロと自分とお互いの姿を見ている。
「本当に大丈夫なのか?」。
ギンガの問いに、
「問題は無い、と思います」。
「何か、力が・・。んんー、そう、自分がもう一人いるようなぁ?・・・」。
「・・そうね、イルミの今の表現がとても合っているような気がする・・」。
艦橋でも目を点にしながらラーノがシスターに尋ねる。
「センサーではどうなっているの?」。
『すいません。センサーではほとんど何もわかりません。そこに巨大なエネルギーが存在することくらいしかわかりません。現在色々と試行中です。しかし・・』。
「何?」。
『イルミの言うようにエネルギー量が1.9倍になっています』。
その時、二人の体から煌めく光が分離する。
「何だ?」。
「何?」
その場にいるギンガと艦内モニターを見ているラーノが同じことを叫ぶ。
分離した光はイリーゼとおるみの周りをゆっくり飛んだあと、二人の胸元に飛び込んで形をとる。
何と赤ん坊、しかも新生児ではなく1歳くらいの姿をとり、二人に抱かれていた。
ラーノはもとより、さすがにギンガも顎が落ちた間抜けな表情で突っ立っている。
イリーゼ、イルミは子供(?)と見つめ合っているように見える。
スター・マインドのことを良く知らないラーノはまた、シスターに質問する。
「あれ、二人の子供よね?」。
『わかりません、私たちもスター・マインドの子供が生まれるのは初めて見ました。精霊姫誕生も見たことはありません。センサーにもエネルギーの存在しかわかりません』。
「なるほど、・・何もわからないってことね」。
『スター・マインドは空間記憶を持っているので、今それを子供に渡しているところと推定します』。
「空間記憶?・・すごそうね」。
『マジュ粒子の解析がほとんどできないため、イリーゼの話しか元ネタがありませんが・・』。
先にギンガが環境に戻ってきた。
「任務完了ですね」。
「ラーノ、完了ではない。まだ、状況を監視可能な状態に安定化させただけだ」。
「はい!」。
「シスター、ラクエンド主席とコネクトしてくれ」。
『コネクトしました』。
ラーノにとってはおなじみの顔が表示される。
「まずはお礼を言おう。ありがとう、コマンダー・ギンガ」。
「ありがとうございます、主席。しかし、症状については継続監視が必要です。状況のコントロールを要請します。こちらの検体としてコマンダー・ラーノのメディカルインスペクションを継続します」。
「わかった。・・ところでの、あのフェニックス状の飛行体は『主席、現状ではまだご説明ができません』」。
主席の質問をギンガが撥ねつける。
「ラーノくんも言っていたが、アレの件関連か?」。
「99.99%の確度で」。
「そうか。・・いつか報告をいただけることを期待しよう」。
「ありがとうございます。その溜めの追加調査がありますので、このまま我々はこの星系から離脱します。ラーノに関してはしばらく観察対象としますので、追ってご連絡をします」。
「わかった」。
コネクトを切るとギンガは直ちに出す。
「全速力で六連星系に向かう」。
アークフェニックスはラクエンド星系を後にした。
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